2013年10月02日 (水) | Edit |
安倍総理が正式に来年4月の消費税率引き上げを表明したとかで、ネットでは「欠陥消費税は大量殺人税制」とか「’98年の自殺者数異変は消費増税以外には考えられない」とか拡散されている方(リンクしませんので適当にググっていただければ)を見受けましたので、まっつぁんことパオロ・マッツァリーノさんの分析を引用しておきましょう。念のため、私は本書の前半で繰り広げられる経済学disは言いがかりに過ぎないと考えておりますし、まっつぁんの分析がすべて正しいというつもりはありませんが、少なくとも、自分の気にくわない制度に「大量殺人」とかのレッテルを張るような煽動的な議論よりは熟読玩味する価値があると思います。

 失業率と自殺率の相関関係を発見してワーイワーイでは、ある種の思考停止です。そして学者のみなさんは、相関関係があるから、自殺をなくすには失業をなくそう、とおっしゃる。ほらね、みなさん、データ教の信者になっちゃってるんです。
 発想を変えましょう。相関関係とは、たまたまそうなっているというだけのことなんだから、それを断ち切ってしまえばいいのです。
 要は、失業しても死なずにすむ社会にすればいいってことですよ。そう考えるほうが、結果的により多くの命を救えるのではありませんか。
(略)

それでは真の原因は?

 データを散々こねくり回して、ぐだぐたいっといてナンですが、自殺の真の原因も平成10年の急増の理由も、すでにわかっているんです
 警察庁の調べによれば、自殺の原因は圧倒的に、健康問題、それも老人によるものが多いんです。それに次ぐ原因が、経済生活問題で、このツートップが、自殺原因の7割近くを占めています。
 グラフの97、98年――つまり平成9、10年のあたりをごらんいただきたいのですが、腑に落ちないところがあります。経済生活問題だけがアップしているのなら、そうか、平成10年の自殺率アップのおもな原因はやはり失業だったか、と素直に納得できるのですが、健康問題も同じように急増しているんですから、謎は深まるばかりです。
(略)
髙橋祥友さんは、平成10年以降、自殺原因で経済生活問題が増えたのは、それを分類した現場の警察官が、「未曾有の平成大不況」みたいなマスコミのうたい文句に影響を受けた可能性があると指摘しています。そう、むしろ現場の警察官の主観は、経済問題を重視しすぎる方向へ偏っていたわけで、客観的な判断を重視する客観マンなら、経済問題による自殺は、実際にはデータよりももっと少なかったはずだ、と考えなければいけないんです。
(略)
 宇宙人にも前世があるのかどうかはさておき、こちらは職業別の自殺者数に注目します。問題の平成9年から10年にかけて、無職者の自殺はおよそ3700人も増加しました。
「そら見たことか」
 いえ、早とちりはいけません。警察の自殺統計での無職者とは、失業者・ホームレス・その他の合計なんですが、このうちほとんどが「その他」です。その他ってのは、仕事をしていない老人のことなんです。失業率と関連のある、本当の意味の失業者は、自殺した無職者の中の、たった1割にすぎません。
(略)

つっこみ力 (ちくま新書 645)つっこみ力 (ちくま新書 645)
(2007/02/06)
パオロ・マッツァリーノ

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※ 下線強調は原文。

ここまでで、自殺の増加は「経済生活問題」を原因とするものだけではないことがデータから示されています。これに比べると、消費税「だけ」をやり玉に挙げる議論が偏ったものであるという印象が強いですね。

なお、詳しいデータが示されていないのでその真偽のほどは不明ですが、まっつぁんは一つの推論として、住宅ローンの制度変更が要因となっている可能性を示しています。(10/2追記)

住宅ローンの闇

 さて、そうなると、次なる疑問にぶち当たります。なぜ日本人は借金ごときで自殺するのでしょう。警察も、さすがに借金・負債の内容までは公表してません。自殺者が抱えていた負債の額と内容を調べれば、かなり有意義な結論が得られるはずなので、是非詳しい調査をお願いしたい、とだけいっておきまして、私にはひとつ思い当たるフシがあります。(引用注:この段落10/2追記)
 日本人が自殺しなければならないほどの借金をするといえば、それはもう、住宅ローン以外にありません。なぜなら、貯蓄動向調査や家系調査の結果でも、勤労者世帯が抱える負債の9割が、住宅・土地のためのものであることがわかっているからです。
(略)
 平成10年急増の陰には、平成5年ころに公庫が大量に貸し出した「ゆとりローン」というシステムがあったことは、住宅関連業界では有名な話です。
 ゆとりローンでは、最初の5年は返済額がとても低く抑えられていたので、貧乏人でも家賃並みの返済額で夢のマイホームが持てる、と評判のいいシステムでした。しかし平成12年に廃止されます。夢のように思えたシステムがじつは悪夢だったことが、わかったからです。
 最初がラクなぶん、6年目から返済額は2倍近くまで跳ね上がるのです。具体例を調べてみたら、当初は月々6万円、ボーナス37万円の返済だったのが、6年目から月10万円、ボーナス月64万円の支払になったケースがありました。年間の返済額が、いきなり約100万円もアップするんです。
 この仕組みは、給料が5年後に大幅アップしていることを前提にしないと成り立ちません。それがおりからのデフレ不況で給料が上がらないせいで――といいたいところですが、ちょっと違います。たとえ景気がいいときでも、そんなに給料は大盤振る舞いで上がりゃしません。
 厚生労働省の統計では一人あたりの現金給与の推移を見ると、バブル絶頂のころだって、5年かかって年収にして80万円程度のアップでした。ゆとりローンを始めた95年とその5年前を比べると、せいぜい45、6万円のアップでしかありません。6年目から100万円も増える返済をできるはずがないんです。ゆとりローンが始まったころから、あれはヤバい、詐欺まがいだぞと危惧する声は上がっていたのです。

マッツァリーノ『同』pp.193-202

まともな経済学では制度変更をいかに変数としてモデルに組み込むかで日夜研究が続けられているのですが、ネットで拝見するライフハックな「思考の型」による経済学の議論では、制度変更が無視される傾向がありますね。消費税率引き上げに先行して所得税と法人税の減税や社会保障の拡充が行われているのですが、それを無視しながら消費税率引き上げを「大量殺人税制」と指摘されるような方が、ゆとりローンの影響による自殺者の増加という可能性を考慮することはなさそうです。

