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2014年08月23日 (土) | Edit |
最近沿岸部へ行く機会が激減しておりまして、お盆休みを利用してあちこちに顔を出してみようと思ったところ、某町で全くの偶然で貴重なお話を伺う機会をいただきました。突然にも関わらず御対応いただいた皆様に御礼申し上げます。その中で感じたことは、地元役場と住民の関係の難しさでした。一口に被災地とか沿岸部といっても、その土地の風土や住民の気質というのはそれぞれ多様でして、私の見聞きした範囲ではうまくいっているところもあれば、なかなか意思疎通がうまくいかない地域もあります。先日お邪魔したところはどちらかというとうまくいっていないようでしたが、かといってうまくいっているように見えるところも問題がないとは限らないわけで、むしろうまくいっていないという認識が共有されている方が意見の対立が可視化されると言えそうです。それが現状の改善につながるかどうかは別問題としても。

で、話はまったく変わりますが、8月7日に人事院が勧告を出しまして、国家公務員給与が7年ぶりに引き上げになるとのことです。人事院が企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の55,047の民間事業所を対象として職種別民間給与実態調査を行った結果により、個々の国家公務員に民間の給与額を支給したと仮定し、これに要する支給額と現に支払っている支給総額との差額を算出(ラスパイレス方式)して、1,090円(0.27%)の較差があるとして、平均で0.3%の給与改定を勧告したというわけです。

詳しくは「平成26年人事院勧告」をご覧いただきたいのですが、掲載されている資料全体で300ページ近いので、お時間のあるときにでもどうぞ(それにしても、今どきフレームを使うとは古風なWebサイトですな)。

やったーアベノミクスの効果がやっと公務員にも波及したぞよーし黒田日銀の金融政策でインフレになるからどんどん消費しよう…なんて言ってるそこの国家公務員、ちょっとお待ちください。

公務員給与7年ぶり増 人事院勧告、ボーナスも (日経新聞 2014/8/7 11:49 (2014/8/7 13:52更新))

 人事院は7日、2014年度の一般職国家公務員給与について、月給を平均0.27%(1090円)引き上げるよう国会と内閣に勧告した。ボーナス(期末・勤勉手当)も0.15カ月分引き上げるとし、いずれも7年ぶりのプラス改定となった。同時に民間給与が低い地域での官民格差を是正するため、15年度から基本給を平均2.0%引き下げることなどを柱とする「給与制度の総合的見直し」も求めた。

 政府は近く給与関係閣僚会議を開き、対応を協議する。14年度給与については勧告通りに実施される公算が大きい。

 月給とボーナスのプラス改定は、景気回復で大手を中心に民間企業の賃金水準が回復したことを受けた。ボーナスは年間支給月数を現行の3.95カ月から4.1カ月に引き上げ、5年ぶりに4カ月台を回復。勧告通りに実施されると平均年間給与は7万9000円増加し、財務省の試算では国庫負担額は約820億円増える。

 世代間の給与配分を見直すため、月給の引き上げ分は若手や中堅に手厚く配分する。民間企業に比べて高いと指摘される55歳以上の職員の月給は据え置くが、入省間もない新人職員は一律2000円加算する。

 今年度の勧告では、給与制度の総合的見直しを15年度から3年間かけて取り組むことも求めた。

 基本給は15年度から平均2.0%下げる。一方、東京など物価の高い地域では民間より給与水準が大幅に下がるため地域手当を拡充する。

あくまで平均(記事では0.27%となっていますが、人事院は0.3%としています)ですから、すべての国家公務員の給与が引き上げられるわけではなく、若年層は初任給の引き上げと同程度引き上げるのに対し、3級以上の級の高位号俸(要は同じ級のなかでも号が高いベテラン)は据え置くこととしています。さらに、「給与制度の総合的見直し」により、来年度から基本給は2.0%引き下げて、その引き下げ分を原資として物価が高い都市部の国家公務員への地域手当を拡充することになっています。ということは、地方のベテラン職員は今年は据え置き、来年は引き下げということで、将来の減給が宣告されたことになります。もちろん、若手で今年度引き上げの恩恵にあずかった国家公務員でも、基本給2.0%の引き下げ分を地域手当でカバーしきれない地域では減給が宣告されたことになります。いやまあ地方在住者にとっては所得を下げて消費を減退させる見事なデフレ期待政策ですね。

