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2006年09月11日 (月) | Edit |
 前回不謹慎にもおもしろいといってしまった岐阜県の裏金問題についての報告書だが、何がおもしろいかというのは後半にとっておいて、この週末に飲酒運転が続発した件について一言。

 今朝の目覚ましテレビによると、この週末に発生した飲酒運転が19件でそのうち8件が公務員(県職員、市町村職員、消防署員)とのこと。率直に申し上げて同業者として情けなく思う。俺自身は飲酒運転したことはないものの、飲酒した友達(民間企業勤務)の車に乗せられたことがある。地方都市は、特に夜になると交通手段がないこともあり、タクシーや運転代行だと1万円近くかかようなところに住んでいるその友達は、市街地で飲んだら飲酒運転で帰るのが当たり前になっているとのこと。逆に言えば、俺の実家がたまたま市街地に近くて歩いて帰れるところ(といっても歩けば小一時間かかるが、腹ごなしと酔い覚ましにちょうどよかったりする)だったので、飲酒運転する必要に迫られなかったのが幸いしていただけで、その友達と同じ境遇だったら飲酒運転しなかったとは言い切れない。そういう意味で地方で飲酒運転事故がなくならないのは本当に難しい問題ではある(俺だっていくら歩いて帰ったところで飲酒運転の車に吹っ飛ばされたらお手上げなわけで、なんとかならないかと痛切に思う)。

 しかし、今回の問題はなぜ公務員はそんなに飲酒運転するのかということ。俺の勤め先は何年か前に飲酒運転は有無をいわさず即懲戒免職という方針を打ち出したので、飲酒運転で捕まったという話は滅多に聞かないが、近隣の市町村職員の飲酒運転は結構な頻度でニュースになっている。よく言われるのが、市町村は地域密着の仕事がメインなので地元のつきあいが多く、しかも上記のように市街地から離れたところに住んでいる人は車で出勤しているから、どうしても車で帰らざるをえないという話。今週末にこれだけ飲酒運転が多かった理由としては、ちょうどいまが秋祭りシーズンだったという理由も挙げられるかもしれない。にしても、19件中8件が公務員関係というのはさすがにひどい。

 ま、俺も含めて公務員なんてそもそも就職先の一つに過ぎないわけで、たまたま試験に合格した公務員全員が聖人君子である必要はないしそれは無い物ねだりというもの。福岡市の悲惨な事件を引き起こすような、そしてそれが問題になっている最中に飲酒運転するような公務員が制度の運用を担当するのは、単に人材が不足しているだけという見方も可能でです。立派な公務員がほしければ、そう思ったあなた自身が役所に入って改革していただきたい。それが年齢的に無理ならあなたのご子息でもいいから聖人君子として立派に育て上げて役所に送り込んでいただきたい。これは皮肉でもなんでもなく、努力はしているものの自分を含めあまりに低付加価値な人材が多い(それだけ優秀な人材は中央に集中している)という現状を踏まえ、中の人として切に願うところです。



 なんてことを書いておきながら、岐阜県の報告書がおもしろいのは中央官僚出身の前知事、前副知事とそれに連なる幹部連中がすべて悪いといわんばかりの論調となっていること。その背景にどれだけの相互不信があったのまでは知るところではないが、中央官僚出身という点では大差ない俺の勤め先はどうなんだろうと、我が身を振り返らずにいられないほどにその叩きぶりが鮮明になっていておもしろいのである。

何点かピックアップすると、まず、梶原前知事と森元前副知事(旧自治省、現参院議員)の姿勢について、引用が長いが、

なお,平成9年3月14日の定例会において,梶原前知事より平成8年2月に8所属,平成9年2月に14所属について旅費の抜き取り検査を実施したが不正な事例がなかった旨答弁しているが,各所属に不正経理に対する規制が働くようになっていた結果であり,過去の実態を精査したものではなかった。そのため,これまで不正経理がなされてきた事実や,これによって各所属にストックされている資金については,調査さえ行われることなく放置されることとなった。
このように,不正経理に対する岐阜県の姿勢は,慣行として行われていた不正経理の実態を解明するのではなく,これに蓋をした上で規制を強化することによって,不正経理を将来的になくす方針をとったのである。
ところで,平成8年度に三重県や愛知県などの近県で不正経理が次々と明るみに出て実体解明が進んでいたことから,梶原前知事も,岐阜県でも総点検すべきであると考えていた。ところが,平成8年3月に自治省から赴任してきた森元元副知事は,問題が表面化する前に知事がイニシアティブをとって総点検すれば,知事のために苦労してきた職員から批判が起きたり職員の動揺や相互不信などが生じて県庁全体が混乱すると考え,梶原前知事に対して,梶原前知事の出張旅費の一部に不正経理による資金が使われているとの一例を挙げて庁内事情を説明し,事態の推移を見守ることを進言した。その結果,梶原前知事もこれを了承し,暫く様子を見ることになった(梶原前知事は,森元元副知事との間で前記のようなやり取りはなかった旨述べているが,森元元副知事の供述は,極めて具体的かつ自然なものである上,梶原前知事が現にその頃に不正経理資金の存否について徹底的な調査をしなかったことも事実であって,同供述の信憑性は高いと考えられる)。
そうすると,森元元副知事の梶原前知事に対する上記進言がなければ,また,梶原前知事がこれを了承せずに徹底的な調査を行っていれば,今日の事態を招かなかった可能性が高く,当時の両氏の決断はきわめて重大な意味を持つと考えられる。
(「不正資金問題に関する報告書」平成18年9月1日プール資金問題検討委員会p15~16)