この点、まっつぁんは「失業しても死なずにすむ社会にすればいいってことですよ」として、ゆとりローンという制度変更についてきちんとデータを用いて検証されているところでして、改めて「パオロさんの後半の自殺増加についての指摘はとてもよくできた統計学あるいは計量経済学の論文」だなと見直した次第です。

なお、「東日本大震災という災害が発生して多くの方が住居を失ったにもかかわらず、住宅政策が国の社会保障として位置付けられることはなさそう」な日本の住宅政策についても、まっつぁんはきちんと指摘されています。

 現在、日本の都市部の借家は4割くらいですが、戦前は7割から8割が借家でした。庶民は一生借家住まいが普通だったんです。ニューヨークとか、アメリカの大都市だって、いまだに7割くらいですよ。
 日本は戦後、家賃統制などのせいで民営の貸家経営を成り立たなくしてしまいました。貸家がたりなかったにもかかわらず、公営の貸家を作ろうとしなかったんです。それどころか、庶民に自己責任で家を買わせ、住宅建設で景気をよくする道を国民に強要しました。
(略)
 もし欧米の庶民が日本と同じ状況に追い込まれたら、けっこう毛だらけネコ灰だらけ、とはいきません。公営の安い賃貸住宅を建てろ、と暴動を起こします。実際、70年代にはヨーロッパ各地で、住宅難をめぐる暴動が起きました。

マッツァリーノ『同』pp.204-205

日本の住宅政策が国民に持ち家を強制したのはそのとおりですが、雇用促進住宅によりジョブ型の雇用慣行を築こうとした政策もあったわけで、それを「行政のムダ」と叩いて廃止に追いやったのもまた民意です。まあ、そう思いこまされている庶民は悪くなくて、そう思いこませた政府が悪いということもできそうですが、ならば「行政のムダ」と叩くことは自己矛盾となってしまいます。「民意」とはかくも移ろいやすいものですね。さらにいえば、モーレツに働く男性正社員の給料でなければ持ち家で生活ができないというのは、特に戦後の国の社会保障の手薄さをカバーするための苦肉の策として、電産賃金体系から生活保障給が広まったことの裏返しと思うのですが、所得再分配を欠いたアベノミクスにおいて賃上げばかりが議論されるのは、国による社会保障を軽視しているこの国の状況をよく物語るものともいえそうです。

ついでながら、私はまっつぁんの経済学批判は言いがかりだとは思うものの、その懐疑的な姿勢には共感するところが多くあります。昨今の消費税をめぐる議論について懐疑的に眺めるため、以下の記事で指摘されているような姿勢を保つことが必要だと考えております。

■「科学者」にだまされない

 こういった非科学で問題になるのは、それを科学のように見せる科学者の存在です。

 私も研究者としてこの点は特にはっきりしておきたいところですが、学会で発表したとか、研究しているという程度のものを科学と呼んではいけないと思っています。しっかりした学会の論文として、査読のプロセスを経て掲載され、手順を踏んだものを科学と呼ぶべきと考えています。
(略)

■危険を煽ってるものこそ危険

 実は、簡単に非科学と科学を見分ける方法があります。「マッチポンプ」をしているかどうかです。

 「世の中の食べ物は何を使っているかわからないので危険。だけどこれを飲んだら健康になれる」というようなものです。「危ない」と危機感をあおって、これで危険から回避できると自社の商品を売り付けるマーケティングの方法を、マッチポンプ商法と言い、古くから使われています

 そういう食品の大部分には、まず疑いの目を向けるのがよいでしょう。

 先進国において、食べ物に危険なものなどほとんど存在していません。食べ物のリスクは過去と異なり、現在は厳しい管理下に置かれ、細菌やヒスタミンなどの食中毒以外、リスクは極めて低いからです。欧州でリスク管理の目安となる、100万分の1以下のリスクに抑えられており、ほとんどが1億分の1以下です。

 「危険」という言葉がもつイメージは、食べたら50%くらいの確率で健康被害を受ける感じではないでしょうか。実際には、それとはかけ離れて小さなリスクなのです。

 それを「危ない!」と言いきって物を売る商法には、乗らないほうが賢明なのです。

「科学」にだまされないで 健康食品のウソ・ホント ホントが知りたい食の安全 有路昌彦(2013/9/24 6:30)」(日本経済新聞 電子版)

同じようなことは、経済学を科学として考える立場の方にもありそうでして、改めて「「政府の失敗」への恐怖を刻み込んでいるのは、それをそれとして強調する方々ご自身であることは、昨今の原発に対する運動の界隈を見ているとよくわかります」ね。

(念のため)
本エントリの冒頭で、念のためとして「まっつぁんの分析がすべて正しいというつもりはありません」と書いたとおり、引用したデータの扱いは素人の域を出ていないと思います。引用の意図を明確にするため、本文を一部修正しました。

自殺原因については、内閣府の「平成25年度自殺対策白書」に特集が組まれていますので、そちらを参照される方がよろしいかと思います。

(健康問題は平成10年にピーク、経済・生活問題は15年および21年にピーク)

 原因・動機別の自殺死亡率(図4)は、「健康問題」が最も高く、次いで「経済・生活問題」、「家庭問題」、「勤務問題」などが高くなっており、その順位は自殺死亡率の急上昇以前から直近まで入れ替わっていない。自殺死亡率が急上昇した平成10年には、こうした原因・動機が軒並み上昇した。その後、「健康問題」は変動しつつもゆるやかな低下傾向にあったが、「経済・生活問題」はほとんど低下することなく15年をピークとした山を形成し、また、「家庭問題」、「勤務問題」はわずかながら上昇傾向にあった。
p.42(pdfではp.5)

まとめ

 平成24年の自殺者数は15年ぶりに3万人を下回ったが、直近の自殺傾向は急増する以前の9年の状態へ単純に回帰しつつあるわけではなく、各々の原因・動機により大きな違いがみられている。
 入手できるデータの制約が多く分析の限界はあるものの、これまで得られた結果をまとめると、自殺者が急増した平成10年以降直近までの減少した要因のうち、「健康問題」および「負債(多重債務)」については、各対策への取組による効果が高いが、「失業」などについては景気回復による効果が高いと考えられる。また、今後、自殺総合対策大綱に掲げられた数値目標の達成に向けては、これまで実施されてきた対策への継続的な取組に加え、失業率を引き下げていくような総合的な経済対策とともに、景気悪化から自殺者増加に結び付く経路を弱めていく取組が必要である。そして、雇用構造の変化などを背景として自殺者の増加傾向がみられる「勤務問題」への取組が必要であり、特に深刻な状況にある若年層に重点を置いた取組を早急に実施することが必要である。
 より個別具体的な原因・動機においては、各課題が顕在化した時期や対策による効果が様々であることから、以上の考察への一律な当てはめは難しいかもしれない。しかし、自殺動向の特性の把握に向けた試みは、今後の自殺対策の企画立案などにおいて極めて重要であり、今般の分析はその際の一つの指針となり得ると考えられる。
 なお、自殺の背景にある悩みや不安が減少しない限り、たとえ自殺者が一時的に減少したとしても、中長期的には自殺者が増加してしまうリスクが残される。自殺問題を根本的に解決していくためには、悩みや不安に関する世論調査の結果にも注視する必要がある。
p.58(pdfではp.21)

