2015年11月09日 (月) | Edit |
金子先生が大槌町の漁師さんへの支援を呼びかけていらっしゃいますので、拙ブログからも支援させていただきます。私自身も、金子先生のご紹介で黒澤さんから採れたての牡蠣をいただいたことがありまして、大槌の新鮮な牡蠣を堪能させていただきました。そのときも家族総出で作業されていましたが、作業場を移転しなければならないために新たにクレーンが必要になったとのことです。

金子先生がその経緯を詳しく解説されていますのでリンク先の全文をご覧いただきたいのですが、「被災地支援」とか「復興事業」が現場でどのように行われているかは、次の部分が参考になります。

素人考えでいえば、市場の道具を移動すればよいではないかと思うが、大槌漁協が反対している。支援を受けたのは自分たちであって、漁師ではないということである。ここら辺は外部者には分かりにくい。漁協は組合員の漁師によって成立する組織なのだが、あらゆる協同組合的組織がそうであるように、専従の職員を持っている。この職員が道具を移動することに賛成しないのである。大槌町の漁協を通じて支援した多くの人は、当然、漁師を支援したと思っているが、実際は必ずしもそうではなく、彼らに支援の手は届いていない。

大槌の漁師さんへの支援のお願い(社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 2015年11月06日 (金))

被災地支援に一部携わっている者として参考になるといっている場合ではないのですが、特に役所では個人資産の形成となるような補助はできないという制約があるため、「公的な」組織を作ってそこに支援するという手法がとられます(グループ補助金はその究極の付け焼き刃的対応です)。ただし、組織の構成員と組織そのものの目的が一致している場合はこのスキームが機能するのですが、そこにズレがあると上記のような事態が生じてしまうことになります。その意味で、黒澤さんの状況は行政による支援の限界が現れてしまったといえるかもしれません。

ということで私は個人的な恩返しとして支援したいと思いますが、被災地の現状に関心がある方にはぜひ金子先生のエントリと黒澤さんの活動をご覧いただければと思います。
親子3代で守り継ぐ牡蠣養殖業の作業効率化と発展を目指して!(READYFOR?)

(付記)
11月27日の期限までに無事に目標達成となったとのことです。黒澤さんご一家の思いが多くの方に支持されたことをうれしく思うとともに、これからもおいしい牡蠣を養殖されることを期待しています。
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コメント
この記事へのコメント
 支援(補助金)の在り方については、当初から個人ではなく団体(グループ)というのが大前提なのは、仰る通り「税金の個人資産形成」の抑制であるのは言うまでも無いところです。被災後の状況はそういうことも忘れて「被災したから当然」という空気に支配されていました。それがグループ補助金での大混乱と行政批判を生んだわけです。
 その一方で、商工会議所・商工会での「遊休資産」の活用で、様々な工具等が送られてきたものの、知ってる人だけが受け取ったというのもありました。
 また、漁協への支援(寄付金)が組合員へ開示されることなく、役員・職員の賞与に消えたと言う事実も語られることが無いのです。
 水産庁による補助事業で倉庫を建てたけれど、使用料が震災前の3倍以上となり、事業継続を断念するなども表には出ない事情が多々あるのです。
 実際に、岸壁を整備し直しても漁協職員が漁業者が使用を許可させない事例もあり、自治体職員が流石に管理委託はしても、自治体の整備目的から漁協職員へ使用させるように指導するなどの措置を行わないと事業継続が危ぶまれる事例は多々あるのです。
 簡単に連携・連帯を持ち上げても職員の意識の欠落との利用者対立を生むだけなのは震災後に噴出したと言えるでしょう。
 
2015/11/10(火) 12:06:17 | URL | hahnela03 #V76W3knM[ 編集]
> hahnela03さん

>  簡単に連携・連帯を持ち上げても職員の意識の欠落との利用者対立を生むだけなのは震災後に噴出したと言えるでしょう。

「公的な」組織を作ってそこに支援するという手法を使っても、その「公的な」組織が当初の目的の通り「公的」な業務を行うかどうかは担保されないわけでして、その極端な例が緊急雇用創出事業でのNPOによる横領事件だったともいえます。

刑事責任が問われるような横領は既に現在司法によって裁かれていますが、そこまで明確に「公的」な業務から外れたかどうかが判然としないような場合は、制度の趣旨や状況を総合的に判断しなければなりません。

ただし、制度そのものが本来の趣旨に沿った内容となっていないという場合もありますので、その場合は制度の見直しをする必要がありますが、本エントリの通りそれが「税金で個人資産の形成は認めない」という大原則に抵触するものであれば、制度の見直しもその範囲内でしかできないのが難しいところです。