と容赦ない。ここでおもしろいのは、梶原前知事がそのやりとりを否定しているのに対して、森元前副知事が具体的かつ自然に供述とされていること。森元前副知事からすれば自分の発案であったとしてもそれを認めたのは梶原前知事とすることで責任を回避するねらいがあるだろうし、梶原前知事はそんな話は聞いていないと主張することで関与を否定しているわけで、お互いの魂胆が見え見えである。しかしそうであるならば、梶原前知事が調査しようとしたという抗弁は誰の主張によるのかは不明だが、梶原前知事にとっては結果として調査しなかった以上免罪符になり得ないので、調査しようとしたと主張する意図がちょっとわかりにくい。

この点について、

梶原前知事は,国及び自治体において不正経理による資金づくりが慣行として行われており,岐阜県知事になった平成元年当時もそうした資金が存在しているであろうと推察していたが,知事就任後,不正経理資金の元をなくすために官官接待の是正などの措置を講じてきたので岐阜県では正常化していると思っていた旨述べている。
(同p17)


という部分では、梶原前知事は、「岐阜県では正常化していると認識していながら不正経理調査しようと思った」と述べていることになり、理屈が合わない。そもそも官官接待を是正したからといって裏金がなくなるわけではないんだが。

ということで、この報告書では、

これらの状況からすると,梶原前知事は,不正経理資金が依然として存在する可能性があることは認識しつつも,対策を取ってきたから不正経理はないはずであり,あるかどうかは関知しないが,もしあれば厳しく処分するという態度を通してきたものと推測される。(同p19)


と梶原前知事の心情を認定している。
 しかしねえ。あるかどうかは関知しないといっている時点で裏金を黙認しているわけで、要は「やるなら隠れてやれよ」といっているのと同じである。スナックのマスターなら「ものわかりのいいオヤジだぜ」と不良から尊敬のまなざしで見られるかも知れないが、それとこれとは訳が違う。

と、ここまでは発案した森元前副知事が元締めであり、梶原前知事はその話を聞いていないという構図を描いておきながら、この報告書は森元前副知事以下幹部職員の行為をこと細かく事実認定したうえで、

当委員会が同人ら(管理者注:森元前副知事以下の県庁幹部及び組合幹部)にも増して重大な責任があるのと考えるのは,梶原前知事である。すなわち,梶原前知事は,不正経理資金を職員組合に集約することまでの報告は受けておらず,職員組合への集約の事実を知らなかったであろうと思われる。しかし,それ以前に近県で不正経理資金が明るみに出て問題になっていた頃に,梶原前知事が岐阜県においても不正経理資金について総点検すべきであると一旦は述べたけれども,森元元副知事から,問題が表面化してからならともかく,表面化する前に知事がイニシアティブをとって率先して総点検すれば,知事のためのホテル代等の捻出等に苦労してきた職員から批判を受けたり,職員の動揺や相互不信等が生じて県庁全体が混乱するため,暫く事態の推移を見守るべきであると進言され,結局は,これを了承したものである。
(同p38)


としている。この部分は判決文で言えばいわゆる判断の部分であり、上記までの引用は事実認定の部分である。つまり、事実認定ではどちらに責任があるのかは曖昧なままにしておきながら、判断では梶原前知事がもっとも責任重大であると断じているのである。

俺が違和感を感じるのは、ここに何らかの取引が存在したのではないかということ。梶原前知事に責任を収束させることで、森元前副知事以下の幹部への波及を防いでいるのではないかという気がするのである。つまり、この報告書をまとめるに当たってまさに当時の最高責任者である梶原前知事や実施した当事者である森元前副知事がその内容を知らないとは考えにくいわけで、落としどころとして梶原前知事に責任を収束することで事態の収拾を図ったんじゃないかと思われる。この後の部分で刑事告発の可能性についても検討されているが、時効の問題もあって刑事告発できるのは数人に限られるとのことで、そうなると誰かを人身御供にしなければならない。それがちょうど引退した梶原前知事だったのではないか。というより、この時期に裏金問題の調査が行われるということが梶原前知事の意向を踏まえたものだったのかも知れない。それはそれでひとつのけじめのつけかたかもしれないが、恐らく梶原前知事が思っていたよりも事態が深刻だったのが誤算だったというところか。

いずれにしても、中央官僚から県知事へ転身して「闘う」知事会長として名をはせただけに、地方自治体全体のイメージダウンには十分すぎる。これ以外にもいろいろ唸らされる記述が多いこの報告書、また取り上げてみたい。
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