2016年04月16日 (土) | Edit |
この度の熊本地震で多数の死傷者が発生してしまい、亡くなった方に心より哀悼の意を表するとともに、怪我を負われた方にお見舞いを申し上げます。気象庁では、今日未明の直下型地震が本震と考えられるとの見解を示しているとのことで、これからもしばらくは余震に警戒が必要となります。住居などの建物の崩落や道路や橋が損壊するなど、救助活動そのものが困難な状況ですので、救助・支援する側の皆さんもくれぐれも注意の上、活動に当たっていただきたいと思います。東日本大震災発生後の拙ブログのエントリが参考になればと思います。

被災地支援について(追記あり)2011年03月18日 (金)
被災地支援についての補足(追記あり)2011年03月20日 (日)

現地の社協では、ボランティアの受け入れについての情報が掲載されています。

平成28年熊本地震について(第2報) 最終更新日 [2016年4月16日 8時24分]
■■■■4/16(土)現在は「人命救助」の作業が優先されます■■■■
ボランティアが入れる状況になったら、こちらでお知らせします。


平成28年熊本地震について(第2報)

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被災地でのボランティア活動に参加したいと考えている"あなた"へ
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 被災地でのボランティア活動の前に、大切なことをまとめましたので、必ずよく読んで参加してください。
http://www.fukushi-kumamoto.or.jp/list_html/pub/detail.asp?c_id=56&id=7&mst=0&type=

 もっと、詳しく知りたい方は、次の『市町村災害ボランティアセンターマニュアル』をご覧ください。
http://www.fukushi-kumamoto.or.jp/list_html/pub/detail.asp?c_id=56&id=6&mst=0&type=

災害ボランティア情報(熊本県社会福祉協会)
※ 以下、強調は引用者による。

特に、リンク先の「 「平成28年熊本地震」に関する災害ボランティア情報について」は必読です。

ボランティア情報

Ⅰ 被災地でのボランティア活動に参加したいと考えている"あなた"へ 

 被災者への生活支援や被災地の復興支援のボランティア(以下「災害ボランティア」)活動に参加する際は、いろいろな準備が必要となります。
 無計画に被災地へ向かっても、欠航、運休、通行止め等で現地入りできなかったり、現地に到着してもボランティアの募集が行われていなかったりする場合もあります。
 被災地の市区町村に設置される「災害ボランティアセンター」で最新の情報を入手し、綿密な計画を立てて現地に向かいましょう。

(略)

8 問合せのマナーについて

 被災地の市役所や役場、災害ボランティアセンターに安易に電話や電子メールで問い合わせることは、できる限り控えてください。
 被災者からの「助けてください」などの問い合わせの電話がかかりにくくなる恐れがあるからです。
 メールも回答するのに時間や手間がかかることから、かえって迷惑になります。
 このため、被災地の情報を入手する際は、まず初めに、被災地の市役所や役場、社会福祉協議会、災害ボランティアセンターのホームページをしっかり閲覧しましょう
 東日本大震災以降の災害では、停電や冠水などによりパソコンが使えなかったことから、携帯電話やスマートフォンなどの携帯端末による情報発信が積極的に活用されています。
 特に「ツイッター(twitter)」には、災害ボランティアや物資の募集などの被災地支援の情報がタイムリーに発信されていますので、情報収集にお役立てください。そして、これらの方法でも情報が不十分な場合に限って電話による問合せをしてください。
 「できる限り電話やメールをしない」という「配慮」もボランティア活動のひとつです。
平成28年4月15日 熊本県ボランティアセンター

「平成28年熊本地震」に関する災害ボランティア情報について(熊本県社会福祉協会)

ボランティアで被災地支援をお考えの方は、ぜひリンク先を開いて全文をご一読ください。

そのほか、支援物資の送付やボランティア以外の支援方法としては、募金が最も簡便で効果的だろうと思いますので、ご参考までにリンクします。
【熊本地震速報】災害・寄付・ボランティア情報まとめ(ボランティアプラットフォーム)

被災された方が一日も早く元の生活を取り戻せるよう、私も支援したいと思います。

(追記)
マンマークさんにご紹介いただきましたので、こちらからもリンクさせていただきます。マンマークさんは「熊本地震関係」のカテゴリを作ってリンク先も随時更新されているようですので、最新の情報をご確認ください。
「何かしたい人へ。(追記あり)(2016-04-16)」(市役所職員の生活と意見)

(再追記)
21日までに徐々にボランティアセンターの受け入れが始まったようですので、リンクしておきます。
平成28年熊本地震について(第6報)最終更新日 [2016年4月21日 11時07分]

ボランティアとしての支援方法について混乱があるようなので整理しておきますと、自活のスキルや支援方法についての装備などを準備できない個人の方は「ボランティアセンター」を通じて最低限の装備や自活方法でできる支援活動を行うことが望ましいという理由で、「ボランティアセンター」での受け入れが始まるまでは情報収集に徹して、無用の混乱を防ぐべきだと思います。逆にいえば、自活のスキルがあり、被災地で自主的に支援できる装備とノウハウをお持ちの方が自主的に支援活動を行うことは可能でしょう。

