2010年10月17日 (日) | Edit |
fc2ブログはアンテナとかお気に入りという機能がないので、拙ブログのネタ集めはGoogleリーダーに登録した方々のブログがメインとなっておりまして、実はその中に地方自治体職員の方のブログは一切ありません。特に意識したつもりはないのですが、このHNを使って投稿していた某地方自治体職員私設のBBSでの地方公務員の投稿が、あまりに現場主義、視野狭窄だったことに嫌気がさしたということもあります。

でまあ、そういう現場主義、視野狭窄な地方自治体職員の方々にありがちなのが「労働法?なにそれ食えるの?」的な職業意識でして、その実態が垣間見えるサイトがあります。

●私の感想

また、就業構造が変わり、正規から非正規へシフトしていることも要因だと思います。
これは、なげかわしいことですが、世界経済の現状や日本の置かれている立場から見れば、必然的な方向性であり、もう昔の良き時代(誰もが中流を実感する終身雇用社会)には戻れないという覚悟を決めないといけないということだと思います。
そうだとすれば、各労働者は、厳しい状況の中で、何とか努力して、成果を出して、自分の給与水準を維持していくということが、これまで以上に必要となります。
こういうことを前提に、自治体職員の就業スタイルも、変えていかなければならないと思います。
具体的には、努力をする、成果を出すということが、雇用が継続される前提であって、いわゆる不良職員の処遇をもっと厳しくする(クビにする)ことが必要だと思います。
それから、仕事内容や成果によって、給与格差を大きくする必要があります。
これら、公務員を職業人として見れば当然の処遇スタイルが、これまで実施されてこなかったことが。厳しい環境にある民間との格差を生み、公務員批判にもつながっていることを認識しなければなりません。
公務員は特別の存在(昔のように「お上」といった身分)ではなく、民間と同様、労働者であり、職業人であるるということです。

処遇方法を変えるということには、まったく合理的な根拠はありません。

本当のこと(31)(2010年10月12日)」(自治体職員有志の会
※ 強調は引用者による。


こういう議論が「自治体職員有志の会」を名乗る方の間でされているのを拝見するにつけ、拙ブログの労働カテゴリで議論しているようなことが、地方自治体職員の間では全くコンセンサスを得られない状況がよく理解いただけるのではないかと思います。「カイカクとは経費を削減することなり」と刷り込まれたチホーコームインにしてみれば、解雇権濫用法理やら整理解雇の4要件なんてまどろっこしい手続なんか要らねーし、仕事のできないやつはさっさとクビを切ってしまえというのが正義となるのでしょう。人事院勧告が大企業の給与水準を基にしているのはけしからんというのと同じように、コームインの任用関係に適用される労働法規は中小・零細企業かそれ以下のもので十分という発想がここでも色濃く伺えます。「労働法?なにそれ食えるの?」という上司による「労働基準法さえ守っていればいいなんてオンブズマンにいえるか」発言などは、まさにこういった理解の上になされるものといえそうです。

