2012年05月04日 (金) | Edit |
いやまあ、年度の切り替えということで23年度と24年度の事業で頭がこんがらがっているところなんですが、一応GWという奴に突入です。拙ブログでは何度も繰り返していますが、震災直後に政府が大々的に活用するよう各自治体に要請した緊急雇用創出事業というのは、自治体が臨時職員を任用する直接事業と自治体の事業を受託した民間事業者がその事業に従事する従業員を短期雇用する委託事業に大きく分類されるわけですが、委託事業については、その事業実施に必要な経費を一つ一つ精査していって、人件費についてもその出退勤の管理から手当の妥当性まで精査しなければなりません。震災前の22年度以前はそれでもなんとか対応できていましたが、23年度は金額では数倍、人数では数十倍の雇用創出を緊急雇用対策事業で賄ったため、その完了確認がいつになっても終わらないという状況です。

金額が数倍で人数が数十倍となっているのは、震災前は、同一人物が緊急雇用創出事業で雇用される期間は1年間に限られていましたが、震災後の被災地では何回でも更新できることとされ、たとえばがれきの処理とか漁港の清掃とか日雇い的に日々更新する緊急雇用創出事業も多々あったからです。被災地の自治体は復興関連の都市計画とか建設土木事業が膨大な事務量となっていて、さらに建設土木事業での求人も増えていたりするわけですが、だからといって被災地の方がすべて建設土木事業で働けるはずもなく、雇用の場の確保は依然として重要な行政課題とされています。そんな中で緊急雇用創出事業を減らすという方向性が出るはずももちろんないわけで、24年度も膨大な予算額で膨大な緊急雇用創出事業が実施されることとなっています。

まあ、実務の話でいえば役所には出納整理期間という前年度の会計処理を行う期間が設けられていまして、そのデッドラインが5月31日となります。この日までにすべての書類を整えなければならないわけですが、当然のことながら5月31日24時ぎりぎりまで作業するという意味ではなく(そうなってしまうデスマーチもたまに生じますが)、5月31日の終業時間までには作業をすべて終えた書類が大本の担当のところで整い、システム上の入力が終わっているようにしなければなりません。というわけで、実質的な勝負は来週いっぱいくらいとなりますので、GWといいながらフルで休める状況ではないということになります。

というような実務上の処理に追われるチホーコームインからすれば、「しごとプロジェクト」といって緊急雇用創出事業にばんばん予算をつけて、被災された方々だけではなく地方自治体の仕事を増やしてその成果を誇示する一方で、コームインの人件費削減を嬉嬉として喧伝する政治家の方々には、感謝とともに嘆息が漏れるところですね。そりゃまあ、緊急雇用創出事業で臨時職員を任用することもできますが、それなりのスキルを要する業務を1年かそれ以下のスパンで任期を更新しながら処理するのでは効率が下がったりミスが発生してしまう可能性が高くなります。というか、そうした恒常的ではなくてもある程度のスパンで発生する労働需要に対応するものが労働者派遣事業なんですが、現政権はその厳格な業務規制を叫んで政権交代していますし、26業務についての長妻プランでもって派遣労働者が事務作業できないような実態にしてしまった実績もあるところでして、業務の質を上げたいのか、質を下げてもいいからとにかく人件費を下げればいいのかよくわかりません。菅直人前総理が「1に雇用、2に雇用、3に雇用」とかいっていた割に役所の雇用の質なんてどうでもいいということなのでしょうけれども。

もしかすると、業務の質を下げてもいいから人件費を減らせというのが「民意」であればコームインなんぞにはもはや質を期待しないというのが正しい態度でしょうから、業務でミスっぽいことをしようが住民の方に不十分なサービスを提供しようが、「あの人件費であの人員ならそういうもんだよな」と納得するのが主権者たる日本国民のご判断だということなのかもしれません。

そうはいっても、憲法でいくら「日本国民」と規定したところで、その国民の内実はさまざまな利害関係に絡め取られているのが現実ですし、だれかが「それでいい」といってもほかの方が「それでは困る」というのが常態です。さらにいえば、事務手続の間隙を縫って不正とか虚偽の手続をしようとする輩も一定数存在しますので、それを調整したり規制するのが公的セクターの役割というところからすると、「あの人件費であの人員ならそういうもんだよな」という判断が「民意」となることはあり得ないように思います。ところが、そうしたあり得ない「民意」を駆り立てることができるのがデマゴギーといわれる方々でして、いつの世にもそうした輩は存在しますね。

まあもちろん、いくら「民意」があろうと会計検査院とかオンブズマンの方々はそうした処理を認めてくれるとは到底思われませんし、そもそも論からすれば、不正受給とか虚偽申請ってのはそういうことをした側がその責を問われるはずです。しかし、会計検査院とかオンブズマンの方々はそれを見逃したとか適切に処理しなかったとして役所の責任を追及されます。もちろん責任の割合はあくまで程度問題ではありますが、マスコミからすれば「○○県が不適切な処理をした」とか「△△省では×億円の無駄遣い」といった見出しが打てればそれで売上げが上がりますから、それをみた「民意」はさらに「ムダででたらめをやっているコームインの人件費を下げろ」と公的セクターへの攻撃を強めるという見事なサイクルが働くわけです。

一方では人件費を減らせという民意と、一方では「適切な」事務をしろという会計検査院とかオンブズマンの方々の板挟みになるという状況は、いつまでも変わらないんだろうなという諦観こそが一番重要なのかもしれません。

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