この「給与制度の総合的見直し」は、民主党連立政権から政権を奪取した自公政権が、平成25年11月15日の閣議決定で、震災の財源確保を目的として実施した給与削減の特例措置を終了することと引き換えに、総人件費抑制を目的として実施を決めたものです。

四 東日本大震災の復興財源を確保するための臨時異例の措置として、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律に基づき講じられている国家公務員の給与減額支給措置については、同法の規定のとおり平成二十六年三月三十一日をもって終了するものとします。

五 公務員の給与については、制度の総合的な見直しを行うこととします。具体的には、地場の賃金をより公務員給与に反映させるための見直し、高齢層職員の給与構造の見直し、職員の能力・実績のより的確な処遇への反映などの給与体系の抜本的な改革に取り組み、平成二十六年度中から実施に移すこととします。このため、早急に具体的な措置を取りまとめるよう、人事院に対し要請します。

六 また、行政改革の取組を積極的に推進し、定員については、平成二十六年度予算において、現行の合理化計画の目標数を大幅に上回る合理化を達成するとともに、切り込むべきところには大胆に切り込むことにより、メリハリある定員配置を実現し、これまでに引き続き、大幅な純減を目指すこととします。さらに、新設される予定の内閣人事局において、今後の総人件費の基本方針、新たな定員合理化の計画等を策定します。

平成25年11月15日 内閣官房長官談話

後述するとおり、ミクロの給与制度の見直しの必要性については異論はないものの、結局マクロの総人件費抑制を目的とするのであれば、それはとりもなおさずデフレ政策でしかないと思われますが、まあ世の中は所得再分配を欠いたアベノミクスで勝利宣言される方もいらっしゃるわけで、「必要な公共サービスの消費を確保するための所得再分配政策」とは相容れないはずの「公的部門の総人件費抑制」が推進されるという「民意」が見事に体現されていますね。

人事院勧告ならどうせ地方公務員には関係ないんでしょ?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、上記閣議決定で「公務員」と一括りにされているとおり、「給与制度の総合的見直し」は国家公務員だけではなく地方公務員についても行われることとなっています。

1.はじめに
 平成25年11月の閣議決定において、国家公務員給与に関し、地場の賃金をより公務員給与に反映させるための見直し、50歳台後半層の官民の給与差を念頭に置いた高齢層職員の給与構造の見直し、職員の能力・実績のより的確な処遇への反映などに取り組むこととされ、地方公務員給与についても、国家公務員給与のあり方の動向に鑑み、地方の意見を聞きつつ検討するとされている。これを踏まえ、本検討会では、地方公務員給与の現状分析や関係者からの意見聴取を行いつつ、地方公務員給与の対応について検討を進めてきている。
 今般、平成26年人事院勧告において国家公務員の給与制度の総合的見直しの内容が明らかになったことを踏まえ(資料1)、本検討会として現時点における議論を中間的に取りまとめ、基本的方向性として整理することとした。

(略)

5.地方公務員給与における対応の方向性
(1)基本的な考え方
 各地方公共団体は、上記のようなそれぞれの団体の給与の実態を踏まえつつ、職務給の原則や均衡の原則に基づき、自らその給与制度・運用・水準が適正なものとなるよう、今回の給与制度の総合的見直しに係る課題に主体的に取り組んでいく必要がある。その際、公務としての類似性を有し、専門的見地から検討された今回の国家公務員給与の見直しの内容や考え方については十分考慮すべきものと考えられる。また、職務給の原則、均衡の原則という地方公務員の給与決定原則の観点からも、国家公務員給与の見直しの内容を十分に踏まえるべきものと考えられる。

地方公務員の給与制度の総合的見直しに関する基本的方向性(平成26年8月 地方公務員の給与制度の総合的見直しに関する検討会)」(注:pdfファイルです)

8月7日の人事院勧告から2週間経たない8月20日にこの「基本的方向性」が出されておりまして、お盆を挟んでいることを考えるとまあ既定路線だったのだろうと思います。当然のことながら、この「基本的方向性」でも、相変わらず「職務給の原則」といいながらこれっぽっちも職務の内容がわからない「日本型職務給」とでもいうものには手をつける気はなさそうですね。