で、具体的に逮捕されたり仕事のできない自治体職員がいた場合に、「自治体職員有志の会」の方ならどうするかというと、

本日も、ビシバシお役人の犯罪を指摘します。

1.懲戒免職の職員、下水道工事で「相見積もり」を偽装
(略)
クビは当然として、収賄にならないか、これまでの返済状況などを厳しくチェックする必要があります。

2.H市消防職員を児童買春容疑で逮捕
(略)
当然クビの事案です。こういう輩は必ず再犯を起こします。

3.文化団体の資金横領容疑、M市教委元係長を逮捕
(略)
チェックの甘さが出たもので、クビ+刑事告訴+民事訴訟で徹底的に痛めつけましょう。

4.合鍵で市営住宅侵入、S市職員窃盗を容疑で逮捕
(略)
合併自治体の規律の緩みが出ているようです。市長以下の責任も重いです。

5.強制WのH市職員を懲戒免職に
(略)
クビで当然です。

お役所の常識をぶち壊せ(228)(2010年10月11日)」(自治体職員有志の会

本日も、お役人の犯罪をビシバシ指摘します。

1.正当な理由なく欠勤繰り返した男性職員を停職1カ月
(略)
民間なら、普通はクビです。

2.酒気帯び運転:罰金の主任を停職6カ月
(略)
甘い処分です。懇親会で同席した上司や同僚も処分すべきです。

3.懲戒免職:飲酒運転容疑の消防士を処分
(略)
これが、正しい処分です。日本全国の自治体は、見習うべきです。

お役所の常識をぶち壊せ(226)(2010年09月27日)」(自治体職員有志の会


・・・夜神月=キラのごとき一刀両断、快刀乱麻ぶりです。まあ本家の夜神月もマスコミ報道で人の生死を裁くというなんともな独善的な正義しか持ち合わせていませんでしたが、この方も同じような全能感に浸っているのでしょう。キラ的自治体職員有志の会の方々にすればまどろっこしい司法手続なんて要らないのかもしれませんが、もちろん、民間企業においてはこれほど単純に懲戒解雇の可否が判断されることはありません。たとえば、今回の大阪地検特捜部の件に絡めて労務屋さんのところで指摘されているように、

民間企業においても、起訴段階では懲戒解雇まではしないのが一般的ではないでしょうか。法的にも、学説・裁判例ともに起訴自体を理由とする懲戒解雇は認めないのが主流と思われます。厚生労働省が作成・公表している「モデル就業規則」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/model/)をみても、休職の規定として

(休職)
第9条 従業員が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。

 (2)前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき 必要な期間

となっていて、「本条第1項第2号の「特別な事情」には、公職への就任や刑事事件で起訴された場合等がそれに当たります。」とされています。まあ、民間では現実には起訴段階で懲戒解雇などの処分を行うケースもなくはないようですが、これは本人が犯行の事実を認めて反省し、処分に納得していて、内外から「なぜ処分しないのか」との批判を受けるリスクがある場合に限られるのではないでしょうか。

■[労働法]判決確定までは推定無罪(2010-10-14)」(労務屋ブログ(旧「吐息の日々」)


というのが常態なわけで、もちろんあまりに事件の内容が悪質な場合は「元○○社員」という報道発表をするために即時解雇する場合が皆無ではありませんが、通常は逮捕とか起訴の段階で懲戒解雇まではしないのが民間企業です*1

まあ、2006年の福岡市役所職員による痛ましい事故があってから「飲酒・酒気帯び運転は即懲戒免職」というポーズを打ち出した自治体が多かったので、自治体職員有志の会の方々にとってはそれが当然なのかもしれませんが、それについても再び労務屋さんのエントリを引用させていただくと、

繰り返しになりますが酒気帯び運転のすべてが懲戒解雇に相当しないというわけでは決してなく、個別の事情を総合的に勘案して判断されるべきものです。たとえば最近出た労経速2065号に酒気帯び運転で物損事故を起こした職員の懲戒免職を有効とした大阪地裁判決が掲載されています。ここでは所属長への報告を怠ったことの悪質性が重視されていますが、物損という具体的被害があったことも心証には影響しているでしょう*2。

で、その判決文に「別紙」ということで酒気帯び運転に対して行われた行政処分の一覧表が付されていて、これがまことに興味深いものです。たとえばやはり大阪地裁で懲戒免職が維持された事件として「飲酒のうえ運転し、途中2回にわたり対抗車線にはみ出して人身事故を起こし、加療5日から10日を要する障害を3人に負わせたが、いずれも救護や警察官への報告をしないまま立ち去り、自宅に帰った」ってこりゃひき逃げというものではないですか。これは懲戒免職も当然で、よくもまあ訴訟に打ってでたものだという感じです。他にも、飲酒でオートバイを運転してタクシーと接触とか、飲酒で運転して歩行者をはねたとか、交差点で信号待ちの車に追突とかいうケースで懲戒免職で終わっている例も多々みられ、やはり、事故を起こしたり損害を与えたり、あるいは他の違反も併合している場合などは厳しくなるようです。

