--年--月--日 (--) | Edit |
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


2014年01月19日 (日) | Edit |
ネタ自体はいろいろあるのですがブログを更新する余裕がなくなってきて、以前Google Readerで登録していたブログ主が軒並みTwitterに流れて行っている理由が何となくわかってきました。なるほどTwitterが「簡易ブログ」と呼ばれるわけですね。

ということで細かいネタを適当にやっつけてしまいますが、まずは雇用保険の離職理由について。拙ブログでの飯田先生のポジションは、当初は「リフレ派の若手論客」→「経済学的思考のライフハック実践者」→「経済学的思考のエバンジェリスト」というところで参考にさせていただくことが多かったのですが、いつのころからか「一部のリフレ派の主張の代弁者」→「リフレーション政策を含めて実務をご存じない方」「ライフハック的思考から抜け出せない方」と変遷してきております。まあこんな場末のブログですからここでどんな評価をされようが飯田先生の評価はビクともしないでしょうし、そもそも公務員の言うことなんて誰も聞いてないでしょうけれども、こういう発言を見るとやはり一言言いたくなるわけです。

「できそうなもんだ」って何を根拠におっしゃっているのかわかりませんが、老婆心ながら離職票(正確には離職票-2)の離職理由欄をご覧になってから発言された方がよろしいのではないかと思います。もう少し面倒な実務上の取扱からいえば、離職票に記載された離職理由というのは、雇用保険上の特定受給資格者または特定理由離職者の該当の有無を確認するためのもので、実態上の離職理由を判断するのには適していません。

こちらのサイトに記入例があるのでそちらをご覧いただければわかりやすいのですが、

雇用保険の具体的な手続き(ハローワークインターネットサービス)


離職理由欄は大区分で「1 事業主の倒産等によるもの」「2 定年、労働契約期間満了等によるもの」「3 事業主からの働きかけによるもの」「4 労働者の判断によるもの」と4つに区分されています。これだけを見ると、3は解雇で4は労働者の勝手な退職に見えるかもしれませんが、大区分の中の各項目を見ると、例えば3(2)の「重責解雇」は労働者の重大な責めに帰すべき解雇でして、就業規則の適正な定めに基づくものであれば普通解雇または懲戒解雇が可能な(解雇権の濫用に当たらない)事案である可能性が高いと推測できます。一方、4(1)の「職場における事情による離職」には、⑤に遠隔地への転勤のために通勤できなくなって離職した場合が含まれていますし、同様の理由は4(2)の「労働者の個人的な事情による離職(一身上の都合、転職希望等)」の⑤にもあります。4(1)には職場のパワハラやいじめに耐えられなくなった場合(②)も含まれていますし、4(2)①の「職務に耐えられない体調不良、けが等があったため」は通常であれば普通解雇の理由となり得るものですが、もしかすると労災の可能性も考えられます。便宜上項目が分けられてはいますが、これらの理由が複合的に重なって離職せざるを得ない場合もあるでしょう。

さて、これらのデータから、離職理由を単純に類型化して公表するとどんなことが考えられるでしょうか。労働者側なら3(2)は会社の言いがかりだと主張するでしょうし、使用者側はもともとその労働者は普段から勤務態度がよくなかったなどの理由を挙げて正当化するでしょう。という事態をあらかじめ防ぐため、離職票-2には事業主と労働者それぞれが理由を記載する欄が設けられていて、それが一致する場合に離職理由が認定され、その理由に応じて雇用保険上の取扱(支給額、支給期間)が変わってくることになります。

特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要(ハローワークインターネットサービス)


もちろん、離職理由について労働者と使用者の見解が分かれる場合も往々にしてありまして、その場合はどちらかがハローワークに申し立てをすると、労使双方に事情聴取や証拠による事実確認等が行われてハローワークが認定します。それでも不服がある場合は労働保険審査会で審査されることになるわけで、まあこれが典型的な個別労働紛争につながっていくわけですね。

じゃあなんでそんな離職理由を離職票に記載させる必要があるかというと、上述の通り離職理由によって特定受給資格者または特定離職理由者に該当するかどうかを確認し、それらに該当する場合は離職した労働者に対する雇用保険の支給期間や支給額が優遇される一方で、事業主都合(といっても必ずしも不当な解雇ではないことに注意してください)と判断される場合は使用者側が各種の助成金を受給することができなくなるという雇用保険法上の運用をしなければならないからです。個別労働紛争が増加していて離職理由を巡る対立もあるとはいえ、圧倒的多数の通常の雇用保険の手続きではこのような処理が日々滞りなく進められているわけです。

