2007年01月23日 (火) | Edit |
さまざまな感慨を巻き起こしている宮崎県の次期知事さんですが、やはり同業者としては宮崎県庁職員の皆さんに同情を禁じ得ません。別に次期知事さんの経歴を問題にするつもりはありませんし、直接お会いしたこともない方の人物評までする気も毛頭ありませんが、現時点では選挙戦に勝利した政治家としての力量のみが実績としてあるだけであって、数千人の職員と多岐にわたる業務を所管する組織を運営する手腕は全くの未知数であるというのは、下で働く者にとっては不安でしょうがないでしょう。

もちろん、いい方に転んでくれるなら万々歳ではありますが、悪い方に転ぶ可能性が否定できない以上は当面の業務は探り探りやるしかないでしょう。地方自治体の役所の仕事っていうのは良くも悪くもルーチンワークが大半なわけで、トップが変わったからといって業務が滞るほどセンシティブなものはあまりないとしても、トップが変わると意志決定のルートや手法が変わってしまうということは往々にしてあります。よくあるのが「こんな細かいことまでボスが見るのかよ」とか、逆に「前のボスだったらこういうの気にするんだけどほっといて大丈夫かな」というように、トップの判断を要する(とトップが考える)案件の軽重が変わってしまうこと。下々で働く身にとっては、ボスの手を煩わすことは組織全体のリソースを食うことになるし、そもそもこっちもいちいちボスのご機嫌を伺う手間をかけるわけにもいかず、重要な案件をいかに効率よくより上位のボスにあげていくかという勘所が重要になる。キャリアを積むっていうのはそういう組織内での立ち回りを覚えることが重要な要素になるっていうのは、ある程度の規模のある組織であれば民間でもそう変わらないんじゃないかと思うけど、そうやって積み上げてきたものがトップが変わることでガラッと変わるというのはなかなかに大変なことではあるわけです。

そういう目線で次期知事の発言なんかを聞いていると、そもそも芸人として弁の立つ方ではなかったことからするとそんなに意外でもないんだけど、組織のトップとして人を動かすには少々物足りない印象でした。殿が絶対的な立場にある軍団で長年芸人として活動してきたというのは、そういう組織に置き換えてみるとボスの立場ではなく中間管理職だったんだろう。しかもここ数年は、そういう軍団や芸人としての活動よりも学生生活が中心だったということからも、特に次期知事が組織の運営に卓越しているということはないと思われる。そうなると、次期知事による上記のような重要案件の軽重を判断する基軸が、県庁のような歴史の長い組織で培われたものと乖離する可能性は十分に考えられるところ。ここ数年の行政運営ではガバナンスとかコンプライアンスっていうのが重要視されているので、宮崎県庁内でも情報公開とか危機管理という面ではある程度整備が進んでいると思うんだけど、まあそもそも今回の選挙が前知事による官製談合が発端ということを考えると、次期知事はこの点から手を付けてくることも大いに予想されるので、宮崎県庁内はしばらく混乱が続くんではないかと思われます。手っ取り早くいえば、前長野県知事時代の長野県庁のように、知事と職員の意思疎通の混乱が予想されるということ。

もっと率直に言ってしまえば、大学で猛勉強したというのが売りという割には、マニフェストにしてもインタビューに答える言葉にしてもこなれてない感じがする。政治に関しては素人なのでしがらみがないことを強調する意図もあるのかもしれないけど、よく言えば学者風でもあり、悪くいえば学生のレポートっぽいんである。その辺は芸人としての力量が如実にでてしまってるんだろうかと考えると、冒頭で問題にしないといった経歴が今後いろんな意味で効いてくるんじゃないかと思われます。というのも、現職にある閣僚とか審議会の会長の適格性について、そのメルクマールとして肝心の政策よりスキャンダルを重視するマスコミとか世論とかが、叩けばいくらでも埃の出るであろう次期知事にいつ手のひらを返してもおかしくはないわけで、そうなった場合に素人としての立場を強調したことが仇にならないだろうかと考えてしまいます。そういった不確実性が高まるという意味では、宮崎県政の前途はなかなかに多難そうです。
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