■[労働法]「飲酒運転で懲戒免職」やはり厳しすぎる?(2010-04-21)」(労務屋ブログ(旧「吐息の日々」)
※ 脚注は省略。


というわけで、あくまで個別に判断しなければ懲戒処分の当不当は判断できないというのが司法の立場であり、労働法規の立場です。ところが、自体職員有志の会の方々は逮捕の段階で「クビは当然」で、業務懈怠であっても「民間なら、普通はクビです。」とおっしゃるわけで、どのような「民間」を想定しているのか大変興味深いところです。そう考えると「お役所の常識をぶち壊せ」というのは大変言い得て妙ですね。

もしかすると、

企業規模でみると、規模不明を除いても50 人未満の小規模企業の労働者からの申請が48.2%と半分近く、100人未満では61.2%と過半数をはるかに超えている。これは全事案の50人未満で46.6%(100人未満では58.2%)とほぼ同傾向である。
企業規模と就労形態の関係を見ると、500人以上の大規模企業では派遣労働者に係る事案が多く、100人未満の小規模企業では正社員と直用非正規労働者に係る事案が多くなっている。これは、大企業ほど自ら直接雇用終了をするよりは派遣という間接的な形で行うことを好んでいることを示していると考えられる。興味深いのは、小規模企業において正社員と直用非正規の比率に規模による影響があまり見られないことである。小規模企業においては、正社員は直用非正規に比べて雇用終了が困難であるという意識は薄いことを示しているとも受け取れる。また、30人未満の零細企業に試用期間に係る事案が多いのは、零細企業ほど試用期間について文字通りに受け取り、判例法理を知らないことによるものとも考えられる。

第1章 個別労働関係紛争あっせん事案の概要(量的把握)/第2章 雇用終了事案の分析/第3章 労働局のあっせん事案にみる職場のいじめ・嫌がらせ・ハラスメントの実態(1.1MB)『個別労働関係紛争処理事案の内容分析―雇用終了、いじめ・嫌がらせ、労働条件引下げ及び三者間労務提供関係―』(労働政策研究報告書 No.123平成22年6月10日)


というわけで、給与水準も中小企業並みにそろえるなら、労働法規の適用も中小企業並みにするべきという普遍的なお考えによるのかもしれません。まあ、橋下大阪府知事も「民間企業だって労働法の保護がないんだからサビ残くらいでグダグダ言うな」とおっしゃるようですし、チホーブンケンはすばらしき博愛精神に基づくものなのですね。




*1 労務屋さんのエントリに対するコメントでも指摘されていますが、地方公務員法第28条第2項第2号で、刑事事件に関し起訴された場合は職員の意に反してこれを休職することができると規定されていますので、起訴段階になれば休職させるのが法令上の取扱いとなります。なお、第28条第1項はいわゆる分限処分を規定したもので、地方公務員の雇用が「保障されているようで保障されていない」(by島田陽一早大教授)というのはこの規定に基づき合法的に分限免職できる点にあるわけですが、その点はまたの機会に。

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コメント
この記事へのコメント
民間も民間で、何らかの判断基準を役所の現行制度に求めていたりするので、役所が(民間にならって)解雇を容易にしてくれると、民間も(役所にならって)解雇が容易になったりするかも(笑)

ちなみに懲戒解雇に相当する場合でも、普通は、恥ずかしいし面倒くさいし、本人の後の生活も困るし、生活に困ると事務所に火をつける輩も出てくるので、なるべく依願退職という形で処理するんです。温情と見栄と防衛反応で。
相手が自分の立場もわからずに「退職の強要だ」と監督署に駆け込んだりすると、仕方なしに懲戒解雇の事由を監督署に届出して懲戒解雇にするわけでして。その際に必要とあらば起訴する事になるわけです。でも、本人は「俺は悪くないのに解雇された」と周囲には言いたいみたいで、解雇という単語を使うんですよね。依願退職じゃないと、再就職は困難だし、退職金も出ないしで、本人も困る事になるんですよね。

