2019年03月18日 (月) | Edit |
年度末のデスマーチですっかり更新が滞ってしまいましたが、先週で震災から8年が経過しました。年に数度のデスマーチに見舞われてほとんど被災された地域に足を運ぶことがなくなってしまっておりますが、昨年末に行った際は、その地域のあまりの変化具合に以前どうなっていたかを思い出すのに時間がかかるほどでした。現在の被災された地域はかろうじて幹線道路や河川が元の位置にあるだけで、土地そのものが形状も高さも形が変わってしまっていて、復興というより本当に新しく街を作り直したんだなと感じます。たとえば市街地の再開発というのは私も何度か見た記憶があるものの、これだけの変化は初めて見る光景で、正直なところ戸惑うくらいです。

ただし、街が新しくなってそこに元いた方々が住むかというと、話はそう単純ではないわけでして、3年前にも指摘しておりますが「良くも悪くも震災前の状態に戻った後で、震災前からある課題にどうやって対応するかという古くて新しい問題」が厳然と立ちはだかることになります。

その現実に向き合っている若者の姿を追った番組を拝見したのですが、

今年1月、岩手県・三陸沿岸の山田町でタイムカプセルが掘り起こされた。8年前、東日本大震災の直後に埋められたものだ。当時、大沢小学校を卒業したばかりの6年生29人全員が「二十歳の自分へ」と題して手紙を書き、カプセルに入れた。今年二十歳となり成人式を迎えた彼らは、今の自分に宛てた手紙と再会した。
被災によって、彼らは多感な10代を厳しい環境の中で生きてきた。復興に向けて頑張ると誓い潜水士となって防潮堤など復興工事に携わる人。故郷を離れたものの、今も震災の記憶にさいなまれる人。身近な人の死に向き合えずにいる人。
あれから8年。二十歳という人生の選択の時を迎えた彼らは、震災直後の自身からのメッセージをどう受け止め、どのように次の一歩を踏み出すのか?二十歳の若者たちの旅立ちの時に密着する。

「NHKスペシャル “震災タイムカプセル”拝啓 二十歳の自分へ」
2019年3月11日(月)午後8時00分~8時43分

タイムカプセルを掘り起こそうと同級生に声をかけたのは、地元を離れて東京に進学し、そのまま東京で就職することを決めた方でした。番組の最後はその彼が取り上げられていましたが、同じ被災された地域出身でありながら、自分の家族に被害がなかったことに後ろめたさを感じて、自分が被災した地域出身であることをあえて表に出さず、東京で就職することにしたとのことです。しかし、同級生と会って震災に向き合う気持ちになり、被災した地域出身者としての決意を卒論に記したところまでが描かれていました。

いやまあ、少子高齢化が進んで人口減少に拍車がかかるというのは、まさに当地のような地方にとっては「古くて新しい問題」なわけですが、かといって若者が地元に縛り付けられるというのは、それもまた「古くて新しい問題」でもあります。その問題解決の打開策として若者に期待が寄せられるのはやむを得ないとしても、そうした二律背反な期待が寄せられるとあっては、若者も苦悩が深まるばかりでしょう。

新しく作り直された街で、その街に住む若者がどういう社会を作っていくのか、そうして苦悩する若者に対して、かつての若者であって現在の社会のディシジョンメイカーの中核を担っている大人たちがどう向き合うのかを考えると、実際の行動として実現する段階に進んでいると実感します。当時の小学生が成人するだけの時間が経過しているわけですからそりゃまあそうなのですが、その段階に進んでいるという実感と、それが行動に結びついていないという実感が併存するのもまた、それだけの時間が経過したことの表れなのかもしれません。
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コメント
この記事へのコメント
いつもブコメをいただいているhahnela03さんから本エントリについてもブコメをいただきまして、

> hahnela03 震災前の姿を残そうとすることが、時には人々に見えない壁をつくる。欧州の第二次大戦前の街並み復元と言う感覚は日本人にはなじまないのではないかとは感じています。
2019/03/19
http://b.hatena.ne.jp/entry/4666099990754438978/comment/hahnela03

いつもの通りですが、本エントリも特に結論というものはありませんが、震災が起きる前の地方というのは、むしろ地元に残るのは負け組のような扱いをされていたと記憶しております。

まあ、一部では意識が高くて地元愛に溢れているような方々が「人口減少を食い止めるためには、企業を誘致して若者が地元に定着し、子育てできるようにしなければならない」とかおっしゃる方もいましたが、そのご自身の子息はエリート高に進学して東京や海外でグローバルに活躍(棒)できるように日夜勉学に追い立てているように見受けます。創造的復興とかおっしゃる方も、街を作り直せば創造的という認識なのかもしれませんが、そうして創造的に作り直された街が震災が起きる前と同じ問題を抱えていることは華麗にスルーされるようです。

先日NHK総合の「ブラタモリ」で、パリが街を作り直した歴史を取り上げていましたが、それはやはり作り替える前の街が下水道も整備されず車の往来もできないような問題を抱えていて、その解決を目指すものだったとのことで、では震災後に作り直された街が、震災前の問題を解決できるのかということが問われているのだろうと思います。
2019/03/21(木) 17:41:02 | URL | マシナリ #-[ 編集]
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