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2013年03月17日 (日) | Edit |
前回のエントリで放映前に取り上げた番組の録画を見てみました。

NHKスペシャル 東日本大震災「故郷を取り戻すために~3年目への課題~」
2013年3月11日(月)午後10時00分~10時58分


気のせいでしょうか、番組ホームページで「①想定外の人口の流失や企業誘致失敗によって生まれようとしている膨大な「事業空白地帯」」と紹介されていた点が放送されていませんでした。もしかすると、前回エントリで書いたような「単純に「具体的な土地の利用が決まらないために企業誘致が進まない」ということ」を取り上げようとしたものの、結局「②被災者同士による「住民合意」の膠着状態」の点に集約されてしまったのかもしれません。というかそれが実態ですし、震災直後からくり返しているとおり、土地の利用についての合意形成というものほど難しいものはないという現実からすれば、実務上は想定されていた事態といえるでしょう。

前半で取り上げられていた名取市の事例は、このエントリで最後に取り上げた番組を再編集したものでした。そのエントリでも書いたとおりですが、「有識者の方(名前は確認できませんでした)が「住民の合意は必ずできる」とかコメント」されたことが空々しく聞こえる深刻な対立があります。番組には増田寛也元総務大臣(というより、前岩手県知事として呼ばれたんでしょうけれど)が出演していて、相変わらず実務をガン無視した理想論をぶって分かったようなことをいっていましたな。この元「カイカク派知事」は、番組の最後で「構想をはっきりと示す」とか「場合によっては柔軟に対応する」とか「スピード感を持って取り組むことが大事」とか「被災者のニーズが変わっているから、それを丁寧に拾い上げることが大事」とか「国民全員で役割を引き受ける」とか、だから具体的に何をどうしたらいいんですかねえということを一切言わずに番組を締めていまして、さすがのカイカク派クオリティでした。こういう空疎な理想論がどれだけ現場を疲弊させているのか、カイカク派な方々にはご理解いただけないようです。番組の後半では、公務員不足の犠牲者となった方も取り上げられていましたが、この元「カイカク派知事」がおっしゃることは何一つ意味がないということをまざまざと実感させられました。

でもって、カイカク派のクオリティを引き継いだ政治家の皆さんが震災後に取った行動は、「とにかくスピード第一だから予算には糸目をつけない」というような威勢のいい言葉でもって、被災地で実行できる体制もないような事業に予算をてんこ盛りに盛ることでした。で、当然被災地では想定されたとおりに事業が進まない状況が生じているわけでして、しかもそこに「新しい公共」とか「住民参加」とかのマジックワードが振りかけられると、「「「新しい公共」があれば公共的な事業を効果的に実施できる」という考え方が力をもてば持つほど、その「新しい公共」が依って立つ「新しくない=古い公共」がどんどん崩壊していくという悪循環」に陥っているわけですが、相変わらず政権党の方々は、

・将来の国家像を見据え、計画性を持って地方公務員等を含む公務員総人件費を国・地方合わせて2兆円削減します。
「自民党政権公約(第46回衆議院議員選挙(平成24年度))」(pdfファイルです)

と宣言されています。それでいて、同じその政権公約の冒頭では「まず、復興。ふるさとを、取り戻す。」とかどっかの番組のタイトルになりそうな言葉がデカデカと載っていて、まあ結局実務屋にそのケツを拭かせることしか考えていない様子がひしひしと伝わってきますね。

そのケツを拭かなければならない現場にいる者としては、最近のやまもといちろうさんのエントリが笑えない内容でした。

 まあ、注文が殺到してロジスティクスが追いつかず配送が遅れるということは、この手のビジネスでは必ずあることでしょうから、致し方のない部分はあるのかもしれません。しかし、そういう大人の配慮や考え方はとりあえず脇に置いておいて、まずは楽天のだらしないビジネスで苦情が殺到しているさまを健やかに笑っておこうというのがネット社会()的なあり方なのではないでしょうか。

(略)

 楽天もスピードを旨とする組織ですから、問題が起きてからの対策もきっと速いに違いない、ぜひ頑張って欲しい、できれば遠くのほうで、と心から思う次第でありますし、一連の騒動が終わったら一度頼んでみようかな、と思います。はい。