一方、公務員に対して温情的な僕でも、不愉快になって「これだから役人は・・・」と思ってしまう御仁(たいていは爺さん)もいらっしゃるのは確かです。面と向かって批判的な態度をとると裏で意地悪されかねないので、黙って腹に一物ためてます。きっと、世の中には溜めこんじゃって、はけ口を求めている人が多いのでしょう。
あと、上場企業なんかは最近特にコンプライアンスについて公的機関から口酸っぱく指導されちゃってるので、「お前らがやるな!」という意識は持ってるかも知れませんね。ネットで脈々と続く、マスコミ批判なんかと同根です。
というわけで、色々とおっしゃりたい事をはわかるのですが、たぶんそういう問題じゃないんだと思います。人間は感情の生き物ですから。

自治体の中の人が自己改革と称してやってるのは何がどうだか良くわかりませんが、きっと内部の権力闘争か、それとも政治がらみか、その辺の視点を聞いてみたいですが、どうなんでしょう?
2010/10/18(月) 14:33:38 | URL | 通公認 #JalddpaA[ 編集]
> 通公認さん

> ちなみに懲戒解雇に相当する場合でも、普通は、恥ずかしいし面倒くさいし、本人の後の生活も困るし、生活に困ると事務所に火をつける輩も出てくるので、なるべく依願退職という形で処理するんです。温情と見栄と防衛反応で。

そういう面はあると思いますが、使用者側の強大な人事権の裏返しとして、懲戒解雇を行いうるような事例は極めて限られているのが判例の立場ですね。メンバーシップ型の正社員であれば特に、能力のない(職業的レリバンスのない!)新入社員を一括採用して、企業内OJTで一人前のメンバーに仕上げていくというのが使用者側の責務であって、それを背景として使用者は懲戒を含む強大な人事権を有しているわけですから、そのメンバーが犯した非違行為がよほどその個人の責に帰するものでない限りは、まずは使用者の責務が問われることになるわけです。

実は、本エントリでは明確に区別しておりませんでしたが、能力不足を理由とするか、職務懈怠を理由とするか、非違行為を理由とするかで雇用契約を終了させる形態は異なりますから、通公認さんがおっしゃるように、雇用契約を終了させる理由が懲戒に該当するとしても、普通解雇なり依願退職という形をとる場合が多いのが実態ですね。経営法曹会議などの使用者側弁護士もそのように指導すると思います。

能力不足の事例でいえば、セガ・エンタープライゼス事件(東京地決平11・10・15労判770号34頁http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/9B0889FE89765AD149256DD60029DC1F.pdf)では、
「債務者としては、債権者に対し、さらに体系的な教育、指導を実施することによって、その労働能率の向上を図る余地もあるというべきであり(実際には、債権者の試験結果が平均点前後であった技術教育を除いては、このよう教育、指導が行われた形跡はない。)、いまだ「労働能率が劣り、向上の見込みがない」ときに該当するとはいえない。」
として、就業規則上の「労働能率が下がり、向上の見込みがないと認めたとき」との規定に基づく普通解雇は、権利の濫用に該当するので無効と判断しています。

このような判決は、かたくなに雇用流動化を主張する方々からすれば、理不尽なまでに使用者側の責任を重視するように見えるのでしょうが、その使用者責任の裏側には、有無をいわせず転勤させることができ、長時間労働を強いることもでき、昇格・昇給も一方的に決定できるという強大な人事権があることを忘れてはいけません。通公認さんの指摘される「防衛本能」という思惑には、実はこういう裏付けがあると考えるべきでしょう。

なお、
> 自治体の中の人が自己改革と称してやってるのは何がどうだか良くわかりませんが、きっと内部の権力闘争か、それとも政治がらみか、その辺の視点を聞いてみたいですが、どうなんでしょう?

という点については、おそらく「自治体職員有志」を自任する方々からすれば、通公認さんが「「これだから役人は・・・」と思ってしまう御仁(たいていは爺さん)」というような「お荷物さん」に対する憤懣やるかたない思いがあって、自らの誇りがあるが故にそれが歪んだ形で発露したものと推察します。まあ、そういう職員は権力闘争をしかねないほどの上昇志向を持っていることが多いようにも思いますが。
2010/10/19(火) 23:43:17 | URL | マシナリ #-[ 編集]
さんきゅう
最近の自治体のブラックすりより話題としては「おめえ育休なんかとってんじゃねぇよ」ですね。
はぁ
2010/10/22(金) 16:06:58 | URL | とれんど #EBUSheBA[ 編集]
> さんきゅうさん