特集 自殺統計の分析 (PDF形式:472KB)」(平成25年版自殺対策白書 本文(PDF形式)

というわけで、分類方法が曖昧ではありますが、「経済・生活問題」による自殺死亡率のピークは消費税引き上げのあった平成9年ではなく、ITバブルも過ぎた6年後の平成15年でして、平成21年のリーマンショック時もこれに近い水準となりましたが、その後急激に下がっています。平成9年から10年にかけての大幅な上昇は、まっつぁんの指摘されるゆとりローンも大きな要因だったと思いますが、その後の経緯をみると、それだけが原因ではないように思います。

ただし、世の中には原因を一つに特定しないと気が済まない方もいらっしゃるようですが、自殺対策白書のまとめで指摘されているように、自殺という特異な行動は様々な要因が絡まる中で現れるものと考えれば、まっつぁんのような制度要因に着目した考察には一目も二目もおくべきではないかと思います。それに比べると、消費税だけを悪者に仕立て上げる議論はなんともシンプルマインデッドに思われますね。
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コメント
この記事へのコメント
健康問題を抱えがちな高齢者の影響を調整した、標準化自殺率の推移を見ても90年代後半に自殺率がはねあがった後に元に戻っていません。バブルの前の円高不況時にもやはり自殺率が高まるなど景気との連動は強いです。

そして何より、日本が成熟化を迎えたここ何十年の間、自殺を減らすための様々な対策が行われてきたのでは無かったのでしょうか。にもかかわらず、標準化自殺率が70年代と変わらない水準だということは、「別に日本の自殺率はデフレ不況で高まったわけではなく過去の平均レベルにある」と解釈すべきではないでしょう。(これまでの政府の対応なんて全て的外れで何の役にも立たなかったというのでもない限り)本来は漸減して然るべき自殺率が、景気の低迷の中で高止まりしてしまったと考えるべきです。

引用されている方はあまり数字に得意ではないように見受けられます。数字で騙る場合にありがちな、多くの数字を出すがそこからの含意の引き出し方がアドホック、定量的な話をしているかに見せて肝心なところは定性的な言葉だけで終わらす、という傾向が見られます。また、たとえばローン返済と給与の件についても、勤続年数の増加にともなう給与の上昇がきちんと捉えられない平均給与で語るなど、データ分析の素養からして疑われるレベルです。
2013/10/02(水) 12:32:54 | URL | 山田 #-[ 編集]
> 山田さん

ご教示ありがとうございます。

本文にも追記しましたが、本エントリの冒頭で、念のためとして「まっつぁんの分析がすべて正しいというつもりはありません」と書いたとおり、データの扱いは素人の域を出ていないと思います。しかし、制度要因の分析という点では、素人なりに考えた経路としていい線を行っていると考えております。これに興味を持たれた専門家の方がきちんとしたデータ分析をされればよいのではないかと。

なお、山田さんが指摘されている

> 「別に日本の自殺率はデフレ不況で高まったわけではなく過去の平均レベルにある」と解釈

するようなことは本エントリに書いておりませんし、私もそのような解釈をする方がいれば、認識を誤っているのではないかと思います。

また、

> 本来は漸減して然るべき自殺率が、景気の低迷の中で高止まりしてしまったと考えるべき

というご指摘は、内閣府の『自殺対策白書』の記載からは、にわかに賛同しがたいと考えます。
2013/10/02(水) 23:01:49 | URL | マシナリ #-[ 編集]
>> 本来は漸減して然るべき自殺率が、景気の低迷の中で高止まりしてしまったと考えるべき

>というご指摘は、内閣府の『自殺対策白書』の記載からは、にわかに賛同しがたいと考えます。


なぜ?『自殺対策白書』にある

>自殺者が急増した平成10年以降直近までの減少した要因のうち、「健康問題」および「負債(多重債務)」については、各対策への取組による効果が高いが、「失業」などについては景気回復による効果が高いと考えられる。



> 本来は漸減して然るべき自殺率が、景気の低迷の中で高止まりしてしまったと考えるべき

の裏返しで、景気が少しでも中弛めば、「健康問題」および「負債(多重債務)」についての取組で減少した自殺者数を相殺して高止まりすることを表しているように読めますが。
2013/10/03(木) 02:36:02 | URL | 横からですが #1GWnC3zs[ 編集]
ついでにゆとりローンも、

>勤続年数の増加にともなう給与の上昇がきちんと捉えられない平均給与で語る

のでなければ、土台無理な計画による詐欺まがいの商品とは言えなくなり、結局はあまりに予想を下回る景気悪化というか長引く景気低迷によって破産に追い込まれたということになるので、景気要因の一部に過ぎない。特段にこの制度のせいで自殺が増えたと取り上げる程のものではなくなる。

年齢階層別のデータがほしいので国税庁の民間給与実態統計調査を使うと、

1988年に20~24才の人の平均給与は2376千円で、これが1993年に25~29才になると平均給与は3634千円と1.53倍になっていた。この1.53という数字はその前と比べても特段高い値ではないので、1993年に20~24才の人は、自分の給料が5年後には1.53倍程度になっていると予想していた可能性が高い。金融機関側もおそらく同じであろう。1993年に2822千円だったので4316千円という、従来とおりの賃金上昇が起きていれば

>6年目から100万円も増える返済をできるはずがないんです

ということにはならず、十分に可能だった。
1993年に25~29才の人なら3634千円→5114千円
1993年に30~34才の人なら4327千円→5610千円
1993年に35~39才の人なら4761千円→5846千円
1993年に40~44才の人なら4969千円→6088千円
となるはずだというのは、特段に楽観的なものではなかった。途中である程度は支払額が増えるのに対応するため貯金もできたであろうことを考えれば、景気があまりに長引いて悪かったために計画が破綻し、破産へと追い込まれたということになる。普通に景気要因での自殺である。