楽天マートが凄いことになっている件で(2013.03.16)」(やまもといちろうBlog
※ 以下、強調は引用者による。

まあもちろん、ネット上のビジネスなので健やかに笑っておくのがネット社会的()なのだろうと思いますが、ここで留意していただきたいのは、おそらくやまもといちろうさんが笑う対象としているのは、そのクレーム処理に追われるコールセンターの従業員や深夜まで配達を強いられている現場の配達員ではなく、そういう体制も整えないまま事業を実施した経営陣であるだろうということです。もしかすると事業実施に至る過程で、こういう事態も想定されていたのかもしれませんが、「スピードを旨とする組織」として稚拙な意思決定が行われた可能性も考えられます。

実は、以前もやまもといちろうさんのブログで同じような案件が取り上げられていまして、ちょっと長くなりますが引用させていただきます。

 ところが、先日共通の知人で彼の仕事を手伝っている大学の後輩(男)が、ある作品のゲーム化が炎上したというので相談にきた。最初は「よくそんな大物IPを確保できたもんだ。さすがだな」と思ったが、内容を確認して精査するうちに、こっちが青くなった。締め切りはもうすぐなのに、品質が低いどころかモノが動かないのだ。普通なら「素材はあるけどプログラムが遅れていて動かない」とか「仕様が膨らみすぎて、バサバサ切り落として対応しなければならないがそのノウハウがない」などといった相談なのだが、この場合は違った。みんなが知ってる有力版権のタイトル絵だけがあって、後ろには何もない。もはや「バンドメンバー募集。当方ボーカル」という状態である。

 これはさすがに対応しようもないので断っても、なかなか帰らない。というか、帰れないのだという。社長がポジティブすぎて「やればできるんだから、全力でやれ」としか言わないからなのだそうだ。確かに意志の力は偉大だが、物理的にできないことを可能にする意志というのはマジックポイントといって魔法使いの領域である。どちらかというと、我々の職業は盗賊であって、物事を上手く運ばせることには関心があっても両手両足で実現できないことは専門外なのだ。

 ずっと喫茶店に座っているわけにもいかないので、あれこれと事情を聴いているうちに後輩(男)が泣き出した。それはもう、おいおいと泣くのである。ちょっと待って欲しい。周囲の目が厳しすぎるのは、男同士冷めたコーヒーカップ挟んで別れ話をしているようにしか見えないからだろう。まあ、こっちとしても小銭置いて店を出るわけにもいかず、あれこれ諭して再会を約束して別れるほかないわけだが、そのまま電車にでも飛び込まれるのではないかと心配になった。彼も妻子がいるのに。

 ポジティブでリーダーシップがある人でも、このあたりのバランス感覚というのは大事だと思う。能力のないポジティブ、計画のないリーダーシップは、それって単純に無謀なブラック企業に簡単になってしまうだろう。後輩が言っていたのは、会社が急に膨張して、となりの部門が何をしている会社なのだか分からない、誰が援軍になってくれるかも知らない状態だという。そして、自分の部門は単純なゲーム一個まともにリリースできないので、宙ぶらりんで困っているとの話。それって経営や部下のケアといった、小さな問題じゃないような気もする。

 さすがに見かねて、経営者に電話を入れ「お前の会社どうなってだ」と訊いたら、その問いの直後に夢中な声で新規事業への進出を検討している話をし始めた。確かにこりゃあ炎上もするのだろう。積極的に事業を展開したいという野望も分かるが、物事には立ち止まって考えて適切なペースで展開していくというさじ加減があると思うんだけど、どうなんだろうねえ。

 その意味では、昨今のイット系のブラック傾向というのは、この辺の前向き経営者が無理な仕事を部下に押し付けて収拾がつかなくなるけど経営者本人に問題処理の能力が備わっていないで、指示が「全力で立ち向かえ」的な内容で終わってしまうからなんじゃないかと改めて思った。言われてみれば、コンペなどであからさまに赤字の金額で数字を入れてきて、受注してたけどやっぱりその予算では制作できなくて炎上して、コンペで落ちたはずの弊社に泣きついてくるケースはとても多いのである。

