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2011年11月12日 (土) | Edit |
日付が変わってしまいましたが、昨日で震災から8か月が経過しました。ついこの間までは暑い避難所での熱中症予防などが話題になっていたと思ったら、前回エントリで取り上げたように寒さ対策が当面の課題となっていまして、特に現地で懸念されているのは、外が寒いためにドアを閉め切って家の中に引きこもってしまう方々へのケアです。

仮設住宅で79歳女性が孤独死 岩手県内では初(2011.11.11 00:08 MSN産経ニュース)

 岩手県山田町にある東日本大震災の仮設住宅で、独り暮らしの79歳の女性が死亡していたことが10日、岩手県警への取材で分かった。県内の仮設住宅に入居する高齢者の「孤独死」が明らかになったのは初めてとみられる。

 県警の警察官が先月18日に女性宅を訪れたところ、トイレで死亡しているのを発見した。県警によると死因は病死で、死後約1日が経過していたという。東京都内の娘が女性と連絡がつかなくなったことから警察に相談していた。

 個室居住の仮設住宅は、避難所などに比べて孤立化のリスクが高いとされている。

 今年6月には宮城県塩釜市の仮設住宅に入居していた79歳の男性が病死しているのを仙台市の次男が発見。ほかにも、同県名取市の仮設住宅に独りで入居していた81歳女性の死亡を親族が確認するなど、被災地で高齢者の孤独死が相次いでいる現状がある。

 このため、岩手、宮城、福島の各県警では孤独死を防ぐため、仮設住宅の巡回を続けている。

※ 以下、強調は引用者による。

この記事では高齢者に限定した取り上げ方をしていますが、これからは、仕事をせずに雇用保険を受給しながら生活している中高年男性についても孤独死のリスクが高まることが懸念されます。仕事をしていたり、病院など地域で集まる場があるような方であれば、少々外が寒くても外出して仲間と顔を合わせることもできます。しかし、年金を受給していたり雇用保険を受給していると、現時点でもNGOやボランティアによる支援物資の配給が一部で継続していますので、外出しなくても生活することができてしまうわけで、どうしても周囲の目が届きにくくなってしまいます。

つまり、高齢者が孤独死するというのは、年金を受給している限りは、自ら外出する機会を最低限にして家の中でのみ生活することが可能であるために、周囲の目が届きにくい家の中で体調を崩したりしても誰にも気づかれないことが原因となっているのであって、同じことは雇用保険を受給している方にもいえるわけです。冒頭で引用した記事が高齢者のみを取り上げているのは、こうした年金受給者としての高齢者に特化しているからなのでしょうが、雇用保険の給付期間が延長されている被災地では、特に雇用されていた期間が長く特定受給資格者である中高年の男性についても、長期間にわたって家の中だけで生活ができてしまうことになり、孤独死のリスクが高まってしまうといえます。

実は、この点について先日議論する機会がありまして、正規職員となればCFWの範疇を超えてしまいますが、CFWの出口戦略としてそれを実現させる(要は、役所のコームインを増やす)ことは十分に検討に値するのではないかという話をしたところ、ベーシック・インカム(BI)により現金を給付する方がいいのではと反論を受けてしまいました。雇用の生活を保障する面を強調して話をしたためこのような反論を受けたのかもしれませんが、すでに被災地ではBIが実施されたのと同じような状況が生まれています。被災地では政府(役場)を通じた義援金が支給されているほか、被災前に雇用保険に加入していた方は雇用保険からの給付も受けられます。そうした中で仕事がないとどうなるかというと、一部の方ではありますが、

http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000001107200002(リンク切れ)

避難生活が長期化し、盛夏到来で暑い日が続く被災地で、
ひときわ人の集まる場所がある。パチンコ店。「人恋しい」「失業して居場所がない」。
つらさを一時でも忘れたいという切実さが垣間見える。

7月上旬、岩手県大船渡市の郊外にある「大船渡セントラル」。
平日昼にもかかわらず368台のパチンコとスロット台はほぼ埋まっていた
「気晴らしが大切なんだべ」。空き台を通路で待つ陸前高田市の農業の男性(63)は言った。

男性は自宅と約5千平方メートルの畑を津波で失った。3カ月ほど友人宅に身を寄せた。
同居する7人中、自分だけが他人。「話が合わない。先に寝られない。言いたいことも言えない。
孤独だし、窮屈で窮屈で
」。血圧が200に上がった。たまらずパチンコに逃避すると心が和んだ。

