2011年04月06日 (水) | Edit |
被災地での雇用問題についての提言がいくつか出されており、個人的に興味深く追っているのがキャッシュ・フォー・ワーク(CFW)です。詳しくは永松関西大学社会安全学部・大学院社会安全研究科准教授による「CFW-Japan提案書(試案)」をご覧いただきたいのですが、その概略は、被災地で当面必要となる作業(がれきの撤去、遺留品の回収、被災現場の掃除、行政サービス・NPO活動の補助、学術研究等)に被災された方を雇用し、CFWセンター(民間委託)が賃金を支払うというものです。

このCFWの取組を進めるに当たっての当面の課題は、CFWセンターの機能をどのような団体が担うか、賃金の原資をどのように調達してどのように配分するかという2点ではないかと個人的に考えております。実をいえば、被災地自治体ではすでに、リーマンショック後に創設された緊急雇用創出事業のフレームを使って、地元の被災者を臨時職員として雇用(自治体の場合は任用ですが)し、地元自治体の指揮命令の下にがれきの撤去や「自宅難民」化している世帯への物資の配給などに従事していただくという取組が始まっていると聞いております。現時点では民間事業者が行う作業の求人を仲介するまでの機能はないようですが、上でリンクした永松先生の体制図でいえば、左側の被災自治体の取組はすでに始まっているということになります。

CFWセンターを立ち上げるまでの作業やそれに要する時間を考えると、当面は上記のように自治体が中心となって緊急雇用事業によって雇用の場を提供することとなります。ただ、現時点で民間事業者やNPOをどこまでその仕組みの中に取り込めるかは、慎重な舵取りが必要ではないかと思うところですので、それを検討して形にするまでに、CFWで想定する「半年から一年の短期雇用」という要件に間に合わない事態も十分に想定されます。緊急時の対応ではありますが、平時であっても時間を要するこれらの調整を、制度改正や特例措置も含めていかに迅速に進めるかがポイントではないかと思います。

なお、民間事業者やNPOとの求人をつなぐという点では、人材派遣事業者の機能も十分に活用すべきではないかと考えております。

4月1日付けの職業安定局長通知で民間の労働者派遣事業者や職業紹介事業者が避難所での出張相談の窓口を設置できるようになった。

というか、これまでも、登録完了は、拠点窓口で行うものの、状況に応じ、派遣先に近い場所で出張相談会などを開催していた派遣元はかなり多いのではないだろうか。

少なくとも私は、この通知で初めてこうした相談窓口の設置が法的に認められていないということを知りました。
(略)
若干杓子定規な感じも受けますが、ともあれ、こうした対応がとられたことで、人材業界は、がんばりどころとなります。
【職安局通知】避難所において職業紹介事業者又は労働者派遣事業者が出張相談に応じる場合の取扱い(2011年04月05日(火))


出井さんのような使命感を持った事業者の方がその本分を被災地で発揮されることは、住民や行政の側からもありがたいことだと思います。

財源問題については、永松先生の以下のエントリに付け加えることはありません。

昨日のエントリ『「つなぐ」CFWと「みたす」CFW』でも述べましたが、改めてここに明記しておきます。

CFWの提案は、復興財源をどうするかという問題とは一切関係がありません。どのような財源調達の方法であっても必要な方策であると考えています。ましてや、CFWが復興財源を抑制するための方策であるというのは全くの誤解です。

このような誤解は私がブログで最初にCFWに言及した際(「被災地にCash for Workを」)では、国債暴落について言及したことに起因しているようです。これは地震直後に被害規模も全く判らない中で一つの可能性として提示したつもりでしたが、改めて読み返すと確かに復興財源に制約があるからCFWを導入しようという趣旨に読めます。これはCFWは単なる被災者への所得移転ではなく、雇用と労働を通じて付加価値を創出するという意味で、効率的であるという趣旨です。

しかし、だからといって、私は復興への支出を抑制するべきだと考えているわけではありません。拡張的な復興事業を行った場合でも、被災地に雇用と生き甲斐を創出するというCFWの理念は重要です。また日本経済が大きく傷いて供給制約があるとすれば、大規模な財政出動が行われれば、被災地の資源を活用するCFWはより重要になってくると思います。(日経ビジネスオンラインの記事ではむしろその点を強調してます。)

 すなわち、財政規模やその財源はCFWの是非とは切り離して考えるべきです。実際、CFW-Japanとしての活動(例えば「CFW-Japanとは」「CFW-Japan試案」)では財源問題やマクロ経済政策については一切触れておりませんし、今後も論じるつもりはありません。以上どうかご理解下さい。

CFWと財源問題について(Posted: 4月 5th, 2011 ˑ Filled under: CFW-japan)


REAL-JAPANのサイトでは、一時「リフレ派」と称される方の公的セクターへのヘイトスピーチが並んでいたようですが、現時点では表示されていません。この辺の混乱ぶりを拝見していると、所詮他人事としか思っていない方のリトマス試験紙として雇用問題を考える必要がありそうです。

最後に、花見自粛についての被災地の地元酒蔵からのメッセージです。
サプライサイドが厳しい状況であることは承知しておりますが、被災地以外の方々がご自身のできる範囲で普段どおりに消費活動を行い、その際に被災地の方に思いをはせていただくということが我々にとっても励みになると感じています。

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コメント
この記事へのコメント
ブログ引用有難うございます。
被災されたとのことで、心配していました。またブログの記述を拝読し、しかるべきときに動けるよう、人材業界の有志とも相談しております。
我々からは想像も出来ない状態であろうとは思いますが、我々も頑張ります。
2011/04/06(水) 12:56:21 | URL | 出井智将 #-[ 編集]
> 出井智将さん

こちらこそコメントいただきありがとうございます。
民間、公的の別を問わず、それぞれがそれぞれの持ち場でできること、やるべきことを地道に進めることが重要だと思います。出井さんの思いを受け止めて我々もがんばりたいと思います。
2011/04/07(木) 08:33:53 | URL | マシナリ #-[ 編集]
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