ポジティブ経営者の状況認識(2013.02.20)」(やまもといちろうBlog

やまもといちろうさんがここで「ポジティブ経営者」について書かれている部分を「カイカク病に罹患した素人崇拝の人」とか「「まず、政権交代」という政治家」とか「復興予算の流用ガーという人」と読み替えてみるのも一興かもしれません。被災地の現場がこうした方々の掲げる復興予算とか復興計画によってどんな状況に追い込まれているのか、このやまもといちろうさんのエントリから想像していただければと思うのですが、まあこうした方々は想像できないからこそ、これからもそういうことを叫び続けるのでしょうねえ。
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コメント
この記事へのコメント
岩手県山田町で東日本大震災の被災者の雇用創出事業を受託したNPO法人「大雪(だいせつ)りばぁねっと。」(旭川市)のずさんな運営問題が今日の日本テレビ系ニュース番組「バンキシャ」で取り上げられていた。
コメンテーターは、町がちゃんと監視すべきだと、民間企業だったらこんなことはないといっていた。
緊急時は何でもアリなどという言葉に騙されてはいけないということの典型のように感じた。
2013/04/21(日) 19:01:05 | URL | yunusu2011 #-[ 編集]
> yunusu2011さん

> コメンテーターは、町がちゃんと監視すべきだと、民間企業だったらこんなことはないといっていた。

私もちょうどその場面を見ていましたが、その漫画家コメンテーターは、いかにも震災直後には「非常時なんだから平時の前例にとらわれず、柔軟な予算執行や法の適用をすべきだ」と声高に叫んでいそうな方でしたね。あくまで印象論ですが。

そうした方々が無責任に「柔軟な予算執行」とか「超法規的な対応」を煽る一方で、オンブズマンの方々や会計検査院が虎視眈々と不適正処理を探し出しています。これに対応しなければならない実務屋としては、そうした「柔軟な」処理には慎重にならざるを得ません。

> 逆にグループ補助金で予算額が足りないというのは、その理屈を裏返しにすればわかりやすいかもしれません。番組で指摘されていたように、「震災からの復興に際し、地域経済の活性化に資する」というような要件を設定しておけば、その効果を説明できない企業(グループ)が補助金の交付決定を受けることはできません。いずれも、事後的になされる国会(議会)の場での「費用対効果」の観点からの成果の追求、会計検査院による会計上の効率性・理屈づけの観点からの追求、市民オンブズマンからの「不適切ではないか」との疑いの目による追求に対して、事前に理屈づけをするために必要な対応だったのではないかと思います。

http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-533.html


要件を厳しくしながら批判に耐えうる予算執行などを進めると、今度は、「復興予算の流用だ」とか「セクショナリズムで硬直的だ」と上記のエントリのような批判の嵐が巻き起こることになります。

こういう現実の中で実務をこなさなければならない状況下では、yunusu2011さんが

> 緊急時は何でもアリなどという言葉に騙されてはいけないということの典型のように感じた。

と指摘されることは現場の実務屋こそが一番敏感になっているはずでした。しかし、結局本エントリで書いたように、

> カイカク派のクオリティを引き継いだ政治家の皆さんが震災後に取った行動は、「とにかくスピード第一だから予算には糸目をつけない」というような威勢のいい言葉でもって、被災地で実行できる体制もないような事業に予算をてんこ盛りに盛ることでした。で、当然被災地では想定されたとおりに事業が進まない状況が生じている

状況では、どうしても手が回らなかったり、委託事業として丸投げに近い状態になってしまうことも十分に想定されたはずです。その責任を委託元である町役場や補助金交付元の県、基金交付元の厚労省にだけ帰すような論調があれば、それは結局問題の所在を見逃しているものと思われます。

そういえば、ちょうど1年ほど前にこんなエントリを書いておりました。

> そもそも論からすれば、不正受給とか虚偽申請ってのはそういうことをした側がその責を問われるはずです。しかし、会計検査院とかオンブズマンの方々はそれを見逃したとか適切に処理しなかったとして役所の責任を追及されます。もちろん責任の割合はあくまで程度問題ではありますが、マスコミからすれば「○○県が不適切な処理をした」とか「△△省では×億円の無駄遣い」といった見出しが打てればそれで売上げが上がりますから、それをみた「民意」はさらに「ムダででたらめをやっているコームインの人件費を下げろ」と公的セクターへの攻撃を強めるという見事なサイクルが働くわけです。

http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-513.html


こうして、震災直後には「必要なだけいくらでも予算をつける」とか豪語していた政治家の皆さん自らの手によって、公務員の人員が削られていくわけですね。
2013/04/23(火) 01:09:38 | URL | マシナリ #-[ 編集]
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