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2013年07月20日 (土) | Edit |
以前パオロ・マッツァリーノさんが推薦されていた『ニュースルーム』というアメドラが先月終了しまして、録画しておきながら先日やっと見終えました。興味深いエピソードと思いながらネタにできなかったのですが、いよいよ明日が参院選ということで、「「真実を伝えるニュース番組」の方針として掲げられる項目が、日本のマスコミに比べて(ドラマ的にはアメリカのマスコミに比べてでしょうけど)とんでもなく深い」ドラマの印象深いシーンを備忘録として。

以下ネタバレですので閲覧注意です。
第9話の中のエピソードなのですが、あらすじは、アメリカ議会が政府の債務上限を撤廃する法案を成立させようとしたため、番組スタッフはそのことが経済的に深刻な問題を引き起こすと考え、ニュースで大きく取り上げようとします。ところが、テレビ局の上層部からは、他局との視聴率競争に勝つため、娘殺しのゴシップネタで視聴率を稼ぐよう指示が出され、そこで葛藤する「真実を伝えるニュース番組」の姿が描かれていきます。

そのサブエピソードとして、第6話でニュースアンカーのウィルに対してネットで殺害予告が行われます。

ウィルは番組でグラウンド・ゼロ付近のモスク建設に反対する立場のゲストを相手に、反対理由に妥当性がないと主張。その後、番組サイトのコメント欄にウィルの殺害予告が投稿されたため、ボディーガードがつくことになる。

「#6 暴走する正義Bullies」(WOWOW「ニュースルーム」

この殺害予告を書き込んだ犯人に接触しようと、オタクな男性スタッフ(ニール)がネット上の「荒らし」にのみ入室が認められる「荒らしクラブ」へ入室を試みます。そこで、経済板(an economy bulletin board)の炎上を自作自演するため、番組の女性の金融リポーター(スローン)の嘘の下ネタを書き込んでしまい、ニールとスローンがそのことで一悶着起こすのですが、その経済板の様子はどこかの国のネット界隈(簡易ブログとか顔本とか)とは趣が違うように思いますので、一部採録してみます(Nはニール、Sはスローンの発言)。

N:あそこの連中は簡単に引っかからない ┐(´-`)┌
S:経済評論家は大人よ (。ˇ ⊖ˇ)~フフーン♪
N:〔確かに〕手ごわい。今の話題はアメリカの信用格付けが下がると予測した記事だ
S:〔その話題は〕ニュースではやってない。ケーシーばかり。
 (注:「ケーシー」というのはゴシップネタの娘殺しの女性容疑者)
N:そこでこう書いた “政府の予算なんて俺の小切手帳と同じ”
S:そんなバカな例え、やめて! 小切手と予算は違う! 車の運転と月面着陸くらいに!! (`Д´) ムキー!
N:ほらね、君も怒ったろ。盛り上がったところで話を君に切り替えた ( ̄ー ̄)ニヤリ
S:どう?
N:知りたい?
S:いいえ! 〔やっぱり〕教えて ヽ(`Д´メ)ノ プンスカ!
N:“メディアと政府はグルだ”と
S:グル?
N:バカっぽくしないと。
S:グルって どういうふうに?
N:〔政府は〕君の胸に注目させる。〔すると、掲示板では「そんなことはない」と〕皆、君を擁護した。
S:〔ソウソウヾ( ̄◇ ̄メ)ソレソレ〕
N:〔そこへ僕が〕2つ目のアカウントで“目を奪われるのは〔胸だけじゃなく〕いやらしい体の動きだ”と〔書き込んだ〕。 ( ゚ー-゚ )ドヤ
S:そんな… ∑(-x-;)ナ、ナニッ?!
N:〔さらにその証拠として〕ウィキにリンクした 〔そこには〕“ストリッパーから 金融リポーターに”〔と書いてある〕 ( ゚ー-゚ )ドヤ
S:〔そんなデタラメ〕書いてない。(´゚д゚`)ポカーン
N:〔僕が書いたから〕見てみて。 ( ̄ー ̄)フフン
S:私は感情が顔に出るの。おまけに、すぐ手も出る。(^ω^♯)ピキピキ
N:〔こうしてやっと炎上させることに〕成功した。罵倒のコメントが殺到して、管理人がスレッドを閉じた。 ( ゚ー-゚ )ドヤ
S:これで荒らしのクラブに入れるわけ?。 (^ω^♯)ピキピキ
N:あと一歩。入会審査があって、まだレベル1。レベル2でトロール常習者と交流〔できる〕。 ( ̄ー ̄)フフン
S:将来有望ね。ちゃんと取材してる。 (^ω^♯)ピキピキ
N:胸に注目させる政府なら、僕は支持するな( ̄ー ̄)フフン
S:ウィキを書き直して!! (#゚Д゚)ゴルァ!!
N:はい (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