ただし、もう一つ重要な要件がありまして、そのように自主的に活動できる方であればこそ、避難所の担当者や地元の自治体、さらに救助活動を行っている警察や消防と十分に連絡を取り合いながら、秩序だった活動を行う必要があります。そのような連携ができない、あるいはするつもりがない方は、ただでさえ混乱している現地に無用の混乱をもたらす可能性が高いので、活動を自粛していただくのが被災された方への配慮だと思います。という言葉が届く相手ではなさそうなところが難しいところですが。

2016年03月12日 (土) | Edit |
マスコミでは今年も辛うじて全国放送で特集番組が組まれたりしていて、来年くらいからだいぶ減ることが予想されるところではありますが、その意味もあってか総括的な内容の特集が多いように見受けます。その中で昨年、玄田先生の『危機と雇用』を書評させていただいた『中央公論』の4月号で、「震災から5年 被災地が映し出す日本の歪み」という特集が組まれています。

特集の目次は、

特集 被災地が映し出す日本の歪み
●震災から五年という一つの区切りを迎えて
  人口減少を直視した復興を 増田寛也×御厨 貴
●これだけは言いたい、被災地の現実
  被災地域3県知事、34市町村長アンケート
●一人勝ちの先代、人口激減の沿岸自治体
  被災地が暗示する10年後の日本の姿 島田明夫
●復興に立ちはだかる「原形復旧」の壁 岡野貞彦
●僕らは永遠に応援団であり続けたい
  未来へ歩き始めた福島の子どもたち 小泉進次郎×林 修×南郷市兵

中央公論 2016年4月号(3月10日発売)
(リンク先は最新号の目次ですので、次号発行時に入れ替わります)

となっていて、増田×御厨対談では、しきりに反省の弁を述べる御厨先生とは対照的に増田氏が楽観的なことばかり発言されており、御厨先生に「増田さんの提案は、いつも最終的には悲観していないから、救われます。(笑)」と呆れ賞賛されていまして、なかなか面白い見物になっています。

まあそれはそれとして、特集の二つ目の記事の「被災地域3県知事、34市町村長アンケート」に様々な首長さん方の思いが綴られていて、色々な意味で考えさせられる内容になっています。質問項目は、
  1. 今だからいえる、震災前に備えておけばよかったと思ったことはありますか。
  2. 今後に向けて、国にこれだけはいいたいということはありますか。
  3. 震災前の自治体の課題は何でしたか? この5年間の復興、復旧の中で、その課題はどうなりましたか。
  4. 「日本創生会議」(座長 増田寛也氏)は、日本の人口減少が進む中、「『若者に魅力のある地域拠点都市』を中核とした『新たな集積構造』の構築が目指すべき基本方向」と提言し、「そのためには、『選択と集中』の考えを徹底し、人口急減に即して最も有効な対象に投資と施策を集中することが必要」としています。この提言について被災地からこの国をご覧になっている知事(市町村長)としてどのようにお考えになりますか。
の4点となっていて、知事や市町村長の考え方を引き出ためによく練られたアンケートになっていると思います。といいながら、冒頭の達増拓也岩手県知事の回答が実績をアピールするだけの木で鼻を括ったような回答ですが、岩手県宮古市や山田町、福島県南相馬市は質問項目に関係なく回答していたり、首長さん方の本音がにじんでいる回答になっています。特に自治体関係者の方には1の回答は参考になる(福島県いわき市の個別の事務についての指摘は担当者の苦労が忍ばれます)と思います。

ただし、アンケート自体は42市町村に送ったものの回答は34市町村となっていて、大槌町や南三陸町、相馬市など大きな被害のあった町を含む8市町村では回答できない状況があったことも伺えます。ぜひお手にとってご確認下さい。

2016年03月12日 (土) | Edit |
日付が変わってしまいましたが、今年も年度末の慌ただしさの中で震災から5年が経過しました。1年前に「政府主催の追悼式典は来年くらいまででしょうか」と書いたところですが、今年はなんとか天皇陛下ご臨席で催行されました。5年が経過して改めて振り返ってみると、これも1年前に書いた通り「所詮は人間のやることである以上、おカネがあってもできることは物理的にも手続き的にも限られる」状況ではありましたが、被災された地域の皆さんが官民問わず地道に復興の取組を進めた結果として、新しい街が実際に動き出す段階にまでようやくこぎ着けたというところだと思います。

各方面からの批判や軋轢を抱えながら、それでも目の前の事態に対応しながら一つひとつ積み重ねてきたものが形になって動き出してきたのは、震災から約4か月後に「一面が流されてしまった被災地に行くたびに「ここがどうなれば『復興』したといえるのだろうか?」と思い悩んで」いた状況を思い起こすと、まさに隔世の感があります。関係各位のご尽力に改めて敬意を表します。

そしてその先にあるのが、良くも悪くも震災前の状態に戻った後で、震災前からある課題にどうやって対応するかという古くて新しい問題です。昨年のエントリで取り上げた書籍で指摘されているように、