当然のことながら、手続きにいちいち時間をかけて争うより次の仕事を探そうという労働者の判断や、会社の対面や業務を優先するためにある程度労働者の言い分を受け入れてやろうという会社の打算もあって手続きが進められていきます。制度というのはそうした判断や打算を促すために設計されているわけで、手続き上離職理由が認定されたデータがあることと、それが実態をどの程度反映しているかは全く別の理由として考えるべきものでしょう。

というような実務に対して、それを「データがあるなら公表すればいいだろ」というのがいかに乱暴な議論であるかは改めていうまでもないでしょう。むしろ問題は、上記のような特定受給資格者または特定理由離職者の離職理由の区分が適当なものなのかという点にあるわけで、もちろん、労使の当事者の方々はそうした問題意識を持って議論されています。hamachan先生が「地味ですが結構グッジョブ」と評価される議論はこのようなものです。

(2)基本手当の水準(給付率、給付日数)について
○ 基本手当の水準(給付率、給付日数)については、現在の失業等給付の積立金残高や収支状況を考慮し、雇用のセーフティネットを拡充する観点から、給付面での充実を図るべきとの意見がある。一方で、近年の制度改正により被保険者範囲が拡大されたこと等による雇用保険財政への影響等を考慮し、その在り方を慎重に考えていくべきとの意見があり、これまでも議論がなされてきたところである

○ このような状況を踏まえ、本部会では、近年の制度改正による効果の把握を行うべく、基本手当の給付日数及び給付率について見直しがなされた平成12年及び15年の雇用保険法改正前後の時期を中心に、基本手当受給者の就職状況について調査・検証を行った。

○ その結果、
・労働者代表委員からは、①平成12年及び15年の法改正に伴う所定給付日数や給付率の見直しの影響により、基本手当の平均受給日数や平均受給額などの低下が見られること、②特定受給資格者以外であっても、様々な理由からやむを得ず離職を選択した者もおり、必ずしも離職前から再就職の準備ができているわけではないことから、中長期的なキャリア形成支援措置や育児休業給付等の給付に優先して、基本手当の改善を行うべきであるとの意見があった。併せて、基本手当の支給決定における離職理由の認定に当たり、賃金の不払い・遅配、時間外労働・過重労働等、その離職理由についてやむを得ない面もあったと考えられるものの、その事由が連続していなかったり離職直前でなかったこと等により、現行の特定受給資格者の基準には該当せず、「自己都合」離職となっている事例については是正すべきとの意見があった。

・使用者代表委員からは、平成12年及び15年の制度改正による基本手当の所定給付日数や給付率の見直しは基本手当受給者の再就職状況に大きな影響を与えていないこと、これらの制度改正以降、就職が厳しい者に対しては個別延長給付等の暫定措置及び求職者支援制度による手当てがなされており、セーフティネットは整備されているとの意見があった。

○ このため、基本手当の水準については、今後の暫定措置の取扱い、基本手当受給者の就職状況の動向、基本手当支給額と再就職時賃金の状況等を踏まえて、引き続き、今後の在り方について検討すべきである。また、労働者代表委員から指摘のあった離職理由の取扱いについては、特定受給資格者として整理すべく、基準の見直しを行うべきである。

資料No.2 雇用保険部会報告(案)(PDF:302KB)」(第97回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料

こうした雇用保険の実務上の離職理由については、ここで議論されている点を十分に反映する必要があると思います。離職理由による取扱の違いというのは、制度上はいろいろな打算が働くように設計されていて制度運用の実務上は処理の迅速化や平準化のためにそれも必要な措置ではあるんですが、当事者にとっては納得のいかないこともよくあります。こうした機微はやはり労使の当事者による話し合いによって線引きすることが望ましいでしょう。

それとは全く別の論点として、企業の労務管理を外部的に評価するための指標は必要だろうと思いますが、それは離職率や離職理由だけで判断できるものではないと考えます。むしろ日本的雇用慣行の上では、「見返りのある滅私奉公」を堅持している企業と、各種コンサルや社労士などの指導の下で「適法」に処理している企業を見分けることは難しくなります。逆に適法な労務管理をしていても中小零細企業などで待遇や職場環境が悪ければ離職率は低くなるでしょう。労働法規はそうした労務管理を適切に運営するためのものですが、戦後一貫して続けられた減税による財源調達機能の弱体化のため、労基法を遵守するための国所管の労基署は縮小され、集団的労使関係を構築・維持するための都道府県所管の労政事務所が設置されなくなっている状況です。労基法の違反がなく、労働組合の組織率が高く、産業民主主義が適切に機能しているか否かをデータ化するのは公的機関の重要な役割だろうと思うのですが、現状を見るにつけ前途は多難といわざるを得ませんね。
スポンサーサイト


コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。