大阪府の業務停止された弁護士さんですね。貧しい家庭環境で苦学生として弁護士資格を取り、現在は子だくさんでもある方が「世の中こんなに厳しいんだぞ!」とおっしゃりたい気持ちはわからないではないですが、日本の雇用慣行をどうやって変えていこうというのか全く不明なところが改革バカたる所以といえそうです。

改革バカな方々はむしろ解雇規制の撤廃とかベーシック・インカムとか、より劣悪な労働環境を嗜好しそうですしね。
2010/10/25(月) 20:57:17 | URL | マシナリ #-[ 編集]
カイカク馬鹿は理屈じゃなくて、感情と扇動で生きてますし、それを持ち上げてる人たちも同じ穴の狢ですよ。理屈は通じないというより、意識して無視されるでしょうね。アホらしいけど、世の中そんなもんです。

ところで、僕は「告訴に足る問題」という事で書いたつもりであって、個々人の仕事の能力の問題について書いたつもりでは無かったのですが・・・。
能力の問題で解雇という場合、普通は、その人の能力を受け止められる部署に移動させますね。それが嫌なら辞めてくださいという意味で。辞めなかった場合、その部署での通常の賃金に下がるということになります。強大な権力というのはこの事ですよね?
2010/10/26(火) 09:48:58 | URL | 通公認 #JalddpaA[ 編集]
> 通公認さん

2010/10/19(火) 23:43:17の当方のコメントは、本エントリで引用した「自治体職員有志の会」が刑事事件も職務懈怠も能力不足も一刀両断斬りまくっていることを念頭に置いたものでした。通公認さんのコメントとは若干すれ違ったものとなってしまい失礼いたしました。

「告訴に足る」という理由で懲戒処分が可能かという点では、その理由が刑事事件でも職務懈怠でも能力不足であっても、企業秩序や業務上の信用失墜などの事実上の損害が発生することが前提となるので、上記のコメントではその一例として能力不足についての裁判例を挙げてみました。

その意味では、セガ・エンタープライゼス事件で普通解雇された社員は、
「平成一〇年の債権者の三回の人事考課の結果は、それぞれ三、三、二で、いずれも下位一〇パーセント未満の考課順位であり、債権者のように平均が三であった従業員は、約三五〇〇名の従業員のうち二〇〇名であったこと(前記一3(一)ないし(三))からすると、債務者において、債権者の業務遂行は、平均的な程度に達していなかったというほかない。」
のにも関わらず、
「債務者としては、債権者に対し、さらに体系的な教育、指導を実施することによって、その労働能率の向上を図る余地もあるというべき」
と判断されたのは、そうなる前に会社として配置換えなり研修なりOJTなりでその社員の能力向上を図る義務があるとされているわけでして、通公認さんが

> 強大な権力というのはこの事ですよね?

とおっしゃるのは、会社の人事権を事後的な対応に限って捉えられているように見受けます。

裁判所の立場は、能力がないとかいいながら、初めから能力がない新入社員を採用して職能資格給で処遇しておいて、異動も昇給・昇格も一方的に決められる人事権を有する使用者が、「使えないからクビ」というのは虫が良すぎるよね?というものと考えます。
2010/10/27(水) 08:36:32 | URL | マシナリ #-[ 編集]
こちらこそ、部分的な話ばかりでなんかすみません。

セガの事例はちと調べてみます。まあ、僕らが直面するケースは、「何回言っても無断欠勤、遅刻が改まらない」とかのレベルですから、出勤簿と注意の回数とか始末書とかを記録しておけば事足ります。

ただ、本当に採用の際に能力の有無がわかるんなら、その人に採用を代わってもらいたいし、本当に研修で能力が向上できるんなら、僕らに代わって研修してもらいたいと思います。そんなの簡単じゃないというか、ほぼ不可能です。そして、採用を行うのも、研修計画を立案・実行するのも、人事権を発動するのも、全て「同じ会社の従業員」です。同じ会社という器の中で、従業員という立場は同じだけど、その職務においては一応の能力を有する人が役職を持ち、能力が足りていない人を裁いている話なので、「会社」という架空の存在に全知全能性を求めて責任を取れと言われても、ピンとこないです。

