2016年07月02日 (土) | Edit |
日本の首都である自治体の首長がよく分からない理由で辞任して選挙が行われるそうですが、その候補者選びが混迷の度合いを深めているようです。今日時点で名前が挙がっている候補者候補の中に元カイカク派知事が2人もいるというのは、当時の議論を思い起こすと隔世の感がありますな。

増田氏「お任せします」都知事選出馬に含み 日本テレビ系(NNN) 7月1日(金)22時55分配信

 東京都知事選挙をめぐる候補者選び。自民党の東京都連は、新たに増田寛也・前岩手県知事に立候補を要請する方針を決めた。

 東京都連の幹部によると、自民党は桜井俊・前総務省事務次官の擁立断念を受けて、新たに前岩手県知事の増田寛也氏に立候補を要請する方針を決めた。都議会自民党や首相官邸サイドも了承しているという。

 これに対して増田氏は1日夕方、「どこからも打診はない」とした上で、要請があった場合の出馬の可能性について、「そこはお任せします」と含みを持たせた。
(略)
 自民党内では小池氏の容認論も出ているが、東京都連としては、まずは増田氏との交渉を優先させる方針。

ここ数年「地方創生」という聞き慣れない言葉で人口危機論をぶち上げて議論を巻き起こしたセンスには敬服しますが、まあこの方は言葉だけはまさに立て板に水というほどに流れ出てくるものの中身がないんですよね。

番組には増田寛也元総務大臣(というより、前岩手県知事として呼ばれたんでしょうけれど)が出演していて、相変わらず実務をガン無視した理想論をぶって分かったようなことをいっていましたな。この元「カイカク派知事」は、番組の最後で「構想をはっきりと示す」とか「場合によっては柔軟に対応する」とか「スピード感を持って取り組むことが大事」とか「被災者のニーズが変わっているから、それを丁寧に拾い上げることが大事」とか「国民全員で役割を引き受ける」とか、だから具体的に何をどうしたらいいんですかねえということを一切言わずに番組を締めていまして、さすがのカイカク派クオリティでした。こういう空疎な理想論がどれだけ現場を疲弊させているのか、カイカク派な方々にはご理解いただけないようです。番組の後半では、公務員不足の犠牲者となった方も取り上げられていましたが、この元「カイカク派知事」がおっしゃることは何一つ意味がないということをまざまざと実感させられました。

「ポジティブな復興の影(2013年03月17日 (日))」

というか、その出自からして地元のしがらみだらけなのに、担いでもらった小沢一郎氏の支援を袖にして県民党をぶち上げたり、中身がないというよりむしろその滔々と流れ出る言葉の裏側が全く見えないというべきでしょうか。

いやあまあ、地方重視って言うからにはある程度予想はできたんですが、よりによって総務大臣に増田氏とはねえ。「民間からの登用」なんてことになってますが、この人根っからの官僚ですよ。さらにいえば政治家の二世だし、「民間」っていうよりは「古き良き」時代の遺物といった方がいいかも。
(略)
記事の信憑性はともかく、出自からすれば過去のしがらみがあったからこそ、それを逆手にとって改革を進めた面は否定できないんではないかと思う次第。三重県の北川前知事も似たような境遇だし(道理で二人は仲がいいんだなあ)。

「あらら(2007年08月28日 (火))」

という経歴からしてもこの方は自民党と親和性が高いわけでして、自民党政権で総務大臣を歴任されている経緯からすれば、まあ自民党が担ぎ出したくなるのも理解できますね。

という増田氏の都知事選候補の報に接しての感想としては、このふたつのtweetに付け加えることはありません。


さて、知事選に出馬した当時に増田氏を担いだ小沢一郎氏はいまや野党連合の中でも泡沫政党の共同代表となっているわけでして、ちょっと古い記事ですが、その野党連合の最大派閥である民進党では「山陰のカイカク派知事の雄」片山善博氏を推す動きがあるそうです。

都知事選候補 民進都議、片山氏で一致 都連が調整へ(毎日新聞2016年6月22日 07時00分(最終更新 6月22日 08時47分))

 舛添要一知事の辞職に伴う東京都知事選(7月14日告示、同31日投開票)で、都議会民進党(旧民主系)が前鳥取県知事の片山善博・慶応大教授(64)に立候補を打診する方向で一致したことが分かった。民進党都連幹部が21日、明らかにした。

 民進都連は同日、都内で選挙対策委員会を開き、都知事選に擁立する候補者の人選について話し合った。

 都連関係者によると、都議側から「知事経験もあり地方自治が分かっている」として、元自治官僚で鳥取県知事を2期務めた片山氏を推す声が上がった。他にも数人の名前が出たが、都議側は片山氏で一致したという。今後は都連で調整が進められるとみられる。

 委員会終了後、都連会長の松原仁衆院議員は「実務的ではない知事が2代続き、都政を任期半ばで投げ出してしまった」と述べ、実務的な人物が候補者にふさわしいとの見解を示した。委員会で挙がった具体的な名前は明かさなかった。

 片山氏は岡山県生まれ。1974年に旧自治省(現・総務省)入省。99〜2007年に鳥取県知事を務め、10年9月から民主党(当時)の菅直人内閣で総務相を1年間務めた。

