2010年11月21日 (日) | Edit |
想像の世界でマニフェストを作っていた現政権党ですが、今朝の「新報道2001」にその発言主が出ていたので、もしかしてと思ってとりあえず録画しておいたら、案の定「マニフェストなんかできるわけがない」と開き直られていました。その理屈がとてもおもしろかったので再録しておきます。

山岡賢次議員(民主党):
 大臣っていいますけどね。大臣はつい昨日まで普通の国会議員だった人がなっているわけですね。あっという間に、その省庁のですね、昔からやっているエキスパートとは、どこの党がやっても現実には不可能なんですね
可能な範囲はありますよ。でも、全部は不可能なんです。ですから、それはですね、もっと政治家軍が考えてやっていかなきゃならない。
 しかし、当然100%はできませんから、それは党内にいろいろの論議があったっていいと思うんですね。そこで出てきたものを、別のチェック機関でですね、別な目からこれは問題じゃありませんかと、こういうふうに指摘をしてですね。それが悪いという論議にはならないと思うんですね。党内不一致にはならないと思う。
 そしてそれを改めてフィードバックしてですね、最終的にまた決定して、最後には内閣でやるわけですから。そのプロセスなんですね。

「新報道2001」2010年11月21日(日)8:10ころ
※ 以下、強調は引用者による。


いやまあ、想像の世界のマニフェストというからには根拠はなかったんだろうとは思いましたが、「普通の国会議員だからワカリマセン。それはどこの党も同じ」と来ましたね。普通の国家議員だけでは利害調整のロジサブやら制度設計ができないから、「まず、政権交代」という話が出てくることになったんでしょうけど、初めから「普通の国会議員は制度設計できない」と自覚していたようには思えないんですが、気のせいですかそうですか。というより、初めから国会議員だけでは制度設計できないと自覚していたのなら、それをマニフェストとして公約して政権を奪取したということになるので、それはそれで大変不誠実だと言わざるを得ません。

それにしても、「やってみないとわからない」っていう言い方には妙に前向きなニュアンスがあるのが不思議ですね。私の狭い人生経験では、検討に検討を重ねて事前の準備に最善を尽くした場合であって、それでもなお不確定要素を取り除くことができないときに、それによって得られる効用と失敗したときのリスクを比較してはじめて「やってみないとわからない」といえるのではないかと思います。そんないわゆる「人事を尽くして天命を待つ」という手法は、有権者の合理的無知に訴えかけて政権を奪取するという戦略とは相容れないわけで、人事も尽くさず発せられる「やってみないとわからない」という言葉なんぞは、ただの無責任な放言の類ではないかと。

で、自ら「言い訳がましい」と認めながら、「夕べ夢で見たのと違う!(byガリガリガリクソン)」と想像の世界から引きずり戻されて辛い境遇を説明されます。

山岡賢次議員(民主党):
 政策の話はですね、これは実行されていないんじゃないか、これはまあ言い訳がましいんですけど、やりたいのは山々なんですが、例えばこれを立てたときの計画とですね、現実に政権を受け継いでみたら、歳入欠陥だけでも9兆円あるわけですよね。これはそろばんが合わないわけですよ。
菅義偉議員(自民党):
 そんなの最初からわかりきっている話じゃないですか。いまの話じゃないですよ、それは。
山岡賢次氏(民主党):
 わかりきってないんですよ。ですからそのとき、あのときは大風呂敷だったというのは一つの表現でですね、希望を述べたんだと、こういうつもりだと思いますよ。
吉田恵:
 希望ですか? 希望だったんですか?
菅義偉議員(自民党):
 約束じゃないですかねえ。
高木陽介議員(公明党):
 契約。
山岡賢次議員(民主党):
 述べたんだと思いますよ。しかしね、しかしね、現実にスタートしたときは、現実から引き継がなければならないわけですから、そのしばらくの経過措置の間はね、その応用でいかなきゃいけない。次の3年後の選挙のときのですね、マニフェストは全部民主党の責任といっても、これはいいんじゃないですか。
北川正恭氏:
 実はね、100点満点は野党も、ひょっとするとですよ、国民も望んでいないんですよ。だから、点数を上げる努力で、最初のけじめをですね、どうつけるかという問題で、高木さんのね、公明党さんに気に入られる政策じゃないんですよ。あなたが堂々とやったら公明党さんなんかはですね、良かったらついていくっていう話だから、堂々としたね、最初のスタートのけじめの部分をきちっと、政治とカネとかね。
 (政権交代は)断絶なんだから、柳田さんの失言の問題なんかは自らが進んでやらないとね、「いやいや、ドミノで困るね」という発想では、やっぱりこの政局乗り切れないんじゃないかと思います。

「新報道2001」2010年11月21日(日)8:16ころ


よほど想像の世界が居心地良かったのか、現実に政権交代したらワケがわからなくなってパニクっているようで、マニフェストという建前を貫くためには「希望」なんてNGワードそのものなんですがね。いくら想像の世界で「あんなこといいな できたらいいな」というものを並べたところで、現実の世界では通用しないということを政権交代してやっとわかったとのことで、いい勉強になりましたね・・・と話を終わらせるわけにはいきません。