都市部と地方の福祉状況の違い

 東日本大震災では、都市部と地方の違いがあり、地方が震災前から抱えている課題が震災により浮き彫りになった面が数多く見られました。
 阪神淡路大震災では、被災した多くの地域が神戸や西宮のように大都市であり、人口が多い地域です。福祉制度においては、障がい者運動の成果に加えてそれぞれに独自の予算で競い合い、他の地域よりも進んだ制度を作り出す傾向がありました。
 一方、今回の被災地域の沿岸部では、年々人口の流出が進み、十分な福祉基盤が整備されていない状況があります
 主な特徴として、東北沿岸部では障害者福祉を担う事業所が大きな社会福祉法人一つというところが多くあります。地域に多様なホームヘルパーやガイドヘルパーなどの利用者、福祉サービス事業所がないことで、さまざまなニーズに対応しにくい面があります
 全体として、知的障害者、精神障害者に関わるサービスのわりには身体障害者へのサービスが不足しているように思いました。

p.120
そのとき、被災障害者は… 取り残された人々の3.11そのとき、被災障害者は… 取り残された人々の3.11
(2015/02/24)
不明

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※ 以下、強調は引用者による。

今何かと話題の保育所も含め、個人の生活を保障する公共サービスの供給体制は地方へ行くほど貧弱になります。それは一面では、農業などの個人事業主が多く、勤め人でも近接した勤務地という利点を活かして家計内の家事労働で生活を保障するサービスを補っているという実態を反映したものではありますが、その負担が家計内の家事労働では賄いきれない状況になってしまうと、その時点で生活保障機能が失われ、それに従事するため離職せざるを得なくなるという状況にあることも意味します。

都市と地方の違いとして、上記のとおり地方では障害者への福祉サービスが貧困なのは、過疎化が進む地域で、通所や訪問が可能な範囲では障害のある方の絶対数が少ないため、規模の経済が働かずにサービス受容者に対するコストが割高になるからといえます。これに対し、都市部では核家族化で家事労働の担い手がいないとか勤務地が離れていて早朝や深夜には家族が不在になるとかで家事労働が供給できない場合、それを外部化しようとしても、そのコストを租税により社会的に負担するのではなく個人に応益負担を求めるため、利用者には割高になり、提供者には十分な収入が確保できず、公的サービスが先細る一方で市場で提供されるサービスが高騰し、待機児童の問題が顕在化することになるといえるでしょう。

こうした負担と給付のバランスというのは往々にして利害が対立するところでして、その利害対立そのものを悪として認識するのが昨今の政治批判の風潮のように思います。前回エントリで取り上げた待鳥先生の『代議制民主主義』ではこう説明されています。

 だが今日、日本を含めた世界各地で代議制民主主義への疑問が突きつけられている。その大きな根拠は、結局のところ、理論的に想定されている委任と責任の連鎖関係が実際には存在していない。あるいは機能していないという認識に求められよう。
 政治家は選挙のときに曖昧で裏付けのない政策を訴えるだけで、それが実現しなかったとしても何の責任もとらないどころか、そもそも実現する気があるのかすら疑わしい。訴えている政策が特定の支持者集団や地域にのみメリットをもたらすもので、巨額の財政赤字を生み出すなど社会全体にとってはマイナスになる場合も少なくない。有権者も、社会全体にとってマイナスの政策や、中長期的には維持不可能な政策を打ち出す政治家に、安易な支持を与えてしまっている。政治家と官僚の間にも、官僚は専門能力を隠れ蓑にして実際には自らが望む政策を立案しているだけ、政治家からの具体的な指示があってもサボタージュしている、あるいは一部の政治家と結託して狭小な自己利益のみを追求している、といった不信が存在している。そして政治家は、官僚のこのような行動を黙認しており、場合によっては自らもお相伴に与っているように見える。
p.242-243


『代議制民主主義「民意」と「政治家」を問い直す』待鳥聡史 著(中公新書)


自民党ガーとか財務省ガーとか声高におっしゃる方によくある論理ですね。まあ「巨額の財政赤字」というのを「増税や社会保険料の引き上げ」と言い換えても十分に通用しそうな点でも汎用性は高そうです。このような「代議制民主主義」への批判の内容を、待鳥先生は次のように説明されます。

 したがって問題は、自由主義的要素と民主主義適用その間にいかなるバランスが成り立つのが望ましいと考え、かつどのようにしてそのバランスを維持するか、というところにある。これが難問であることは改めていうまでもないだろう。今日、代議制民主主義に向けられている批判には、政治家が民意を反映した政策決定を行わないというものが目立つ。だが歴史的に見れば、有権者の多数派の意向を政治家が過剰に代弁してしまっているという「多数者の専制」に批判が向けられることもしばしばであった。また、少数の有権者が持つ既得権益が長期的には必要な政策を妨げているという批判も根強い。政治家が民意から乖離しているという批判は民主主義的要素を強めることを求め、「多数者の専制」や強すぎる既得権への懸念は自由主義的要素を強めるよう期待する
 これらの批判はいずれも、具体的な政策についての反対者の立場とも関連していることが多い。自分が有権者の多数派を構成していると思われる場合には、政治家の裁量や自律性は、不要に感じられる。逆に自分が少数派や弱者であって一部の政治家のみが同じ意見だと信じるとき、社会の多数派や強者の意のままになる政策決定には危惧を抱く。だが、個々の政策決定への反対と、代議制民主主義に対する原理的な再検討は、区別されねばならない。
待鳥『同』p.252-253