片山氏についても拙ブログで何度か取り上げていますが、民主党政権での総務大臣時のものとしては、

たとえば、片山氏がよく使う論法ですが、学校の修繕が必要なときに、修繕だけでは国の補助金がもらえないけど、建て替えれば補助金がもらえるから建て替えてしまうという例を挙げて、だから地方に財源があれば修繕だけで済むので予算を節減できるんだとこの日の日曜討論でも主張されていました。でもそれって、国全体の財政で見れば地方がその補助金をもらってまでして建て替えなければいいだけの話であって、そういった国全体の財政状況を顧みることなく、建て替えが必要だと言い募っては補助金をもらおうという地方の側に、必要かつ最小限のコストを見極めるという意味でのコスト意識があるのかは大変疑わしいですね。もちろん、「必要かつ最小限のコストを見極める」ためには「民意」とかいう漠然としたものでは役に立ちませんし。

ついでに、片山新総務大臣は、鳥取県知事時代に人事委員会勧告を深掘りして給与カットを実施したことを誇らしげに語っていましたが、労働権を制約されている公務員の人権代替措置を軽々と無視してしまうような方に、どれだけ労働者の立場に立った政策を考えるおつもりがあるのかは大変興味深いところです。

「原理主義的地域主権(2010年09月20日 (月))」

という次第で、原理原則を唱えれば全て解決という原理主義的な方ですので、こちらもまた野党連合には親和性の高いお方ですね。

ちなみに、東京都知事選に出馬する元カイカク派知事には偉大な先達がいらっしゃいまして、

一応4候補の公約について入手できる範囲で確認してみましたが、マニフェストの要件(と思われるもの)を満たしているのは浅野氏のみという結果。マニフェストによる差別化こそが浅野氏の戦略ではありますが、少なくとも世間でいわれるほどに「マニフェスト選挙」といえる状況にはなさそうです。

「地方の選挙(2007年03月18日 (日))」

ということでしたが、選挙を終わってみると、

浅野史郎という方は厚生省で障害者福祉に携わっているうちに脳内が左派思想に染まってしまったらしく、弱者が救われればその他がどうなっても知ったこっちゃないということを正義のオブラートで包んで発言してしまう。この場合の弱者は地方で、弱者以外の強者は東京とかの大都市なんだけど、
「宮城県の住民が払った税金は宮城県のために使うというのが民主主義の基本であり、地方分権は民主主義の先進国家になるための絶対条件だ」
って本気ですか? 民主主義の基本とまでおっしゃるなら東京都の住民がそれを主張してもいいんですな。大都市の財源を地方に配分する仕組みである地方交付税の根幹を否定されるとはなかなか大胆なご提案です。

「地方分権劇場(2008年04月20日 (日))」

ということで、地元の財源は地元で使うべきという小学生のような論理で民主主義を語る方だったわけで、我々地方在住者にとっては東京都知事にならなくてよかったというべきか、東京都民はスバラシイ知事候補を逃してしまいましたね!!!!(棒)

まあそれはともかく、地方分権の論議が盛り上がっていた当時は財源が東京に集中する東京問題こそが地方財源論の焦点だったわけでして、東京からの財源配分を声高に主張していた元カイカク派知事の皆さんがこぞって東京都知事を目指すというのは、東京問題を是正するためにその本丸に乗り込むぞ!ということならその意気やよしとしないでもありませんが、上記の浅野氏のような発言を見ていると、その真意がどこにあるのかはよくわかりません。まあ東京都民の方にとってはそんなことどうでもいいでしょうから選挙の論点になるとも思えませんが、地方在住者にとしては元カイカク派知事同士の選挙戦というのも、怖いもの見たさで興味のあるところです。

(付記)
ついでに、出馬が取りざたされた桜井前総務省事務次官は、ご本人も

総務省・桜井 俊事務次官、都知事選出馬は「ない」と断言 - FNN(06/15 18:11)

「ポスト舛添都知事」の有力候補と注目が集まっている、アイドルグループ・嵐の櫻井 翔さん(34)の父親、総務省の桜井 俊事務次官(62)が15日午後、会見を行った。
総務省の桜井事務次官は、「(都知事選に出馬されるお気持ちは?)どこからも、そういう具体的なお話があるわけではありません。仮にあったとしても、大変光栄ではありますけれども、出るつもりは、ありません。(はっきり『ない』と断言?)はい」、「(櫻井 翔さんから連絡は?)全くありません」、「(出馬しない理由は?)自分のことは、自分が一番よくわかっておりまして。わたしは、情報通信行政をやってきただけの人間ですので、とても、そのような役を果たせるだけの器ではないというふうに思っております」と語った。

とおっしゃるように、総務省とはいえ省庁再編前の旧郵政省で情報通信行政を担当されていた方であって、地方自治を所管する旧自治省の出身ではありませんので、桜井氏を都知事候補にしようという思惑はご子息の知名度と退官したタイミングが合っていたという程度のことではないかと。むしろ、旧自治省出身でちょうど事務次官を退任したばかりの方といえば岡本全勝氏がいらっしゃいますので、同じく事務次官(復興庁ですが)経験者でしかも地方自治に精通している岡本氏に出馬要請の話が出てこない(水面下であるのかもしれませんが、報道されないということは話があっても知名度が足りないという評価ではないかと)という辺りに、政治的な思惑が優先される現状が見て取れますね。
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