6月に妹が仮設住宅の抽選に当たり、母と3人暮らし。壁は薄く会話が隣に筒抜けで
気を遣う生活は続く。「勝ち負けにはこだわらない。やめたいけど、しばらくは無理だね」

同県住田町の女性(66)は「仕事がないし、涼しいから」。
正社員だった水産加工会社が被災し、失業した。この日は2千円を使い「お金もかかる」と苦笑いした。

という方もいらっしゃいます。これに加えて民間企業やNPO、ボランティアによる物資の支給や炊き出しが行われていて、もちろんそうした支援は原則として生活に必要な資金や物資が不足している方を対象としていますが、実際に支援する場でそれを見分けることは実務上困難です。ある地域では、被災直後に地元の有志の方が弁当の配給サービスを始めたものの、活動が長引くにつれて資金が不足するようになり、現時点で本当に必要としている方に絞り込もうとしていますが、結局当事者から「必要だ」といわれればそのまま継続せざるを得ず、すでに配給サービスを辞退した方との間で不信感が募っているという話も聞きます。

BIは給付対象を限定しないで現金を給付するというものですので、被災された方に対する物資の支給や炊き出しを同列に扱うことは適当ではないかもしれませんが、雇用保険の給付日数の延長や物資の支給を被災地で行う場合、慎重に手続きを進めなければ「働かなくても生活できる」というメッセージとなって被災された方に伝わってしまうという点に十分に留意する必要があると思います。まあ、その慎重な手続きこそが「古い公共」たるお役所仕事なわけですが。

これは女川町で被災され、復興に向けて尽力されている方の長めのつぶやきですが、

心の傷を抱えて未だに前へ踏み出せない方もいる中、一方で今働ける環境にあって働かない人がいる
失業手当が延長され続け、仕事を選ぶ余裕や、就労に未だモラトリアムがあると思っているのかもしれない。
ハローワークには長蛇の列、求人もある。
しかし、募集に対し応募が極端に少ない。
被災地企業は深刻な人手不足に悩んでいる。
失業手当はいつまで続くのか。

続くわけがない。
失業手当が無くなった後はどうするのだろう。
手当が切れるとわかったその瞬間に応募が殺到するのだろうか。
その時に企業に受け入れのキャパシティは十分にあるのだろうか。

「復旧」と「復興」に話を戻す。
極端な例で喩えると、傷ついて飛べない鳥を、家で手当てするのが復旧。ケガが治った鳥を自分の羽で飛ぶように手伝うのが復興。
今もどちらかをそれぞれ必要としている人がいる。
しかし、ケガの治った鳥にまでいつまでもエサを与え続けていたら、飛べる力があっても人はカゴから出て自ら飛び立つだろうか。
「自分で収入を得て自活する」という被災前まで当たり前だった日常を取り戻そうとする意志を物資支援等で結果的に奪うことになってしまっていたら、それは支援者としても本意ではないはず

(略)

実際、女川町内の事業主は悩み、苦しんでいる。
寄付された暖房器具の修理に奔走することになるであろう地元の電気屋さんの気持ちを考えてみてほしい。
目の前で衣類を無償で配られる洋品店店主の心中を察してほしい。
炊き出しの食材と同じものを販売している八百屋、魚屋、スーパー経営者の心情を慮ってほしい。
同じく被災者に物品がわたるにしても、支援物資を外から持ち込めば『復旧支援』であり民業圧迫の恐れがあるが、女川町内で購入すれば経済が回り、一転して『復興支援』との両立をはかることができる。

蒲鉾本舗高政 (@takamasa_net)
Posted Friday 11th November 2011 from Twitlonger
http://www.twitlonger.com/show/e4dt5l

誤解のないように補足いたしますが、現時点で物資や資金面での支援が必要な方はいらっしゃって、行政が対応できていない部分があれば、民間のNPOやボランティアの方に支援していただくことも重要です。この点を掘り下げていけば、政府による所得再分配機能が貧弱であることが震災で露呈した結果ともいえるわけですが、いずれにしても被災地で事業されている方や働き口を探している方の仕事を奪うことのないよう、長期的な取組としての慎重な制度設計が必要だと考える次第です。
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