2012年02月12日 (日) | Edit |
前回エントリに関連して、またもNHKの番組ですが「プロジェクトJAPAN 最終章 日本復興のために」という分かったような分からないようなタイトルの番組がありまして、これも何となく録画しておいて先日ざっと流し見してみました。概要はこんな感じです。

プロジェクトJAPAN 最終章 日本復興のために

新しい年を迎える東日本大震災の被災地。しかし、復興は遅々として進んでいない。高台移転など、住民の住居の整備。地場産業を中心にした産業復興と雇用の問題。そして、それらに必要な資金のきめ細かい分配の実現・・・。政府はようやく3次補正予算を決めたが、課題山積のまま被災地の苦悩は続いている。なぜ復興は進まないのか。そこには、日本が近代国家を作り上げてきた歴史の中で、大きな課題となってきた「中央と地方」のカネ、情報、人材、などのやりとりという根源的問題が存在している。どうすれば復興は進むのか。被災地に関わる識者たちが、被災地の現状を見つめ、それぞれの歴史研究や自らの体験などを交えながら、検証・提言していく。

「被災地に関わる識者」といって登場されるのが、御厨貴東大教授(政治史)、岡田和弘京大教授(地域経済)、増田寛也野村総研顧問となっておりまして、最後の方は前岩手県知事としての方が有名ですね。でまあ、このメンツから予想される通り、番組全体が「中央集権だからダメだ」「地方に財源と権限を!」というチホーブンケン教チックなトーンでまとめられていて、「この期に及んで「国だから中央集権だ」とか「自治体にやらせればチーキシュケンだ」という実務を無視した議論がまかり通ることに脱力せざるを得」ないわけですが、彼らにしてみれば、国というスケープゴートをあげつらうことで、自らの立場を正当化しつつさらにそれを強化できるまたとない機会でしょうから、特にマスコミにはこういう言説を防ぐ手段はないのだろうと諦めております。

番組の中で象徴的だったのが、増田前岩手県知事と岩手県宮古市長との対話で出てきた財源論ですね。

1時間13分ころ
増田:
例えば財政のあり方とするとね、今の財政構造だとやっぱり自主財源が三割を欠ける、二割なんぼの「二割自治」みたいなね。そういう形になっています。その部分っていうのは、相当自主財源比率を高めなきゃならないのは当然のことですけども。
宮古市長:
そうですね。自主財源を増やすためには、税率を上げたってですね、今のままの所得で税率を上げても全然苦しくなるだけですので、余計衰退して「ああ、ここには居れない」っていうことでほかのところ、要するに都会に出て行くということになると思うんですよ。ですからどうやっても、自分たちの産業を活発化して一人当たりの所得を上げないと、やっぱり自主財源は増えてこないと思うんですね。ですからもうどんなにがんばっても、産業をしっかり育てていってそこで収入が上がるようにしないと、なかなか難しいんじゃないでしょうかね。それをやるためには、外からお金を持ってきて中で回すと、外貨(テロップの説明:企業誘致・観光などによる収入)を稼いで中で回すというようにしないと絶対に上がるわけがないので、中でばっかり回したってどうしようもないのでですね、その辺の意識改革をしていかないとダメなんじゃないですかね。

※ 強調は引用者による。

まあ、チホーブンケン教のアキレス腱は財源論(財源論がアキレス腱となるのは最近の政権党とか地方自治体のカイカク派の動きを見ていると最近の流行なのかもしれませんが)なわけで、拙ブログでもしつこく強調していますが、「三割自治」ではなく「三倍自治」で基礎自治体に権限と財源が多く割り当てられているのが日本の地方自治の特質であって、既に日本は先進国の中でも有数の地方分権国家でもあります。同時に日本は先進国の中で国民負担率が低く、高齢化率もダントツで高い国ですから、地方分権国家であることとの合わせ技で、国による再分配機能が貧弱な国ということでもあります。

引用した増田氏と宮古市長の対話が何となくすれ違っているように感じましたが、「自主財源比率を高めるのが当然」と言い放つ増田氏に対して「意識改革をしていかないとダメ」と宮古市長が異議を唱えているように思えたのは私だけでしょうか。チホーブンケン教の方々が金科玉条の如く掲げる「補完性の原理」の基礎とあがめたてまつられているシャウプ勧告でも「天災は予知できず、緊急莫大の費用を必要とさせるものであるから、天災の勃発は罹災地方団体の財政を破綻させることになる。その結果、地方団体は、起債、非常予備金の設定、高率課税および経常費の節減を余儀なくされる。この問題は中央政府だけが満足に処理できるものである」とされているところでして、自主財源を増やせばよいとか外貨を獲得すれば自立できるとか、自己責任に落とし込むようなネオリベ言説を振り回すチホーブンケン教が「日本復興のために」とかいってるのって、悪いジョークだと思いたいです。
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