先に引用した部分での「巨額の財政赤字」でも「増税」でも通じるほど汎用性の高い批判というのは、自分が多数派だから政治家が一部の既得権益に配慮していると感じるか、自分が少数派だから強者の論理で「数の論理」に押し切られていると感じるのかによって、政策に対する批判が自由に使い分けできるということの証左でもありますね。自分が正しいと信じる政策が少数派(と信じる)なら、自由主義的要素を強調してあえて民意から乖離する必要があると唱え、自分が正しいと信じる政策が多数派(と信じる)なら、民主主義的要素を強調して選挙や世論調査の結果を振りかざせばいいわけですから、オールマイティで批判できるわけです。

でまあ、増税を批判する方々はこれらの批判をさらにミックスさせて、「増税は景気を交代させるから絶対悪だ」といいつつ、一方で「景気を回復させるために公債発行して財政支出すべき」といい、さらに他方で「女性の社会進出はこれまでの統計では不合理だからそれを支援するのはムダ」であって「ポリコレに凝り固まった政府を罵倒せよ」という批判を繰り広げていらっしゃる方も多いようです。拙ブログでは、そうした批判こそが「「経済成長で再分配拡充を」というのと同じように、「国債の中央銀行引き受けで再分配の拡充を」というのは、ワンショットの財源としては有効ですが、それが持続可能でないのであれば生活の向上はおろか社会全体の限界的消費性向の向上も見込めない(従って総需要拡大によるインフレも見込めない)ということになると懸念」しているところでして、その結果が、特に生活保障に関連する分野において、被災した地域では震災前の状態に戻るにつれて公共サービスの貧弱さが顕在化し、都市部では保育や介護などのサービスの不足などの問題が顕在化していると考えるべきではないかと思います。震災から5年が経過し、古くて新しい問題が顕在化している現在、単に「震災後」としてではなく、震災前と地続きとなっている日本全体の生活保障の問題が、政治のメインイシューとなる段階に入っているのではないでしょうか。

2015年12月07日 (月) | Edit |
前回エントリに引き続き、会計検査院の報告から緊急雇用創出事業関係の案件ですが、

 そして、上記77事業のうち、道及び5県(注4)管内の17市町村(注5)が委託するなどして実施した22事業(事業費計39億3578万余円、このうち基金事業の対象経費となるリース料計7億7949万余円)については、機器等の使用可能年数として一般的に認められている「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(昭和40年大蔵省令第15号)に定められた期間(以下「法定耐用年数」という。)よりも短期間となっている1年以内の事業期間又は当該事業期間内における当該機器等の使用期間(以下「事業期間等」という。)をリース期間と設定してリース料を算定しており、この額を基金事業の対象経費としていた。また、上記の22事業については、受託者等が基金事業の終了後も、リースにより調達された機器等をリース料の10分の1程度の低額で再リースしたり、低額で買い取ったりするなどして継続して使用していた
 しかし、基金事業において調達した機器等について、事業期間等をリース期間と設定しリース料を算定して、この額を基金事業の対象経費とすることは、基金事業の終了後に受託者等が自らの負担によるなどして行う事業で使用する当該機器等に係るリース料も基金事業の対象経費に含めることになる。このため、基金事業の終了後も受託者等が継続して使用する見込みのある機器等をリースにより調達する場合のリース料の算定に当たっては、事業期間等をリース期間として設定するのではなく、法定耐用年数等の合理的な基準に基づいてリース期間を設定し、事業期間等に発生した分のリース料のみを基金事業の対象経費とするのが適切であると認められる。
 そして、前記の22事業について、リースにより調達された機器等の法定耐用年数をリース期間と設定しリース料を算定して事業期間等に発生するリース料のみを基金事業の対象経費とすると、表のとおり、リース料は計1億3724万余円となり、当初基金事業の対象経費として計上したリース料計7億7949万余円との差額6億4225万余円は過大に算定されていたと認められた。

(注3)3道県 北海道、岩手、沖縄両県
(注4)5県 岩手、秋田、山形、愛媛、沖縄各県
(注5)17市町村 盛岡、花巻、北上、一関、釜石、二戸、奥州、にかほ、鶴岡、西予、名護各市、下閉伊郡山田、九戸郡洋野、雄勝郡羽後、国頭郡本部、島尻郡南風原各町、国頭郡今帰仁村

(表省略)