「#9 置き去りの夢 The Blackout Part II: Mock Debate」(『ニュースルーム』第9話)
※ 台詞は字幕の書き起こし。〔 〕内と顔文字は話の流れをわかりやすくするため適当に補いました。

日本でも最近はデマッターという言葉が使われているようですが、日本と違うのは、アメリカの経済板のメンツは当初ニールがしかけた「荒らし」が通用しないほど手ごわく、「政府の予算なんて俺の小切手帳と同じ」という発言を批判し、「メディアと政府はグルだ」という発言がバカっぽく受け取られる程度には、政府の予算に対する理解と陰謀論に対する耐性がありそうなところですね。日本のネット界隈でそのような話題があれば、「日銀の国債引き受けガー」とか「財務省と日銀の陰謀ガー」とか「財務省に弱みを握られたマスコミと御用学者ガー」とか真剣に盛り上がりそうなところです。まあ、それなりの耐性がある経済板でさえ、ウィキにねつ造された証拠を出された途端まんまと荒れてしまったわけで、ニールの手腕が見事だったというところでしょうか。

その『ニュースルーム』の番組が掲げた方針を再確認しておくと、

  1. 選挙で投票する時に必要な情報か?
  2. 議論の形としてこれが最良だろうか?
  3. 背景を紹介しているか?

というものなのですが、まあそんな番組がないからこそのドラマでもあるのでしょう。

そのシーズン1の最終話となった第10話では、共和党員であるウィルがティーパーティーの欺瞞を「名前ばかり共和党員」として徹底的に暴きます。

REPUBLICAN IN NAME ONLY

  • Ideological purity
  • Compromise as weakness
  • A fundamentalist belief in scriptural literalism
  • Denying science
  • Unmoved by facts
  • Undeterred by new information
  • A hostile fear of progress
  • A demonization of education
  • A need to control women's bodies
  • Severe xenophobia
  • Tribal mentality
  • Intolerance of dissent
  • Pathological hatred of US government

【訳】
名前ばかり共和党員
  • 思想的純粋さ
  • 妥協を弱さとし聖書を絶対視する原理主義
  • 事実や情報を無視
  • 進歩を敵対視
  • 教育を悪者扱い
  • 女性の体への支配
  • 重度の外国人嫌い
  • 身内びいき
  • 反対意見への不寛容
  • 政府に対する憎悪
ウィル:ティーパーティーがどう名乗ろうと勝手です。だが共和党員は党員と認めてはいけない。実体で呼ぶべきです。アメリカのタリバンと。彼らはクーパーさんが投票できれば生き残れません。

「#10 世界一偉大な理由 The Greater Fool」(『ニュースルーム』第10話)
※ 訳と台詞は字幕の書き起こし。

補足しておくと、最後に出てくるクーパーさんというのは、テネシー州に住む96歳のアフリカンアメリカンの女性です。テネシー州が成立させた法律により、写真付きIDがなければ投票できなくなり、クーパーさんは車の免許も持っていないため投票権が奪われてしまったというニュースがこの場面の前提となっています。

ここで掲げられているティーパーティーの特徴のうち、「進歩を敵対視」「教育を悪者扱い」「女性の体への支配」「重度の外国人嫌い」というあたりは、聖書による科学否定や中絶の禁止とかWASPの主張とかに関連しているので、日本ではちょっとピンとこないところもあります。しかし、それ以外の点については、ティーパーティーとはいわないまでも、この数週間の選挙戦でさんざん見せつけられたような印象があります。まあ特に日本のネット界隈では「身内びいき」「反対意見への不寛容」がデフォルトのようですから、同じ○○派を「日本のタリバン」と呼ぶことはなさそうですね。



以前のエントリの繰り返しになりますが、「向いてる方向が別々でお互いに敵視している同士であっても、持っている道具は同じものしかないというところに、日本の言論空間の貧困さを感じないでもありません」と改めて思うところです。
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