実をいえば、日本の公務員が海外に比べて極端に少ないのにも関わらず、それなりに行政サービスが行き渡っている(ように見える)のは、こうして行政と一体的に業務を担う「公的」な組織があるからでして、これを変革するというのはメンバーシップ型をジョブ型に転換するより難しいかも知れません。
2015/11/15(日) 17:58:37 | URL | マシナリ #-[ 編集]
>ただし、制度そのものが本来の趣旨に沿った内容となっていないという場合もありますので、その場合は制度の見直しをする必要がありますが、本エントリの通りそれが「税金で個人資産の形成は認めない」という大原則に抵触するものであれば、制度の見直しもその範囲内でしかできないのが難しいところです。

 大原則を被災者自身が理解していないし、支援者も理解していないというのがあります。学者は特に酷い。
 漁協を通じた「船舶・資器材」の1/9補助は、固定資産の耐用年数(減価償却)が過ぎたら、漁業者個人の所有物になる。という話があります(5~7年経過したら個人の所有物)。 大原則からすればあり得ない話です。漁協のプロパー資金により形成された資産であれば、役員会等により「贈与」「売却」が行われても、公的セクターが関与する話ではありません。ただ、補助金で形成された固定資産を「贈与」「売却」するのが7年後という話が当然の様に説明されていたということが問題を産み出しているのです。
 この話の出所が、県職員なのか市町村職員なのかまったくわからないけれど、漁協の役職員から漁業者へは
そう伝わっているのです。被災地では特例で大原則は崩壊しているのです。だから、漁業者が個人資産形成に税金をくれないのはおかしいと言う話をし、新おおつち漁協での支援が足りないと言う、学者の思い込みが助長することで、混乱を継続させているのです。

 さらにそれに輪をかけたのがNPO等の支援の在り方です。クラウドファンディング等による資産形成は、大原則に捉われないわけですが、NPOへの活動資金供与出資と補助を折半し、補助事業者に利息等に相当する供与を契約させることです。クラウドファンディングとふるさと納税は言葉は違えど中身は変わらない仕組みです。

 税金に対する大原則が構造改革によって歪められていることが、東日本大震災後の様々な支援等に表れていることについては、検証する必要があるところですが、学者自体が気づいていないで支援を訴えるというのが痛々しいところです。

 北海道での酪農へのIターン就労支援で、「リース譲渡方式」という、5年間用地等のリース料を支払ったのち、5年後に用地等を譲渡するものが出来たそうです。詳しい内容はまだ勉強できていませんが、今回の大原則に捉われない支援の在り方の参考になるのかもしれません。
2015/11/19(木) 11:23:16 | URL | hahnela03 #TVNdHuFs[ 編集]
> hahnela03さん

> 漁協を通じた「船舶・資器材」の1/9補助は、固定資産の耐用年数(減価償却)が過ぎたら、漁業者個人の所有物になる。という話があります(5~7年経過したら個人の所有物)。 大原則からすればあり得ない話です。

ここはちょっと微妙なところでして、、大原則とはいえ原則ですので例外が認められる場合もありまして、そういう「払い下げ」が全く不可能かといえば、必ずしもそうではありません。政令や補助金交付要綱などの特段の定めやそれに基づく承認があれば、補助事業終了後や耐用年数が経過した後に一定の手続きに従って補助事業以外に使用したり財産を取得するすることができます。

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S30/S30HO179.html

(決定の取消)
第十七条  各省各庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用をし、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。
2  各省各庁の長は、間接補助事業者等が、間接補助金等の他の用途への使用をし、その他間接補助事業等に関して法令に違反したときは、補助事業者等に対し、当該間接補助金等に係る補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。
3  前二項の規定は、補助事業等について交付すべき補助金等の額の確定があつた後においても適用があるものとする。

(財産の処分の制限)
第二十二条  補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。ただし、政令で定める場合は、この限りでない。


実際に今回の震災関連でも、グループ補助金や個人家屋の修繕費補助金では、個人資産に対する補助が行われており、補助事業の期間や耐用年数が経過した後の取扱は、それぞれの補助金交付要綱などの定めに従うことになります。このため、個々の補助金の取扱が所管官庁や事業ごとにバラバラで分かりにくくなってしまい、混乱の原因になっているのかもしれません。

ただし、拙ブログでも少々わかりにくい表現となっておりましたが、

「補助事業と委託事業(2013年01月06日 (日) )」
http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-545.html
> 補助の対象となる事業で使用する自動車についても、補助の対象となる事業が終了するか耐用年数の6年を経過するまでは、その自動車を補助の対象となる事業のみで使用しなければならないという点で国や自治体の管理下にあるというわけです。したがって、補助事業で予定されていた期間よりも前に自動車を他の目的で使う場合は、自動車のローンを前倒しで完済して自分の所有物にするように、耐用年数に応じた残存価額分の補助金を返還して自己の管理下に置く必要があります。

ここの部分は、概念としては補助事業の期間や補助対象となった財産の耐用年数が経過すれば、その財産を補助事業で使用する必要がなくなるという趣旨ですが、補助事業の目的が恒常的な活動である場合は、補助事業終了後も補助事業の中身である恒常的な活動そのものは継続することになり、それ以外の用途で使用したりすることに制限がかけられることになります。