>引用したデータの扱いは素人の域を出ていないと思います。

といったものに

>とてもよくできた統計学あるいは計量経済学の論文

と評価したわけ?数字の扱い方が素人レベルのものを?いやはや不思議な統計学や計量経済学に対する理解をされているようで。
2013/10/03(木) 03:06:19 | URL | 横からですが #qSGY9llw[ 編集]
新受の不動産競売件数
1991 30,558
1992 40,696
1993 48,913
1994 49,908
1995 50,506
1996 53,273
1997 53,414
1998 66,153
1999 63,974
2000 65,949
2001 65,098
2002 68,386
2003 65,367
2004 63,480
2005 57,405
2006 54,166
2007 49,320
2008 62,470
2009 62,832
2010 46,308
2011 38,923
2012 34,543

1998年と同様に10,000件以上増えている年が1992年と2008年にあるが、この時の経済事由による自殺者の増加幅は1992年が+402人、2008年が+86人。自殺者全体の増加幅は1992年が+1020人、2008年が-844人。1998年の経済事由+2502人、自殺者全体+8472人のような大幅な増加はない。差分をとった上での比較なので高齢化のようなトレンドある上昇の影響も除去できている。このことからも1998年の自殺者増加の主要な原因が、ゆとりローンの破綻や人口動態である可能性は低い。誤差の範疇の影響しかなかったと考えられる。
2013/10/03(木) 05:21:09 | URL | 横からですが #.r9U9j0g[ 編集]
本文の書き換えご苦労様です。しかし、結果としてなぜ素人の域を出ないものを持ち出してきたのか、より一層わかりにくいものとなってますね。

原因は一つには絞れない、ごもっともです。しかし、複数ある原因はそれぞれ有意性や効果量が違います。所得や雇用のようなものと、ゆとりローンのようなものは並べ立てるには適していません。また、消費税だけが原因でないということは、消費税による影響がどれだけ大きかったかを語る時には意味のない指摘です。

相関関係は因果関係とは限らない、ごもっともです。しかし、相関関係は「たまたまそうなっている」だけとは限りません。因果関係がある場合もあるのです。そしてそれは、複数の分析が同じ方向を示すときに可能性が強まります。たとえば
http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20110720/1311155162
の一連の分析のように、クロスやパネルでも時系列と同じように所得が自殺に影響していることが示唆されています。消費税が断層的に(可処分)所得を低めたのは事実でしょうから、消費税が自殺数を明確に高めたとの主張は無理のあるものではありません。そして、そうてあるならば、それを声高に言うこともさして問題だとは思われません。推計をもっと正確にするべきという批判ならばわかりますが、明らかに効果量の劣るゆとりローンを持ち出してどうの、という方がピントのずれたものでしょう。

なお、上の推計を参考にすれば自殺者は増やして1万人程度なので、一桁違うだろう、と言うのが順当な批判でしょう。たた、人命に対する効果としては十分に大きなものであり、これまでとられてきた自殺対策の効果と比較しても、失業しても自殺しないで済む社会にするための政策で打ち消せる小ささとは考えにくい。
2013/10/03(木) 14:28:29 | URL | 山田 #-[ 編集]
横からですがさんの競売データと、はてぶにある1994年の方がゆとりローン契約件数が多かった・10年後にさらに利払いが増えたという指摘、そして利払い額が増えてもしばらくは耐えられる家計があることを考えると、1999年や2003年に競売件数が減っている以上、ゆとりローンがローン破綻者を量産したというところからしてかなり怪しいですね。もちろん全く増やさなかったということは無いにしても、所得などと比べると効果はオーダーが違って乏しい可能性が高い。
2013/10/03(木) 15:26:06 | URL | 山田 #-[ 編集]
研究者というオタク集団はそれこそありとあらゆるものを想定して、ダメだったものはお蔵入りさせているだけなんだよw そうやって良いのを発見するのがメシのタネでもあるわけだから必死なわけよ。非オタがちょっと思い付きました程度のものは『キサマ等のいる場所は既に我々が2000年前に通過した場所だッッッ』状態なの。四角い車輪の再発明なんてやるだけ無駄。
> ゆとりローンの影響による自殺者の増加という可能性を考慮することはなさそうです。
なんじゃーなくて、とっくの昔に考慮したけど大した影響はなかったから特に表に出なかっただけ。研究者に対する謙虚な心があれば、そんな失礼な言葉は出てこねーものなはずなんだけど、日本では研究者は自分の良い時に良いように使う程度のものにしか思われてないからしゃーないか。
2013/10/03(木) 17:52:32 | URL | piccad #-[ 編集]
>詳しいデータが示されていないのでその真偽のほどは不明ですが、まっつぁんは一つの推論として、住宅ローンの制度変更が要因となっている可能性を示しています。(10/2追記)

>ゆとりローンという制度変更についてきちんとデータを用いて検証されているところでして、改めて「パオロさんの後半の自殺増加についての指摘はとてもよくできた統計学あるいは計量経済学の論文」だなと見直した

結局、判断にたるデータはあるのかないのか?????
2013/10/04(金) 14:12:10 | URL | ぴっちゃん #-[ 編集]
> 横からですがさん

ご教示ありがとうございます。

簡単にコメント書こうとしましたが予想外に長くなり、そのうちにブラウザがクラッシュしてコメントが消えてしまいました。
ということで、横からですがさんあてに長々書いたコメントを再現する気力もありませんので、ごく簡単に。

私は(おそらくマッツァリーノ氏も)景気と自殺率に強い相関があることは否定しておりませんが何か?