以上。カイカク馬鹿の話とは大分ずれてしまいましたので、この辺で。

僕らの心配は、「民間はこんなに厳しい!」というヘンテコな理屈で役所が厳しくなると、今度は社内で「役所はあんなに厳しく対処しているのに!」というカイカクの突き上げが内部で生じてしまわないかという事だったりします。やってる本人は正義のつもりでも、実はとっても感情論ベースだったりして。後に残るのは殺伐とした雰囲気だけで、企業という器の中の人間関係、そこから生じる企業活動などにプラスになる事はあんまり無いんじゃないかと思うのです。

自分の最初のコメントを読み返したら、この論点は冒頭でジョークっぽく書いているだけでした。それで誤解を招いてしまったのだと気がつきました。すみません。
2010/10/28(木) 00:18:00 | URL | 通公認 #JalddpaA[ 編集]
> 通公認さん

返信が遅くなりましたが丁寧なコメントありがとうございます。
実をいえば、私自身も裁判所の立場はあまりに使用者の責任を強調しすぎているように思うところもあります。通公認さんのおっしゃるような事例は私の職場でもありますし、その思いは本エントリで引用した「自治体職員有志の会」の方々も同じだからこそ、あのような書き方になったのではないかと。

> ただ、本当に採用の際に能力の有無がわかるんなら、その人に採用を代わってもらいたいし、本当に研修で能力が向上できるんなら、僕らに代わって研修してもらいたいと思います。そんなの簡単じゃないというか、ほぼ不可能です。

セガ・エンタープライゼス事件で大変皮肉なことは、普通解雇された社員が
「債権者は、平成二年四月に入社し、人事部採用課において、学校訪問の際の書類取り揃え、採用会社説明会のセッティング及び司会等の業務に従事していたが、報告書の遅延、出張旅費の精算の遅れなど規律を遵守しようとせず、自己主張が極端に強く、協調性が全くない上に、仕事に積極的に取り組む姿勢が皆無であった。」
とバブル全盛期の採用組で、しかも最初の配属先が人事部採用課だったということですね。

人事権を有するのはもちろん使用者ではありますが、労基法10条で
「この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。」
と規定されているとおり、人事担当部署の社員は使用者と同様の責務を負うこととされています。使用者の強大な人事権を執行する立場の人事部社員は組合にも加入できないところが多いでしょうし、一社員ではあっても強大な人事権に見合うだけの責務を負うことは変わりありません。

まあそんな事情もあって、「メンバー」となる社員を採用するに当たっては、資格や能力ではなく印象とかコミュニケーション能力というような「官能的」な基準でもって、できるだけリスクの少ない労働者を採用しようとするわけですが、上記の事件は、当の人事部ですら「使えない」社員が紛れ込むことを完全に防ぐことはできなかったという事例でもあります。結局事後的には、会社としてはいかにコストを抑えながら解雇回避努力を尽くした形で雇用関係を終了させるかを考えなければならないわけで、解雇規制の撤廃を主張する方からすれば、それが日本の労働市場を固定化する元凶に見えてしまうのでしょうけれども、解雇回避義務は採用という入り口時点から継続して積み重なる責務であることを認識する必要があると思います。

なお、

> 僕らの心配は、「民間はこんなに厳しい!」というヘンテコな理屈で役所が厳しくなると、今度は社内で「役所はあんなに厳しく対処しているのに!」というカイカクの突き上げが内部で生じてしまわないかという事だったりします。

という点については、以前の拙ブログでのエントリにも通じることですが、
http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-366.html
先日来続いている「事業仕分け」という人民裁判も、これを助長するのに一役買いそうです。
2010/10/30(土) 22:10:51 | URL | マシナリ #-[ 編集]
ご丁寧にありがとうございます。
しかし、言っているはじから、リアルワールドで失敗気味です。むむむ。
2010/10/31(日) 23:05:49 | URL | 通公認 #JalddpaA[ 編集]
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