2016年06月21日 (火) | Edit |
まあ自分でもよくわかっていない戯れごとだと思うのですが、需要が不足してデフレになっているというのは理屈としては理解できるものの、そういう事態が引き起こされている理由の説明がいろいろありすぎてなんでもありじゃね?とも思うわけです。総需要が不足しているのはバブル崩壊後に企業の人件費(労働分配率)が低下しているからとか、そのために所得が減ってデフレスパイラルに陥っているとか、さらにデフレで流動性(貨幣)選好が強くなっていて貯蓄に回って消費が減っているとか、政府の緊縮財政によって総需要が減らされているとか。

でまあ、ティンバーゲンなのかマンデルなのかわかりませんが、その定理によればそれぞれに政策が割り当てられるのではないかと思うところ、一部のリフレ派と呼ばれる方々にかかると「金融緩和(利下げ)汁! 減税汁! 財政出動汁! 国債発行汁!」が不動の4点セットになっているようにお見受けします。

浅学非才な実務屋である私にとって、インフレというのは、個々の財・サービスへの需要が高まって異時点間で価格が上昇するというミクロの価格決定過程をアグリゲイトしたものというイメージが強くあります。アベノミクスというか黒田バズーカ砲が発動されて既に3年以上が経過した現時点では、貨幣供給(政府紙幣なのか国債発行で非不胎化なのかわかりませんが)で2%のマイルドインフレを達成するという政策手段の有効性に全幅の信頼を置くわけにもいきません。

というところで、インフレは金融政策でしか達成できないのかと考えてみると、上述の通りミクロでの需要の高まりによる価格上昇のアグリゲーションであるならば、増税でもインフレーションと同じ状態になるように思います。財政出動汁!という方がそれほどまでに財政出動を求めるのなら、その財政によって供給コストが賄われる公共サービスの需要が高まっているはずですから、それに伴って公共サービスの価格としての税率が上がりそうなものです。

なんてことをいえば、ミクロの価格上昇とマクロのインフレの違いもわかっていないというどマクロなご批判をいただきそうですが、消費税なんてのはミクロどころではなくマクロな価格上昇ですし、これまでの税率引き上げ時に将来の増税を予定して駆け込み需要が生じる事実からしても、現状が流動性選好が強まっているという状態であるならば、少なくとも増税までに消費を拡大する効果はあるといえるでしょう。

あるいはインフレ予想があれば流動性選好が緩和されて貯蓄から消費に回ってデマンドプルのインフレになるが、増税はコストプッシュ型だから、たとえインフレと同じ効果があるとしてもけしからん!という方もいらっしゃるかもしれません。その主張の適否はわかりませんが、増税がコストプッシュだというなら確かに上述したような公共サービスに対する需要の高まりによるデマンドプルなんてものはありえないのかもしれません。

さらには、企業は収益を上げなければ人件費を賄えないが、政府は中央銀行に紙幣を刷らせることによってシニョリッジ益を得ることができるので、紙幣を刷ることによっていくらでも公共サービスの財源を賄えるという主張もよくありますね。特にデフレ下では日銀の国債引受で利子負担もなく国債を発行できるので、積極的に国債発行して財政出動汁!という主張も聞かれるところですが、ではOECDでトップクラスの公債費残高をたった20年程度で積み上げてきたこの国で、デフレを解消することもできず、「現金給付・公共サービスの対GDP比がフランスやスウェーデンの6割程度しかない中で、高齢化により高齢者向け支出(年金)がその約半分を占める」状況にあるのはなぜなんでしょうね。というか、政府の歳入としての国民負担率がOECDでも下位グループに位置するこの国で、経済成長で税収が増えたところで貧弱な公共サービスが飛躍的に伸びるはずなどないのですが、それも国債で賄えばいいとおっしゃるならば、リフレーション政策が奏功してマイルドなインフレになった後の国債発行の可能性は持続するとお考えなのでしょうか。

まあそう考える方がいらっしゃるのも気持ちはわからないではありませんが、いやそれにしても賃上げしないから所得が増えず、そのため消費が伸びないのでデフレになるという主張があるかと思えば、デフレこそが悪であってまず貨幣現象であるデフレを解消するために金融緩和汁!という主張もあり、それらを主張される方が口を揃えて増税なんてしたら可処分所得が減少して景気を後退させてしまうからけしからんので財政出動汁!と主張されているようです。私のような凡庸な頭ではなかなか整合性がとれませんねえ。

伝左衛門先生のTwitterがいつのまにか鍵垢になってしまったので直接引用はできませんが、拙ブログでも一部のリフレ派と呼ばれる方々は結局「増税忌避の隠れ蓑としてのリフレ派」だったのだろうと考えております。権丈先生が「構造改革の名の下に、社会保障を抑制しては国民の不安を煽り、彼らの消費を萎縮させておいて、内需主導の成長など起こるはずがない」と指摘される通り、増税忌避によって小さな政府を目指す方向性へ着実に歩を進めているのがこの国の現状であるにもかかわらず、その財源を確保するためであろうが何だろうが増税だけはまかり成らんという強固な信念に支えられた方々が一部のリフレ派と呼ばれる方々ですね。

一部のリフレ派と呼ばれる方々に賛同されていた方の多くはだいぶ雲散霧消したようですが、増税忌避だけは堅持されている方も見受けられるところでして、もはやリフレ派という隠れ蓑を取り払って単なる増税忌避派というのが実態に合っていそうです。増税忌避こそが経済学的に正しいという強固な信念に支えられた彼らにとって、私のような増税容認派は財務省に取り込まれた陰謀脳だから度し難いとして、軽蔑の対象でしかありません。来月の参院選挙では「連合するなら共産党が主張する消費税率引き下げ(廃止)の一択」かと思っていましたが、さすがにそこまでではないものの、すでに2度目の引き上げ延期は既定路線になっていますし、すばらしき経済学的思考の成果ですね!!!(棒)
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