ついでに、新受の不動産競売件数を例に出されていますが、この間にどのような制度変更があったかご存じでしょうか。この点について私がくどくど述べるよりは、後ほどESRIの委託で京大が実施した自殺要因の分析をご紹介しますので、そちらをご確認いただくのがよろしいかと思います。
2013/10/05(土) 17:05:06 | URL | マシナリ #-[ 編集]
> 山田さん

> 消費税が断層的に(可処分)所得を低めたのは事実でしょうから、消費税が自殺数を明確に高めたとの主張は無理のあるものではありません。そして、そうてあるならば、それを声高に言うこともさして問題だとは思われません。

統計分析で用いられるデータは、クロスであれパネルであれ時系列であれ、線形代数で取り扱われる限りにおいてただの数値であって、それがどのような政策的含意を導くのかというのが統計学なり計量経済学の手法を用いた政策的論文の意義だと考えております。

山田さんが指摘される「断層的に(可処分)所得を低めたのは事実でしょうから」という経路については、データで明確に示されているのでしょうか。ちなみに、この時期に先行して実施された所得税・法人税の減税と社会保障の拡充によって国民負担率(対国民所得比)は下がっていますので、少なくともマクロデータからそのような事実は導かれないと考えております。

前述の通り、私は(おそらくマッツァリーノ氏も)景気と自殺率に強い相関があること自体を否定しておりませんが、それを消費税率引き上げの一点のみに帰着させようとする議論に対する一つの推論として、本エントリで制度変更による影響についての考察を引用したところです。

なお、制度変更のような一時的なショックによる影響を統計学で推定するためにダミー変数とかが用いられますが、その変数が的確に制度変更を捉えているかというのは、統計学的な処理とは別問題として、その推定の妥当性に強く影響するのではないでしょうか。本エントリに書いたとおり、ゆとりローンが自殺件数に与えた影響の真偽は定かではないとお思いますが、単純な競売件数の増減でゆとりローンの影響を否定することも早計だと考えます。後述の京大が行った分析でも、制度改正により個人破産の手続きのハードルが低くなり、借金を理由として自殺する件数が減少しているとの指摘があります。

はてブの指摘というのは、

> yasudayasu ネタ ゆとりローンが98年ほどに自殺率を急上昇させるならば、利用者の増えた94年の5年後や、もう一段上がる10年後にも自殺率は急騰したはず。なぜ新たな一要因を見つけただけで「僕は真因を見つけた」となりがちなのか。 2013/10/02

こちらを指しているかと思いますが、制度変更の影響を考慮しない典型的な議論ですね。
制度変更の影響を考慮し有益な政策的含意のあるペーパーとして、内閣府経済社会総合研究所の報告書から引用します。

> 以上の追加的統計より1998 年3 月以降の自殺率急増が、主に民間部門での潜在的・顕在的失職者の急増、事業の行き詰まりによる倒産・廃業の急増など、広い意味での失業の増加によってもたらされたことを少なくとも否定することはできないことがわかる。90 年代後半の倒産の急増に際しては、再生に重点をおいた法制度の整備、中小企業の資金繰りに配慮した特別保証(98 年10 月~2001 年3 月)、借換保証(2003 年2 月~)により一定の効果が現れている。
>
> 「自殺の経済社会的要因に関する調査研究報告書 平成18年7月」p.85(pdfではp.87)
http://www.esri.go.jp/jp/prj/hou/hou018/hou018.html

統計的に有意な変数を求めれば、失業率が自殺率に影響することは当然導かれるわけですが、その解釈に当たっては、制度変更を含めた複合的な要因を考慮する必要があります。引用した報告書では、「日本の個人破産制度の変遷(p.89)」が付録として記載されていますし、「Ⅴ.自殺予防対策」として雇用対策・再就職支援の強化からうつ病支援、社会的孤立化の防止まで6点にわたって検討が加えられており、有益な政策的含意が示されている点で優れた計量経済学の論文ではないかと考えます。
2013/10/05(土) 17:09:32 | URL | マシナリ #-[ 編集]
> piccadさん
> ぴっちゃん

ご指摘ありがとうございます。

ご指摘の点でお詫びしなければならないのは、マッツァリーノ氏の推論を「「パオロさんの後半の自殺増加についての指摘はとてもよくできた統計学あるいは計量経済学の論文」だ」と書いたのは、正確ではありませんでした。引用した趣旨は「よくできた統計学あるいは計量経済学の論文に対するつっこみだ」というものでして、誤解を招く書き方をしたことをお詫び申し上げます。

単純な回帰分析によって相関関係を発見し、制度変更などの要因を考慮することなくその相関関係を因果関係と推定してしまうような計量経済学の論文へのつっこみとして、制度変更の事実とか統計学的に考慮されなかった要因の影響を突きつけるマッツァリーノ氏の議論はよくできていると考えます。氏の議論は制度変更や各国比較、時系列の相関関係など、計量経済学に必須の要素が詰め込まれた議論だろうとは思いますが、肝心の統計的分析が欠けていて数値の扱いは素人の域を出ておりませんので、決して統計学とか計量経済学の論文ではありませんね。

まあ、私も計量経済学を専門とするわけでもない下っ端チホーコームインの分際ですから、こんなことを書いたところで専門の研究者の皆さんからすれば「『キサマ等のいる場所は既に我々が2000年前に通過した場所だッッッ』」なのでしょうけれど、では「欠陥消費税は大量殺人税制」とか「’98年の自殺者数異変は消費増税以外には考えられない」というのはどなたが通過された場所なのか浅学な私にもご教示いただけると幸いです。

もう一点お詫びしなければならないのは、私が本エントリをアップしたそもそもの趣旨は、自殺要因という亡くなった方の真意をデータの相関関係から単純な推論を導く方便として利用している議論が品性に欠けると感じたからです。マッツァリーノ氏の議論は、自殺要因について一つの推論を示してはいるものの、「要は、失業しても死なずにすむ社会にすればいいってことですよ。そう考えるほうが、結果的により多くの命を救えるのではありませんか。」という明確なメッセージが示され、日本の住宅政策の問題点を的確に指摘しているため、そのような品性に欠ける議論に対比させていただく目的で引用させていただきました。私も結果的に亡くなった方の真意をデータで分析する議論をしてしまう形になり、不快に感じられた方にはお詫び申し上げます。ただし、前述の京大の分析の末尾で述べられているとおり、「より有効性の高い自殺予防政策の立案」のためにはデータ分析は必須ですので、今後も真摯な分析が進められることを期待するところです。
2013/10/05(土) 17:25:31 | URL | マシナリ #-[ 編集]
 マシナリさん、お疲れ様です。
 それにしても消費税増税反対の論拠を「自殺者」に求めるしかないというより積極的に「死」を強調する心理操作による「思考停止」を行っていると言うことなのでしょう。「大きな政府」への忌避にしても、リフレ派(政治家・経済アナリスト等)の主張する「歳入庁」も含めて「消費増税・法人減税」は彼等の求めているものでもあるのは事実なのに。
 