 上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
〈事例〉
 岩手県九戸郡洋野町は、平成24年度に、コールセンター業務等の実施によって、コールセンター等の情報通信技術を活用した新たな業種に対応できる人材を育成することを目的とする「コールセンター人材育成事業」を基金事業として契約金額1億8989万余円(変更契約金額2億2209万余円)で株式会社Aに委託し、同会社が当該事業を実施したことを確認して、1億8458万余円を同会社に支払っており、岩手県は同町に対して、基金を財源として同額の補助金を交付していた。そして、本件基金事業が開始される前の24年3月に同町と同会社との間で締結された「事業所立地に関する協定書」等において、同会社が基金事業の終了後も自らの負担によるなどしてコールセンター業務等を継続して実施することが予定されていた
 同会社は、コールセンター業務用機器等のリース料について、法定耐用年数(6年等)よりも短期間となっている基金事業の期間内の使用期間(以下「使用期間」という。)である8か月をリース期間と設定し5343万余円と算定して、同額を基金事業の対象経費としていた。
 しかし、基金事業において調達した機器等について、使用期間をリース期間と設定しリース料を算定して、この額を基金事業の対象経費とすることは、基金事業の終了後に同会社が自らの負担によるなどして行う事業で使用する当該機器等に係るリース料も基金事業の対象経費に含めることになる。

緊急雇用創出事業の実施に必要な機器等をリースにより調達し、当該機器等を事業終了後も継続して使用することが見込まれる場合において、合理的な基準に基づいてリース期間を設定することを実施要領に明示することなどにより、同事業の対象経費となる機器等のリース料が適切に算定されるよう改善させたもの(PDF形式:171KB)
ホーム > 検査結果 > 最新の検査報告 > 平成26年度決算検査報告 > 第3章第1節 省庁別の検査結果 > 厚生労働省
※ 以下、強調は引用者による。

ということで、大雪りばぁねっとはそのままの名称が出されていたのに対し、こちらでは「株式会社A」となっていますが、これはもちろん「株式会社DIOジャパン」ですね。こちらのエントリで引用した読売新聞で指摘されていたことについて改善措置がとられたとのことです。

DIO研修中5000万収入…県調査(読売新聞 2014年08月05日)※リンク切れ

 DIOジャパン(本社・東京)がにかほ市と羽後町に開設したコールセンターの従業員研修期間中、約5000万円の収入を得ていたことが4日、県の調査で分かった。研修期間中の従業員の給与は、国の緊急雇用創出等臨時対策基金で賄われており、収益が出た場合、地元自治体に返還する義務がある。県は近く厚生労働省に報告し、返還を求めることが可能な収益に当たるか否か判断を仰ぐ。

 このほか、にかほセンターが昨年12月~今年12月の契約で借りたノートパソコン80台について、研修期間外の今年4月以降の使用料も基金で支払ったことなどが判明。県は「基金返還の可能性が高い案件」として、併せて同省に報告する。
(略)
 一方、佐竹知事は4日の記者会見でこの問題について「良かれと思って(誘致を)頑張ったが、結果的に従業員と地域の方々に心配をかけた。深く反省し、おわびしたい」と陳謝した。

(略)
念のため記事の解説をしておくと、委託事業というのは本来自治体が実施するべき事業について、その実施を他の事業体に委任するものでして、民法でいう委任(特に事実行為の委任である準委任)に該当します。したがって、緊急雇用創出事業であっても、あくまで自治体が実施すべき事業を他の事業体が代わりに実施するものとなりますので、事業体が自ら行う事業とは経理上も実態上も明確に区別されます。ということで、委託事業で雇用した従業員を委託事業の仕様書に定められた以外の業務に従事させることは認められませんし、事業体が自ら行う事業で発生した経費に自治体からの委託費を充当することも認められません。

当事者意識の欠如(2014年08月08日 (金))

この当時の厚労省の報告書も持って回った書きぶりでしたが、会計検査院もさらっと「本件基金事業が開始される前の24年3月に同町と同会社との間で締結された「事業所立地に関する協定書」」とか書いていて味わい深いものがありますね。まあ、かといって緊急雇用創出事業が終わった後も事業を続けるからといって緊急雇用創出基金を財源として購入した備品をタダで使用できるわけではないんですが、もしかすると佐竹秋田県知事のように「よかれと思って」便宜を図ったのかもしれませんが、何度も繰り返すとおり適切な手続きを経ない事業はその正当性を失ってしまうという厳然たる事実には謙虚に学ぶ必要があるでしょう。

ということで、震災後に数倍に膨れあがった事業の後始末はこれからも続くところでして、膨れあがった事業に加えて被災された地域の自治体職員には大きな負担となっています。

被災地町村、監査で悲鳴 県内、業務量増も職員不足(岩手日報(2015/11/21))

 自治体の財務や事務事業の在り方をチェックする監査委員制度をめぐり、県内町村の体制確保が課題となっている。20日には花巻市内で町村監査委員の研修会が開かれ、業務量に対し職員配置が不足している現状に悲鳴が上がった。補助金が不適切に使われた山田町の「大雪りばぁねっと。」問題などもあり、再発防止に向け監査の重要性が増す一方、行革で職員削減が進み、沿岸被災地は復興業務にも追われるなど対応に苦慮している。

 町村の監査委員は通常2人で、事務局の職員が業務を支えている。しかし県町村監査委員協議会によると、専任職員を置く市部と異なり、町村は議会や農業委員会、選管など複数の事務局を兼ねる場合が多い。