3. 地方公務員の給与決定原則(職務給の原則、均衡の原則)
 地方公務員給与における主要な給与決定原則として、職務給の原則及び均衡の原則がある。これに関しては、「地方公務員の給与制度のあり方に関する研究会報告書」(平成18年3月)において、地方公務員給与の運用実態や環境の変化などを踏まえた上で、給与決定の考え方の再検討が行われた。
 そこでは、職務給の原則を徹底していくことの必要性が確認されるとともに、均衡の原則について、従来の国公準拠の考え方を刷新することが示されている。
(略)
 地方公務員給与については、この考え方に沿って平成18年以降の給与構造の見直しの取組が進められてきたところであり、今回の給与制度の総合的見直しにおいても、引き続きこの原則に基づいて具体の検討がなされるべきで
ある。

地方公務員の給与制度の総合的見直しに関する基本的方向性(平成26年8月 地方公務員の給与制度の総合的見直しに関する検討会)」(注:pdfファイルです)

「職務給の原則を徹底していくことの必要性が確認」されただけでして、当たり前の意味の「職務給」とする気はさらさらなく、均衡の原則で民間に準拠する国に追随しますというわけです。ちなみに、平成18年度の「地方公務員の給与のあり方に関する研究会報告書(平成18年3月)」はこんな内容です。

6 改革の方向
(1)給与決定の考え方
① 職務給の原則と均衡の原則
 公務の場合には、基本的には法令に基づいてその仕事が定められており、これを適切に執行することが任務となっていること、公務(仕事)にふさわしい人材を任用することができるよう、仕事に応じた給与とすることが適当であること、できる限り客観的で明確な基準にしたがって給与を決定できることなどを考慮すると、公務員給与の基本は、その職務と責任に応じたものとすることが、最も明確で公務内外の納得性も高いと考えられる。したがって、職務給の原則については、地方公務員の給与決定の考え方として引き続き妥当な原則であると言える。他方で実態としてこの原則が徹底されていないことが、地方公務員給与について多くの課題を生じさせていることから、改めてこの原則を徹底することが必要である。

地方公務員の給与のあり方に関する研究会報告書(平成18年3月 地方公務員の給与のあり方に関する研究会)」(注:pdfファイルです)
※総務省のページがリンク切れしていますので、公務労協のWebサイトにリンクしています。

見事にジョブ型の説明となっているんですが、「他方で実態としてこの原則が徹底されていないことが、地方公務員給与について多くの課題を生じさせている」といいながら、その後に出てくる具体的取組の中に職務記述書なんて言葉が出てくるわけでもなく、結局民間準拠をいかに徹底するかという均衡の原則に特化した内容となっています。

でまあ、特に公務員では法律上の「職務給の原則」が運用で曖昧にされている結果として、民間よりも年功序列型の運用になっている面は否めません。法律でジョブ型が明記されてしまったがゆえに、それを建前とする運用面ではよりメンバーシップ型の日本的雇用慣行が強化されてしまうというのは、いつも繰り返される議論でもあります。運用面でより強化されたメンバーシップ型となっている公務員の給与制度(というか人事行政そのもの)の見直しは、すべての職員が残業や転勤をすることが前提になってワークもライフもバランスしない日本型雇用慣行の是正のために必要でしょう。ところが、その「給与制度の総合的見直し」を掲げる研究会が拠り所とするのは結局、国の給与制度とその国が準拠している民間の雇用慣行であるわけです。その辺が、私が「総務省(の旧自治省)が日本型雇用慣行の現状について認識不足でありながら、「民間並みに」という各方面からのかけ声に動かされるままに改正したことが原因」と勘ぐる理由です。

…となると結局、民間がジョブ型にななければそれに準拠する国家公務員もジョブ型にならず、地方公務員がジョブ型になることもないという他力本願な議論にしかなりません。そうはいっても、法律でジョブ型と規定されている公務員が民間準拠のためにメンバーシップ型をより強固にしていくという構図は、なかなか出口が見いだせませんね。しかもそれが、総人件費抑制というデフレ期待政策の具現化であるなら誰得としかいえないわけですが、それもまた所得再分配を欠いた経済政策の帰結なのでしょう。
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コメント
この記事へのコメント
国家公務員は地方のが仕事もキツく不便なのに地域手当で東京勤務のがだいぶ給与高いんですよね
2017/01/03(火) 14:04:16 | URL | 一公僕 #-[ 編集]
個人的には本省で働き事務次官までのコースと地方で働き出先の長までのコースに分けて欲しいですね。現在の一般職と総合職に近いですが一般職は出先の長まではなれませんし
2017/01/03(火) 14:11:14 | URL | 一公僕 #-[ 編集]
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