2010年06月18日 (金) | Edit |
再度HALTANさんのところで取り上げていただいておりました。(レスが遅くなりまして申し訳ございません)


山形さんは、以前は官僚叩いても何にもならないとい書いていましたが、
http://cruel.org/other/stupidburo.html


それは山形さんが直接に書いたものではなくて、菊池信輝さんが書かれたものですよね?

[無題]「リフレ派(ネットリフレ派)」は永遠の言うだけ番長か?(2010-06-14)」(HALTANの日記


大変失礼いたしました。山形さんのサイトで「官僚」を検索するといろいろヒットしますが、内容を確認せずにURLを張ってしまいました。山形さんによる官僚評は、以下がわかりやすいでしょうか。

 ぼくは東京大学を出ているので、知り合いのかなりの部分はいま評判の悪い官僚という仕事についている。確かにあれは変な職業で、こないだまでコンパで醜態をさらしていたあのXXが、いつの間にやらナントカ行政の専門家とかいうことになって、会社の先輩とかがそいつをさん付けで呼んでいて扱いに困るとか、あるいは院を出て就職して最初の仕事である県にいったら、同期のあのZZがそこの税務署長(しょしょしょ署長!)なんぞにおさまっているではないか! とかいう理不尽なことはいろいろあって、あいつらが官僚なら日本の将来真っ暗だぁワッハッハ、というのは同窓会の定番のネタではあったのだ。
 だから、最近はやりの官僚バッシングは、変だなと思いつつも、まあ納得できないわけじゃなかった。そもそもあんな連中に期待するのがまちがってるよぉ、だからそういじめてやるなよ、とは思ったけれど。たとえば小室直樹という人の『日本人のための経済原論』という本がある。ひどい本で、前半では経済学の勉強をしないとダメといいつつ、後半になると、日本はちゃんとした資本主義じゃないから、ふつうの市場を前提にした経済学は適用できないと平気でのたまう。だったら前半のご託はなんだったんだ! そしてじゃあなにがいけないのかというと、官僚がすべてわるい、官僚が腐敗してる、官僚を粛正しないと日本はたちなおれない、というような話をする
 だけれど、そうなんだろうか。

(略)

官僚バッシングって、なんか意味あるの? お手軽な悪者探しをして、わかりやすいスケープゴートに責任おっかぶせて、それで悦に入っているだけじゃん。いまの官僚がそんなに最高だとは言わない(だってしょせんはぼくの同級生どものなれの果てだぜ)。でも、かれらが腐敗したために日本の経済が停滞してるわけじゃあない。そもそも、きれいなだけで政治ができると思ってるの? 国がまわると思うの? だからぼくはかつての同級生や先輩後輩たちに、深く同情しているのだ。あんな安月給で、あんなひどい労働環境で、あんなに長時間こきつかわれて、それでなんでもかでも悪者扱いじゃあかなわないよなあ。

「第4回 官僚いじめもほどほどにね。 」(山形浩生の『ケイザイ2.0』)

※ 以下、強調は引用者による。


さらに以下の記事はより深く官僚の待遇を危惧されています。並のリフレ派がこういうことを書くと一部のリフレ派の方々に破門扱い(?)されてしまうかもしれませんけど、さすがに山形さんは別格なのでしょうね。あまりに深く憂慮されているので、ほぼ丸々転載してしまいます。

 また官僚の優劣は、確実に国の行政サービスの優劣にはねかえってくる。多くの人は海外出張から日本に帰ってきて、その各種制度やサービスの優秀さに涙したおぼえがあるだろう。その相当部分は、日本の官僚たちや役人たちが優秀で、それなりの仕事をしてくれているおかげでもある。

 官僚バッシングをする人は、それがどんなにありがたいことか理解しているだろうか。日本のそれなりに暮らしやすい環境を維持するためには、今後も優秀な人材が霞ヶ関その他にきてくれないと困るのがわかっているんだろうか。

 そしてかれらはそれにふさわしい待遇を受けているか? 霞ヶ関の役所をのぞいたことがある人なら知っているだろう。ゴミゴミした古い執務室の狭い机に資料を山ほど積んで、安い給料なのに残業まみれでかれらは働いている。もちろん、個別には恨みのある人も多いのだけれど、全体としての官僚にぼくは頭を下げざるを得ない。

 でも、最近の天下り禁止その他は、こうした人々をさらに締め付けるものだ。もちろん、天下りそのものの弊害はある。だがあれもダメ、これもダメ、給料も低いまま、執務環境は劣悪、残業も死ぬほど多くて、天下りもなし、接待も受けちゃダメ、人数は減らせ、仕事はもっと増やせ、しかもいい仕事をしてもろくに感謝もされず、ちょっとでもミスをしたら大バッシング――いったいだれがそんな職場にきたいと思うだろうか?