 田野畑村は監査委員の事務局が議会など計4事務局を兼ねており、大沢喜男事務局長は「行財政改革で職員数が減っている。手が回らないほど忙しい時期もある」と明かす。大槌町は2015年度当初予算が震災前年の約9倍、506億円に激増。以前は議会と兼ねていた監査委員の事務局を13年度に独立させ、職員体制も1人増の3人に拡充したが、激務は十分には解消されていない。平野公三町長は「体制充実の必要性は感じるが、まずは監査に至る前段で事務の在り方を整理したい」と配置以外の負担軽減策も探る。

 監査委員の権限は、07年に制定された財政健全化法に伴い健全化比率の審査が課されるなど拡大傾向にある。「大雪」問題では自治体の事務事業の管理体制があらためて問われ、監査委員が果たすべき役割も大きい。

ということで、予算額が増えるというのは単に使えるお金が増えるだけではなくて、その後始末を含めて膨大な作業量を伴うわけですね。私も下っ端役人としてそうした現場におりますので、「官僚とか役人とかは予算をぶんどってくることが仕事だ」とかいうステロタイプな批判を目にすると、「いやそんなことしたらまた仕事が増えるんだけど…」というのが正直な感想でして、被災された地域の自治体で起きていることはまさにそういうことなんですが、まあそういうステロタイプな批判をする方々にはそもそもそんな事態は想像もつかないのでしょうと遠い目をするばかりです。

2015年12月06日 (日) | Edit |
いろいろとネタにしたいことはありつつも業務繁忙で更新できませんでしたが、とりあえず拙ブログで何度も取り上げている緊急雇用創出事業についての会計検査院による「平成26年度決算検査報告」が公表されましたので、概観してみます。

まずは、緊急雇用創出事業の事業費を私的に流用したとして業務上横領の罪に問われた岩手県山田町での事件については、検査の結果、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた「不当事項」として取り上げられています。

 基金事業では、都道府県等が企画した事業を民間企業等へ委託し、当該民間企業等(以下「受託者」という。)が公募により失業者を雇い入れて行う事業(以下「委託事業」という。)等が実施されている。都道府県は、自らが委託事業を実施する場合は、委託費相当額をそれぞれの基金から取り崩して受託者に支払い、管内の市町村等が委託事業等を実施する場合は、当該市町村等に対して基金を財源とした補助金(補助率10分の10)を交付している。
 実施要領等によれば、委託費の対象経費は、受託者に新規に雇用された者に係る賃金等の人件費、受託者に既に雇用されている者(以下「既存雇用者」という。)が基金事業に従事した分に係る賃金等の人件費及び基金事業の実施に必要なその他の経費とされている。そして、事業実施の要件は、新規に雇用する予定の労働者の募集に当たり、より多くの求職者に対して当該事業への応募の機会を提供する観点から、公共職業安定所への求人申込みなどにより公募を図ることなどとされている。
 本院が、10都道県において、10都道県及びこれらの都道県から補助金の交付を受けた管内の132市区町村を対象に会計実地検査を行った結果、3道県(注1)及び23市区町村(注2)が実施した基金事業において、受託者等が、基金事業の対象とならない経費を計上したり、新規に雇用する失業者の募集に当たり公募を行っていなかったりなどしていたため、計222,016,588円(交付金相当額同額)が、10都道県(注3)に造成されたそれぞれの基金から過大に取り崩されて、補助の目的外に使用されていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、上記の10都道県及び23市区町村において市区町村又は受託者から提出された委託事業に係る実績報告書等の内容の調査確認が十分でなかったこと、10都道県において23市区町村に対する指導監督が十分でなかったこと、厚生労働省において10都道県に対する指導監督が十分でなかったことなどによると認められる
(注1)3道県 北海道、山梨、広島両県
(注2)23市区町村 函館、盛岡、花巻、一関、釜石、二戸、奥州、鶴岡、高岡、魚津、津、防府、高松、三豊各市、豊島区、上川郡東川、白老郡白老、下閉伊郡山田、九戸郡洋野、西八代郡市川三郷、南巨摩郡富士川、安芸郡府中各町、南都留郡鳴沢村
(注3)10都道県 東京都、北海道、岩手、山形、富山、山梨、三重、広島、山口、香川各県