ここを厳密に運用すると、「公的機関に補助したのだから個人が使用することはまかりならん」ということになりますし、補助事業に着目すると「補助対象となった事業は個人の活動なのだから個人所有と同じように使用してもよい」ということになります。この部分に関しては、補助金交付要綱などの規定だけではなく、補助事業の内容まで精査しなければならないので、一概に個人所有とすることの可否を判別することはできず、それぞれの事業の実態をみて判断しなければなりません。例示された「北海道での酪農へのIターン就労支援」は、こうした混乱を事前に防ぐため財産の処分に特段の定めを置いたものと思われます。

震災後の混乱した状況で役所からの説明が雑になっていた可能性があり、その点は反省しなければならないと思いますが、規定上個人所有ができる場合であっても、要件が厳しかったり手続きが煩雑であるため事実上できない場合があります。結局原則と例外がどのように適用されるかは補助事業の内容によって判断されることとなりますので、大槌の補助事業で個人使用が認められないというのは、個別の補助事業としての判断に基づくものと思われます。もちろん、その他の個々の補助事業ではhahnela03さんご指摘のような状況があることも事実だと思いますので、そうした混乱は適切に対応しなければならないでしょう。

>  さらにそれに輪をかけたのがNPO等の支援の在り方です。クラウドファンディング等による資産形成は、大原則に捉われないわけですが、NPOへの活動資金供与出資と補助を折半し、補助事業者に利息等に相当する供与を契約させることです。クラウドファンディングとふるさと納税は言葉は違えど中身は変わらない仕組みです。

ご指摘の趣旨が取れないところもありますが、クラウドファンディングとふるさと納税はどちらも寄付も、必要とされている支援を可視化する意義はあると考えております。いやもちろん、そのニーズに対する手当としてこれらの手段が妥当かは疑問なしとしませんが、次善の策として個人が利用することはやむを得ないのではないかと思います。
2015/11/23(月) 10:17:06 | URL | マシナリ #-[ 編集]
マシナリさんへ、ご丁寧にありがとうございます。
漁協等に限らず、住宅政策での被災者対応も似たようなところがあります。被災者個人が住宅を建設する際の補助金と自治体による戸建及び集合住宅では、仕様から同等の補助金を受け取った場合の内容に合致するようになっています。ただ、自主的な戸建再建は自己の視力に基づく財産形成(土地・建物)ではありますが、自治体による戸建の5年後の買取または贈与という話があって、行政の支援が資産形成を当初から前提としてあった形跡があり、大学教授によるNPO支援などで、震災以前は30坪程度の被災者が、100坪ないと可哀想だというように、資産形成を後押ししました。グループ補助金が被災資産の同程度の再建を条件とすることでの混乱を深めたのも、住宅再建は最新式で将来の行政の関与が無く自己所有できることと混同したことではないかと考えております。
 実際に、造成地と復興戸建て住宅(土地建物)と住宅補助金を全て貰えるという被災者の思い込みあります。
 払下げについては、説明等で現在の知事の権限で行うという説明があり、それが選挙で変わると、払下げが無くなるなどの力が働いたと感じる部分もあり、現職知事等による被災者へどのような政治的圧力があったのではないかとの疑念があるのは否めません。
2015/11/25(水) 12:07:59 | URL | hahnela03 #S3Xq9Mn6[ 編集]
> hahnela03さん

> 行政の支援が資産形成を当初から前提としてあった形跡があり、大学教授によるNPO支援などで、震災以前は30坪程度の被災者が、100坪ないと可哀想だというように、資産形成を後押ししました。

私自身は震災関連の補助制度を直接の担当したことはないので詳細についてはそれぞれの担当窓口でご確認いただきたいのですが、事業期間が定まっていないハード事業では耐用年数経過後の取り扱いが往々にして問題になりますね。上記コメントで引用したエントリで「補助金で建てた校舎を学校以外の目的で使用するのはまかりならん」という例などは、ハード事業についての事業期間のとらえ方の問題を端的に示しています。つまり、その建築物は建てるときだけが補助対象ではなく、その使用目的を含めて補助対象だとなると、その使用が続く限り補助事業としての制約が課されるということになるわけです。

震災後のハード事業ではその辺の整理があまり徹底されていない面があったのではないかと思いますが、一度そう説明されてしまうと後から説明が変わると不信感の原因となってしまうのが難しいところです。

>  払下げについては、説明等で現在の知事の権限で行うという説明があり、それが選挙で変わると、払下げが無くなるなどの力が働いたと感じる部分もあり、現職知事等による被災者へどのような政治的圧力があったのではないかとの疑念があるのは否めません。

上記のような事情があるからといって補助の制度を変えるわけにもいかず、住民との板挟みとなっている現場の職員の負担は推して知るべしというところですが、まあ選挙で選ばれる選良の方々の就職活動はそうしたものとは無関係に行われていくのだろうと思うところです。
2015/11/29(日) 21:08:00 | URL | マシナリ #-[ 編集]
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