 津波による避難行動の分析もそうですが、どのようにすれば生き伸びれるのかであって、どうすれば死ぬのか。ではありませんよね。

 住宅政策(債務整理)は震災後の、「東日本大震災事業者再生支援機構」の分析を通じて、変革していくしかありません。被災地での壮大な実験が、アベノミクスが崩壊するいつの日にか役立って貰うことを願っています。でもそれすら彼らには見えないでしょうけど。
2013/10/05(土) 23:22:43 | URL | hahnela03 #EBUSheBA[ 編集]
まず、この記事は「消費税による自殺の増加を 大げさに言って煽るべきではない」というもの であるという認識です。そして、前回の消費税 を引き上げた時期の自殺増加には消費税以外の 理由も含まれているので、消費税による部分は それほどテリブルなものではない、と(有意な 影響は与えたとしても、その影響は騒ぐほど大 きなものではない、ということ)。制度設計に 如何に計量分析を役立てるべきかという話では なかったはずです(この部分は、大げさであれ 騒ぎ立てて目立った方が何かしらの対策がとら れやすいという考え方も、そのような状態では 適切ではない対策になるという考え方もあるで しょうので保留します)。

このとき、自殺増加の理由が様々に考えられた としても、その中の消費税によるものの効果量 が十分に大きいのであれば、消費税についての 恐怖を語ることは依然適切となります。また、 数字を扱う上での初歩的なこととなりますが、 効果量の大きなものから小さなものまで同列に 並べ立てて理由は一つではないと主張すること は、たとえそれが事実であっても、効果量の大 きな中心的理由だけを取り上げて主張すること に劣るということにも注意して下さい。

結局、高齢化のようなほぼ不可避の要因や、ゆ とりローンのような制度要因を除いた消費税の 効果量がどの程度か、それは重篤なものかとい う話になります。そして、高齢化については様 々に指摘されており、説明変数に加えたり標準 化自殺率を使うなどの対処をすることは基本で あり、それでも98年以降に自殺率が高どまって いることが示され依然として消費税の有意性も 効果量も大きいままですから、ゆとりローンを 考慮することでその効果量がどこまで小さくな るかがポイントとなります。

ところが、このゆとりローンの効果は非常に疑 わしく、効果量以前に有意性があるのかさえは っきりしません。98年以外のローン負担の増加 時には自殺数も競売件数も強くは感応していま せん。そのまま受け取れば、ゆとりローンの効 果量は軽微で、消費税の効果量をさして引き下 げることはなく、消費税の自殺への影響はテリ ブルだということになります。そこで、ゆとり ローンの自殺や競売への感応が低いのは、ロー ン負担が増えても競売にまわされなくて済むよ うな制度の変更、あるいは仮に破綻しても自殺 につながらなくても済むような制度の変更があ った、という指摘があります。しかし、この指 摘に従うとすればゆとりローンの自殺数増加へ の影響が小さくなるということであるので、か なりの期間高ど まった自殺率に対する、他の原因の効果量が大 きくなることになります。つまり、制度変更を 考えて、ゆとりローンは当初だけ影響はあった がすぐにそれが抑えられたとすると、長引いた 自殺数高どまりの原因としての消費税の効果量 は高まり、消費税は制度変更を考慮しない場合 よりも一層テリブルなものだということになり ます。ご指摘の制度変更は、消費税の影響を大 きくする方向に働くものであり、もとから十分 大きな効果量から考えて、消費税による自殺の 増加は恐ろしい規模のものだという主張は変わ りません。

>山田さんが指摘される「断層的に(可処分) 所得を低めたのは事実でしょうから」という経 路については、データで明確に示されているの でしょうか。

社会保障も計算に入った、国民経済計算の制度 部門別所得支出勘定などを見ても、97年度の可 処分所得増加率は物価に及ばず、98年度にはか なり下がっています。実質可処分所得として97 年度はそれまでで最大のマイナス、そして97・ 98年度は初めての2年連続マイナスが起きたこ とを考えれば、これまでのトレンドがなくなっ て断層が起きたと言えるのではないでしょうか 。

なお、国民負担率で増税の影響を見るのは適切 ではありません。増税を見て消費を切り詰める ようなことが起これば、納税額は減りえるので 、消費減少によるGDPの減少との大小次第で国 民負担率は下がるケースがありえます。増税と 、消費減少によるGDPの減少による家計の所得 の減少を合わせたものが、増税による本当の負 担増となるのですが、推計は困難かつ幅を伴い ますので、可処分所得を単純に見る方がよいで す。

>制度変更を含めた複合的な要因を考慮する必 要があります。

さて、最後に繰り返しますが、複数の原因があ るとき、各々の効果量の大小に細心の注意を払 わず、あの原因もあった、この原因も考えられ る、とすることは、効果量の大きな1,2の原因だ けを論うよりも問題のある行為だということを 覚えておいて下さい。
2013/10/06(日) 02:57:06 | URL | 山田 #-[ 編集]
ローン絡みの制度変更は、最初に指摘した

>自殺を減らすための様々な対策が行われてきたのでは無かったのでしょうか。にもかかわらず、標準化自殺率が70年代と変わらない水準だということは、景気の低迷の中で高止まりしてしまったと考えるべきです。

の一つと言えますね。雇用や所得の要因による効果量を強める方向に働くものです。
2013/10/06(日) 03:03:58 | URL | 山田 #-[ 編集]
制度変更があったので、10年後にさらにローン負担が高まったはずの2003年の競売件数の水準が、98年よりも少ない、ということは言えても、ローン負担が高まったはずなのに2003年の競売件数の増加幅がマイナスになった、と言うのはかなり難しいので、

>こちらを指しているかと思いますが、制度変更の影響を考慮しない典型的な議論ですね。

というのも気安く言えるものではないですね。制度変更で水準や感応度は変わっても符号条件まで変わることもないですから。また、毎年大きな制度変更があるわけではないでしょうから、98-99と02-03のどちらもがローン負担の増加を打ち消すほどの制度変更があったと言うのは難しい。となると、98年から見れば制度変更のために競売件数の水準は変わっていようと、前年からは同程度の制度の中でローン負担が増えても競売件数が減ったことになる。つまり、ローンの効果量はそれくらい乏しいということです。
2013/10/06(日) 05:59:58 | URL | 山田 #-[ 編集]
> hahnela03さん

労いのお言葉ありがとうございます。
また、ブログで取り上げていただきありがとうございました。

> 津波による避難行動の分析もそうですが、どのようにすれば生き伸びれるのかであって、どうすれば死ぬのか。ではありませんよね。

アベノミクスとか消費税を巡る議論を見ていると不思議な感覚を陥るのですが、「日銀ガー」「政府ガー」という皆さんは日銀や政府が失敗するのを虎視眈々と狙っているようにすら思えますね。そのくらい日銀や政府は信用できないという信念をお持ちのようでして、それがこじれると「リフレーション政策以外では問題は解決しない」という信念から「リフレーション以外の政策を実行しようとする日銀、政府をdisればいい」というどこかの国のサヨクな方々と同じ行動をとってしまうのでしょう。