なんと、自ら三重県知事としてマニフェスト選挙を広めて、現在では早稲田大学マニフェスト研究所所長を務める北川正恭氏が「国民もマニフェストを望んでいない」とかいっちゃってるんです。それを認めてしまったら、国民も現政権党がうそをついているのをわかって政権交代させたっていうことになってしまいます。まさに「まず政権交代」という「やってみないとわからない」的無責任な放言が現実のものとなってしまったわけです。

まあ、大げさに驚いたふりをしてしまいましたが、マニフェスト選挙なるものの実態はそんなところだろうと個人的には思います。ただ、そのマニフェスト選挙なるものを推し進めてきた北川氏がそれを認めてしまったということは、マニフェストという名前をつけられた「選挙の際に政党が有権者に対して約束する公約」は実質的に無内容のものであって、単に政権奪取の手段として機能する程度のものでしかないと認めたことにほかなりません。そんなマニフェスト選挙に踊った政権交代が無内容であるのも当然といえそうです。

ところが、現実の世界は無内容な政権に容赦ないわけで、おもしろ発言には事欠かない枝野氏のこの発言は、けだし歴史に残る名言ですね。

「政治主導なんてうかつなこと言った…」枝野氏

 民主党の枝野幸男幹事長代理は14日、さいたま市内で講演し、民主党政権の掲げた「政治主導」が機能していないとの批判が出ていることについて、「与党がこんなに忙しいと思わなかった。政治主導なんてうかつなことを言ったから大変なことになった。何より欲しいのは、ゆっくり考える時間と、ゆっくり相談する時間だ」と釈明した。

 菅内閣の支持率急落に関しても、「政権が国民の意識、感覚とずれていると思われる部分が多々ある。かなり深刻な状況だ」と述べ、危機感をあらわにした。

(2010年11月14日19時38分 読売新聞)


まあ、これまでの民主党の行動パターンを見ていると「ゆっくり考える時間とゆっくり相談する時間」があっても、かの党は決して反省しそうにないところが絶望的ですが・・・

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コメント
この記事へのコメント
HALTANさんに取りあげていただきました。
http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20101123/p2

> 「いわゆる構造改革派」「左右の既成政党(自民党、民主党)や新党(みんなの党など)」は「霞ヶ関死ね」で何故か止まってるけど、リフレ派(ネットリフレ派)はそこについでに「日銀死ね」をくっつけてるだけ。

ここがいつも不思議なのですが、いわゆるリフレーション政策は、日銀の長期的なコミットメントを重視するものであって、そのコミットメントによってインフレ期待を醸成し、流動性選好を転換して投資・消費行動を促すというものと理解しておりますが、一部のリフレ派の方々は、その日銀に対する信認を否定したがるんですよね。日銀の信認を否定するような批判(組織がダメ、総裁はバカ)をしておきながら、一方では日銀のコミットメントを求めるというのでは、特に経済学の素養のない一般の方は混乱するだけではないかと。

too little, too late ということはあるとしても、一部のリフレ派の方々がそのわずかな流動性供給すら日銀に対する信認の否定材料としてしまうのを拝見するにつけ、本当に景気回復が望ましいと考えているのか、私のような経済学をかじっただけの者にはよく分からないというのが正直なところです。

> ・・・ま、リフレ派(ネットリフレ派)の「我こそは弱者・若者・労働者の味方なり!」なんてのも所詮はポーズで、「失業率を低下させ日本国家を救う解答をオレ(たち)だけは知っている!」という恍惚感に酔っているだけなんだろうな。

「労働者の味方なり」と自任されるリフレ派の中には、公共職業訓練を否定したり、それを担う雇用・能力開発機構の廃止を支持したり、労働政策研究・研修機構の廃止を唱えたりする方も多いように見受けますね。経済学に造詣の深い方によくある「自分の用意した回答以外に正解はない」という全能感の現れと理解するべきなのでしょうか。
2010/11/23(火) 21:58:42 | URL | マシナリ #-[ 編集]
「中には」と書いている時点で、部分の話を全体に適用しているわけで、すっかり斜め天誅状態です。「○○氏が嫌い」と素直に言った方が良いのではないかと。それに、俗にリフレ派といっても、政治結社でもなんでもなくて、金融政策の重要性を強調している人たちなだけなわけで、たまたま経済政策に求めるファーストプライオリティーが一緒なだけなわけで、それ以外の政策については、完全に呉越同舟状態というか、仮にリフレ的な政策が実現されたら、今度はセカンドプライオリティーになっている政策で意見の相違が生じてお互いに論争を始めるでありましょう。

というか、リフレがどうこう以前に、「政府・日銀が景気対策をしっかり行うべきである」という意見に対する意見対立のほうが結構根深いように思いますが。どうなんでしょう?

あと、少なくとも、日銀のデフレーションターゲットは成功していますので、市場の信任(意図に対して間違いの無い行動をとるという意味での信任)は厚いのではないかと愚考いたします。
2010/11/24(水) 22:51:14 | URL | 通公認 #JalddpaA[ 編集]
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