〈事例〉
 岩手県下閉伊郡山田町は、緊急雇用創出基金を財源とした委託事業として、町内の物資センターの運営や防犯パトロールを行うことなどを内容とした「山田町災害復興支援事業」を平成23年度に430,593,050円で、「復興やまだ応援事業」を24年度に791,417,000円でそれぞれ特定非営利活動法人大雪りばぁねっと(以下「法人」という。)に委託していた。そして、23年度事業については、同町は、法人から実績報告書の提出を受けて、委託費を430,486,582円とし、岩手県は同町に対して、緊急雇用創出基金を財源として同額の補助金を交付していた。
 また、24年度事業については、事業実施期間の途中で継続が困難となったことから、同町は法人との契約の一部を解除し、法人から実績報告書の提出を受け、委託費を363,208,574円と確定し、同県は、このうち経費の内容が明らかでなく、事業との関連を確認できなかった支出等を控除し、289,423,261円が補助の対象となるとして、同町に対して、緊急雇用創出基金を財源として同額の補助金を交付していた。
 そして、24年度事業において経費の内容が明らかでなく、事業との関連を確認できなかった支出等が見受けられたことから、同県は23年度事業についても、委託費の再調査を行い、23年度事業の補助金の額を262,996,133円と修正していた。
 そこで、本院においても、実績報告書等を基に検査したところ、法人は、主に北海道旭川市内の法人の事務所において、既存雇用者2名が、本件委託事業に係る事務を専従で担当していたとして、事業期間内に当該2名に対して支払われた人件費23年度計7,779,000円、24年度計6,879,000円の全額を本件委託事業に要した経費として実績報告書に計上していた。
 しかし、法人において、当該2名に係る業務日誌を作成していなかったことから、法人が同町へ提出した本件委託事業に係る出張の復命書等により当該2名が本件委託事業に係る事務に従事した日数を確認して、人件費を算定したところ、23年度2,034,369円、24年度2,411,000円となった。したがって、前記の実績報告書への計上額との差額23年度5,744,631円、24年度4,468,000円、計10,212,631円は、本件委託事業の対象経費とは認められない。
 また、法人は、本件委託事業の実施に必要な経費とは認められない打上げ花火の購入費等2,930,527円を本件委託事業の対象経費として計上していた。
 したがって、本件委託事業の対象経費とは認められない計13,143,158円(交付金相当額同額)が岩手県から同町に交付される補助金として緊急雇用創出基金から過大に取り崩され、補助の目的外に使用されていた。
 なお、本件については、平成25年度決算検査報告の「国民の関心の高い事項等に関する検査状況」において、検査を実施している旨を記述した(平成25年度決算検査報告1162ページ参照)。

(単位:千円)

部局等補助事業者
(事業主体)
補助事業年度基金造成額
・左に対する
交付金交付額
不当と認める
基金使用額
・交付金相当額
厚生労働省本省北海道緊急雇用創出基金
ふるさと基金
20~25
20
53,490,000
8,210,000
6,354
4,424
岩手県緊急雇用創出基金20~2595,284,53756,929
山形県20~2526,977,00011,788
東京都20~2561,236,00027,684
富山県20~2520,007,6004,719
山梨県20~2516,691,80080,548
三重県20~2525,585,0004,386
広島県20~2524,916,30019,285
山口県20~2516,105,1001,579
香川県20~2511,755,0004,315
360,258,737222,016

緊急雇用創出事業臨時特例交付金及びふるさと雇用再生特別交付金により造成した基金を活用して実施した事業において基金を補助の目的外に使用していたもの(PDF形式:147KB)
ホーム > 検査結果 > 最新の検査報告 > 平成26年度決算検査報告 > 第3章第1節 省庁別の検査結果 > 厚生労働省
※ 以下、強調は引用者による。表が大きいので数値が重複する項等を省略してあります。

…なんで会計検査院のpdfはコピペしようとすると文字化けするのか、そのために手打ちで上記を引用するための労力は無駄で不当なものではないのかと小一時間問い詰めたいところですが、まあ概観するといいながらほぼ全部引用してしまいました(ということでタイポがありましたらご容赦ください)。
(付記)緊急雇用創出事業臨時特例交付金及びふるさと雇用再生特別交付金により造成した基金を活用して実施した事業において基金を補助の目的外に使用(PDF形式:89KB)こちらの概要版ではコピペできませんでしたが、本文ははコピペができましたのでそちらに差し替えています。「概要」を見たのが間違いだったとは…

引用部分の最後の文は、検査自体は平成26年度に実施していた(25年度の決算なので26年度に検査します)ということですが、まあものの見事に「そもそも論からすれば、不正受給とか虚偽申請ってのはそういうことをした側がその責を問われるはずです。しかし、会計検査院とかオンブズマンの方々はそれを見逃したとか適切に処理しなかったとして役所の責任を追及され」ていらっしゃいますね。まあ、会計検査院の目的は役所の不正を暴くことですから、会計検査院の役人はその職務を粛々と果たしているわけですが。

ということで、事業者に対しては司法が裁くことになるわけでして、この旭川市内に居住して勤務の実態がないのに人件費の支払いを受けていた2名と代表者に対する裁判は着々と進んでいます。

<山田NPO横領>元代表の母に実刑(河北新報 2015年02月25日水曜日)

 岩手県山田町から緊急雇用創出事業を受託したNPO法人「大雪りばぁねっと。」(北海道旭川市、破産手続き中)の横領事件で、働かずに給与を受け取ったとして業務上横領罪に問われた元代表理事の母、無職岡田かおり被告(54)=旭川市=に盛岡地裁は24日、懲役2年4月(求刑懲役3年6月)の判決を言い渡した。
 岡田健彦裁判長は、かおり被告の出勤簿が、他の従業員と別扱いで後から作成された経緯を指摘。「問題を隠蔽(いんぺい)しようとしたことが推認される」と述べた。
 給与の原資が事業費であったことの認識の有無に関しては「被災地域で活動する大雪の資金源について、何も知らないのは常識的に考えて不自然」と判断した。
 判決によると、かおり被告は2011年12月~12年11月、元代表理事の岡田栄悟被告(36)=旭川市、業務上横領罪で公判中=らと共謀、勤務実態がないのに事業費から計約466万円の給与を受け取り、横領した。