なお、「「歳入庁」も含めて「消費増税・法人減税」は彼等の求めているもの」かどうかは、おそらくご当人たちもあまり自覚されていないのではないかと思います。彼らにとっては、政府も日銀も信用できないから「ぼくのかんがえたりそうのせいふ」を実現したいだけなのかもしれません。
2013/10/06(日) 08:54:22 | URL | マシナリ #-[ 編集]
> 山田さん

> まず、この記事は「消費税による自殺の増加を 大げさに言って煽るべきではない」というもの であるという認識です。そして、前回の消費税 を引き上げた時期の自殺増加には消費税以外の 理由も含まれているので、消費税による部分は それほどテリブルなものではない、と(有意な 影響は与えたとしても、その影響は騒ぐほど大 きなものではない、ということ)。制度設計に 如何に計量分析を役立てるべきかという話では なかったはずです

一つ目はその通りですが、あと二つは違いますね。消費税率引き上げが可処分所得の減少に影響したことは否定できないとしても、それが自殺率の上昇につながる経路が不明ではないかということを申し上げております。つまり、「景気悪化自殺率の上昇の相関関係」は認められますが、「消費税率引き上げと可処分所得の減少と自殺率の上昇」の間の関係が統計的に有意であっても、見かけの相関であることを否定することは難しいのではないかということです。そもそもその部分をないがしろにした計量分析というのは政策決定に百害あって一利なしですので、私のような実務屋にとっては政策的価値はほとんどありません。ヲタな研究者の皆さんで議論されればよろしいのではないでしょうか。

> (この部分は、大げさであれ 騒ぎ立てて目立った方が何かしらの対策がとら れやすいという考え方も、そのような状態では 適切ではない対策になるという考え方もあるで しょうので保留します)。
>
> このとき、自殺増加の理由が様々に考えられた としても、その中の消費税によるものの効果量 が十分に大きいのであれば、消費税についての 恐怖を語ることは依然適切となります。

この部分は矛盾しているように思われるのですが、山田さんは、「消費税によるものの効果量 が十分に大きいのであれば」という留保があれば「大げさであれ騒ぎ立てて目立った方が何かしらの対策がとられやすい」とお考えなのでしょうか。
「消費税によるものの効果量 が十分に大きいのであれば」という留保をつければいくらでも仮説を立てること可能だとは思いますが、ではその留保が成り立っているのかは依然不明ではないかと考えております。

ちなみに、消費税率引き上げと可処分所得の分析については、経済財政諮問会議の民間議員だった本間正明先生らの論文がネットで読めます。

>  次に、これまでの消費税の導入、税率の引き上げによって消費者行動がどのように変化したのかを検証しておこう。図2は、世帯主収入階級別の実質消費支出額の推移を描いたものである。この図によると、消費税の税率引き上げが実施された1997年度に消費が減少したのは、第II、III、IV、VI、VIII分位となっている。図1でみたようにマクロレベルでは消費支出の減少が見られるとしても、個別の家計にとって消費税引き上げの影響はかなり異なるのである。
>  これら違いは、1997年度に実施された消費税の引き上げが、所得税・住民税の先行減税を伴う税制改革の一環として実施されたことによるものと解釈できよう。ある一時点だけを考慮する静学的なフレームワークのもとでは、各家計は、ある一時点の価格体系、予算制約にもとづいて、効用を最大化するように消費を決定するものと考えられる。所得税の減税は、予算制約における可処分所得を増大させることで、消費を増大させる原因となり、消費税の税率引き上げは、実質可処分所得を減少させることで消費を減少させることになる。所得税の減税と消費税の増税の組み合わせからなる税制改革は、収入の低い階級の税負担を相対的に増加させる。図2において収入の低い階級において消費支出の減少がみられる傾向があるのは、このような税制改革の影響の違いによるものであろう。なお、第I分位において消費支出の減少がみられなかった原因としては、この階級には高齢者が多く属しているためと解釈できよう。すなわち消費税の税率引き上げによる負担増大は、年金の物価スライドによりほぼ相殺されるからである。
> なお、このような比較的低所得層に見られる消費支出の減少だけでは、図1に見られるマクロレベルでの消費支出の大幅な減少は説明しにくい。このような違いは、『家計調査』のデータと家計民間消費消費支出のデータの違いによるものと考えられる。『家計調査』では、独身世帯や農家世帯の消費支出が含まれていない、帰属家賃、海外での直接購入が含まれていないこと、一方、SNAの民間最終消費支出は産業連関表、工業統計表、商業統計、通関統計といった生産側の情報を利用していることなどが指摘できよう。とりわけ、1997年度については、海外での直接購入の落ち込みが対前年度比-14%とかなり激しいことが原因のひとつとして考えられる。海外での直接購入は、国内の消費税率の引き上げの影響は受けないことから、国内での家計の消費支出の減少はそれほど大きくなかったともいえよ
う。
pp.3-4

総合研究開発機構『地方分権下の地方財政-真の自立への提言』(第2章3,第5章,第6章分担執筆)NIRA政策研究,Vol.13,No.9,2000年
本間正明・橋本恭之・前川聡子「消費税と消費行動」『税研』Vol.16,No.2,2000年.
http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~hkyoji/PDF/zeiken93.pdf

なお、前掲の京大が実施した分析では、所得の減少と自殺率の上昇に統計的に有意な関係が認められるとするものと認められないとする先行研究が紹介されています。

>  高い所得は自殺に関してどのような意味を持つのであろうか。多くの研究から大雑把に言えることは、所得が高いほど自殺リスクは小さい、ということである。ただし、これは全体の傾向を掴むためのかなり大鉈を振るった言い方であって、細かくみれば必ずしもそうとは言えないことがあるし、全く異なる結果が出ている分析もある。
例えば、Neumayer(2003)では、低所得地域における所得が高くなると自殺率が有意に低くなるが、ある水準以上の所得をもった人が多い地域では、所得の上昇は逆に自殺率を上昇させるという結果を出している。
>  年齢別では、Hamermesh&Soss(1974)において、若年層では所得は自殺リスクとはならないが、それ以上の年齢層では、所得が高いほど有意に自殺率が低くなる傾向が見て取れる。
>  また、Yang(1992)は、人種、性別を考慮に入れた分析において、当期における所得上昇は白人女性と非白人男性について自殺率を上げる傾向にあり、前期における所得の上昇は人種、性別に関係なく自殺率を下げる要因となることを示している。
pp.22-23

http://www.esri.go.jp/jp/prj/hou/hou018/hou18.pdf

脚注によれば、Neumayer(2003)では多重共線性が考慮されていない可能性があり符号が一致しなかったおそれがあるとのことですが、所得が上昇しても自殺率が上昇することがあるという先行研究が複数ある以上、「可処分所得が減少したから自殺率が上昇した」という仮説については慎重に検証する必要があるのでないかと考えます。

まあ、私のような自分で分析する能力もないような下っ端チホーコームインとすれば、専門の研究者の皆さんの成果を拝見して判断するしかありません。山田さんはこれらの研究とは異なる結論に達していらっしゃるようですので、このような場末のブログでご高説を披露いただくには及びません。ぜひ査読を通過させて無知蒙昧な政策決定者(私は無知蒙昧ではあるものの政策決定者ではありませんが)の蒙を啓いていただきたいと存じます。

なお、私は「そのような状態では適切ではない対策になるという考え方」でして、その際、統計的に有意だからといって危険を煽るような論文であれば、再度批判するかも知れませんので、あらかじめご了承ください。
2013/10/06(日) 09:11:35 | URL | マシナリ #-[ 編集]
働くことが中心の社会で何が悪いのでしょうか?
働かない人間にばらまきして上手くいくはずがないです。
貧困撲滅や生活水準アップを目的とするなら、賃上げ以外ありません。努力した人が報われる社会であればこそ、みんな努力するのですよ

再分配というのは、ある階層から分捕って別の階層に付け替えることです。これで軋轢や紛争が起こらないほうがおかしい。

あなたが出した例でいえば、安い公営住宅を建てることによって、持ち家を買った人や民営借家に住む方が損することとなり、不公平を生じてしまいます。
「再分配が無い」などといいますが、再分配は「あって当たり前」ではありません、そんなに簡単なことではありません。むしろきわめて巨大な矛盾を孕んだ収奪なんですね。

ある再分配を行うとき、取られるだけの被搾取者と、一方的に得をする搾取者が生じます。前者から「行政のムダ、既得権益、利権だ!」と非難が出るのは当然です。私もそう言いますよ。

損する人に対して「しんじゆうしゅぎしゃガー」などと難癖つけて言論封殺しようとしてるのがあなた方官僚社会主義者なんですわ。

2013/10/28(月) 15:30:20 | URL | 一教師 #-[ 編集]
あー
私のほうもレッテル貼ってますね
反省してる

とはいえ 大きな政府派や再分配擁護派や規制緩和反対者が、小さな政府派や市場・自助努力擁護派・能力主義派に貼りまくった「市場原理主義」とか「新自由主義者」なるレッテルが、あなた方の意図を飛び越えて『消費税増税などの一切の庶民負担、あるいは勝ち組優遇(に見える制度)に絶対的に反対する勢力=ケインズ原理主義、反競争原理主義、反格差原理主義、リフレ左翼』に使いまわされているのは本意ではないでしょう。

「消費税増税は、金持ち負担を回避して低所得者を搾取する しんじゆうしゅぎ だ!!!(三橋氏)」
「TPPはアメリカに主権を移譲し、弱肉強食を推進する しじょうげんりしゅぎ だ!!!(中野氏)」
という常軌を逸した罵倒がまかり通っています。

実際はあなたがたが罵倒してきた改革派は全然、市場原理でも新自由でもないわけで、ただ極端な悪平等とか独占とか非競争とか過保護を非難してきた穏健中道リベラルなんですけどね。世界基準では。

また、あなたがいうような「再分配=善」「再分配反対=悪」という論が、無知蒙昧な「消費税絶対反対論」を勢いつかせたと言えます。

実際は再分配や大きな政府は善でも公平でもなく、再分配をやったために利権・汚職・非効率・不況・成長鈍化・不公平・不平等・差別・身分制度の弊害が起こってきたんですけど。(サッチャー改革前の英国とか。サッチャー氏は保守党でも非貴族だったので既得権益と社会主義の両面からの経済破綻の脅威を理解できたといわれています)

平民からとって貴族に配るのだって再分配なんですよ
2013/10/29(火) 12:54:12 | URL | 一教師 #-[ 編集]
レッテル貼りも悪いですが、「事実として流通する定義を、受け入れない・否定する」ことも、真逆なだけで問題ある行動です。

http://en.wikipedia.org/wiki/Social_democracy
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9
これを見ると、社民主義=左翼、社会主義の一派と書かれています。
2013/10/29(火) 14:42:25 | URL | 一教師 #-[ 編集]
> 一教師さん

IPアドレスを拝見すると某高等教育機関から投稿されているようですが、社会科学にはあまり造詣がない専攻なのでしょうか。社会民主主義と自由民主主義の違いについては、野川先生のtweetをご覧いただくのがよろしいかと。
http://twilog.org/theophil21/date-130629

レッテル貼りの弊害については、私も思うところがありますので、こちらのエントリなどご覧いただければと思います。
http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-561.html

その上で、「レッテル貼り」というレッテル貼りをどの程度まで認めるかというのも微妙な問題でして、全く「レッテル貼り」をしない議論というのも何かと不自由ですので、一教師さんが

> 大きな政府派や再分配擁護派や規制緩和反対者が、小さな政府派や市場・自助努力擁護派・能力主義派に貼りまくった「市場原理主義」とか「新自由主義者」なるレッテルが、あなた方の意図を飛び越えて『消費税増税などの一切の庶民負担、あるいは勝ち組優遇(に見える制度)に絶対的に反対する勢力=ケインズ原理主義、反競争原理主義、反格差原理主義、リフレ左翼』に使いまわされている

と指摘される点は、まあ如何ともし難い現象だろうだとは思います。

なお、私が再分配の強化が必要だと考えていることと、それが現実の政策として実現するか否かは別のことと考えております。
http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-570.html#comment990
こちらのコメントで
「政策実現についての現実的な制約についてわきまえることと、「正しい」と(自分が)考える政策についてその必要性を主張し、その「正しい」政策を実現するための障害となる現実(そこには実際の制度や歴史的経緯も含まれますが、その「正しい」政策を否定したり対極的な考え方に基づく主張も含まれます)に対して批判することは別のことだろうと考えております。」
と述べているとおりです。
2013/11/15(金) 07:15:10 | URL | マシナリ #-[ 編集]
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