このうち母親は控訴しましたが、高裁で棄却されて確定しています。
NPO法人元代表の母、二審も実刑 岩手の震災事業費横領(産経ニュース 2015.7.9 12:39)
代表者とその妻への地裁判決は来年1月とのこと。

NPO元代表に懲役8年求刑 - NHK岩手県のニュース 11月02日 18時59分(リンク切れ)

東日本大震災後に山田町で活動していたNPO法人の元代表理事らが町から委託された被災者の雇用を支援する事業の補助金を私的に使ったとして、業務上横領などの罪に問われている裁判で、検察は「復興のための公的資金を私的に流用したことは極めて悪質だ」などとして元代表理事に懲役8年を求刑しました。
北海道旭川市のNPO法人、「大雪りばぁねっと。」の元代表理事、岡田栄悟被告(36)は山田町から委託を受けた被災者の雇用を支援する事業で、補助金あわせて5300万円あまりを私的に使ったとして業務上横領などの罪に問われています。
2日は盛岡地方裁判所で、岡田元代表と、同じく業務上横領の罪に問われている妻の光世被告(34)の裁判が開かれました。
この中で、検察は「被害額が高額であり、復興のための公的資金を私的に流用したことは極めて悪質で身勝手きわまりない行為だ。社会を騒然とさせた行為に対する刑事責任は重い」と指摘しました

その上で、岡田元代表に懲役8年、光世被告に懲役3年6か月を、それぞれ求刑しました。
一方、弁護側は「NPO法人の活動の中で適正さを疑われる形でなされた支出もあったかもしれない」としましたが、いずれの行為も町からの委託を受けた業務の範囲で行われており、法律上の業務上横領にはあたらないなどとして無罪を主張しました。
最後に岡田元代表が意見陳述し、「この復興事業は私利私欲のためにやったものではない。協力してくれた人たちの期待に応えられなくて大変申し訳なく思っています」と述べました
判決は、来年1月19日に言い渡されます。

ということで、裁判では母親の466万円と代表らへの5,300万円を合わせて5,800万円程度の横領が問われていまして、会計検査院が本件委託事業に関して目的外に使用されていたとした額は1,300万円程度、岩手県全体でも5,900万円弱となっていて裁判と微妙に異なっているように思いますが、まあ端数の関係かもしれません。でまあ、最後に引用した記事で代表者が「この復興事業は私利私欲のためにやったものではない」と言い張るところに、改めて「当事者意識の欠如」を感じます。手段が目的化することはもちろん本末転倒ですが、特別会計と特定財源の違いも分からないような目的さえ正しければ手続きなんてどうにでもなるという議論は、その事業の正当性を失わせてしまい、結局事後的に不当なものとしてその実施主体が責任を取らされることになるわけですね。会計検査院の結論は出ましたので、後は司法の判断を待つことにします。

ちなみに、これだけ世間を騒がせた割に(?)岩手県ではなく、山梨県が不当とされた額が最多となっておりまして、地元の地方版ではその理由が報じられているようです。

会計検査院:決算検査報告 緊急雇用、不適正8054万円 全国最多 県、指摘の15件返還へ /山梨 毎日新聞 2015年11月07日 地方版

 会計検査院が6日公表した2014年度の決算検査報告によると、県関係では失業対策の「緊急雇用創出基金事業」で要件に反した国の補助金交付や、農業関係で国の補助事業を受けて取得した財産の無断貸し付けなどが指摘された。同創出基金事業で不適正とされた額は約8054万円(8件)で全国で最も多額となった。県は検査院から自主返還するよう指導があった分を含め、約9891万円(15件)を返還する方針を明らかにした。【後藤豪、藤河匠】
(略)
 県労政雇用課によると、県が東京都八王子市の人材育成会社に委託した「ジョブカフェサテライト事業」(11、12年度)では、雇用期間を1年以内としている同事業の実施要綱に反し、同じ人を2年連続で雇っていた。検査院は「失業者を新規に雇用していない」などとして、計約1720万円の不正を指摘。同社関係者は毎日新聞の取材に「県の当時の担当者には確認を取った上で行った」と話した

 このほか、県農業振興公社が県から委託を受けた「耕作放棄地を活用した企業の農業参入推進事業」(11年度)では、雇用した38人中31人が失業者か否かを確認できる書類が不備だったという。検査院からは5071万円分が、国補助金の目的外使用と認定された。

うーむ、これは役所の担当者まで含めて制度の理解が足りなかったといえそうで、この記事による限りは「ずさん」と指摘されても仕方ないのではないかと思います。いやもちろん、この記事が何処まで実情を伝えているかわかりませんが、世間の耳目を集ようが集めまいが適切な手続きを経ない事業はその正当性を失ってしまうわけでして、これからの緊急時対応でも適切な対応が必要であることはいうまでもありません。

もう一つ拙ブログで取り上げているネタも検査対象となってしますが、長くなりましたのでエントリを分けます。