 いや、そんなに人はこなくていい、役人は多すぎるからもっと減らして小さな政府を目指すんだ、という議論もある。これを主張する人は、まず日本の役人が世界的に見てもそんなに多くないことをちゃんと調べていない。さらにそういう人が「小さい政府」というとき、それは行政サービスを減らせということではなかったりする。サービス水準は今のままで、人だけ減らせ――そりゃムチャだ

 それどころか、最近の報道の風潮を考えてみよう。薬害エイズが、狂牛病が、タミフルが、耐震偽装が云々。みんな、なぜそれをちゃんと規制できなかったのか、という話だ。もっと規制を厳しくし、その監視運用を厳重にしろ、という話だ。役人にもっと働けということだ。だったら、お金をかけるか、頭数を増やすか、優秀な人材を集めるか、そのどれかは必要になる。いや仕組みを工夫すれば、という人もいるけれど、それだって仕組みを考える人材がいるんだって。どうやってそれを担保する? いじめるだけでは人はどんどん逃げるばかりだろう。

 天下りを廃止したいならそれは結構。確かにそれは、変な利権や癒着で制度をゆがめる面はある。でもそれだけを見て天下りが持っていたよい機能まで殺すのは愚の骨頂だ。途上国でも警官や役人の汚職に対しては、取り締まりを厳しくするだけじゃだめだ。同時にかれらの給料をあげて、汚職に頼らず生活できるようにするのが重要だ。日本でも同じだろう。締め付けるばかりじゃなくて、待遇改善も考えないと。天下りがなくても後々よい生活が保証され、能力のある人がやる気を発揮してくれるような環境を作らないと(たとえば給料をうんと上げるとか)。つまらん官僚いじめで喜んでると、下手をすれば国が滅びますぞ

「連載 5 回 いじめるだけでは官僚は逃げる」(『Voice』2007 年 6 月 pp.114-5)


こうした指摘を拝見した後で、次のような記事を読むとゲンナリすること請け合いです。

地方公務員共済のホテル、赤字穴埋めに巨額公金(6月13日3時6分配信 読売新聞)

 総務省所管の「地方公務員共済組合」が経営するホテルの赤字を穴埋めするため、自治体が拠出した公費で不適切な補填(ほてん)を続けていることが、同省の調べでわかった。

 2004~08年度だけで総額193億円に上り、組合員の積立金からも同額を投入していた。補填は約40年間にわたり続いており、公費だけで700億円以上がつぎ込まれたと試算している。同省は、不採算ホテルの閉鎖など抜本的な改善を指導する方針だ。

 同省によると、組合が経営するホテルの赤字総額は04年度以降、毎年65億~97億円。08年度は91か所のホテルのうち、黒字は2施設。赤字穴埋めのため、公費35億円と職員の共済積立金35億円の計70億円が76施設に投入された。

 最高は、当時、37施設を所有していた、道府県職員が加入する「地方職員共済組合」の11億8200万円。

 補填は、人間ドック受診費用など組合員の健康増進のための資金を管理する経費や、組合員の住宅ローン資金を管理する経費から繰り入れ名目で行われた。いずれも自治体が拠出している公費と、組合員の積立金で折半して賄われている

 組合からホテルへの資金繰り入れについて、総務省は、割引料金で利用した組合員の宿泊費を補助する場合に認めているが、赤字穴埋めは対象外としている。同省は、補填は1960年代後半から行われているとしており、「公共のホテルであっても民間と同じように独立採算が原則。毎年赤字を垂れ流すような施設は廃止すべきだ」と指摘する。

 北海道市町村職員共済組合は今年度から、赤字補填を取りやめた。経営していた二つのホテルの赤字は、毎年計1億2000万円前後。実際には赤字額を上回る資金を組合から繰り入れてきたが、「公費投入は住民の理解を得られない」と判断した。3月末で閉館した札幌市のホテルは、12年前に35億円を投じて建て替えたばかり。だが、売却額はその10分の1程度だった。

 土居丈朗・慶大教授(財政学)の話「赤字を公費で埋めるという考え方は不適切であり、非効率な経営につながる。公的な組織がホテルを持つ必要性も希薄で、事業自体を見直すべきだ」

 ◆地方公務員共済組合=地方公務員の年金や福利厚生の業務を行う共済組織。総務省所管は62法人あり、全都道府県と区市町村の職員約167万人が加入する。4月1日現在、和歌山、熊本、沖縄の各組合を除き、経営するホテルは84施設で、9割が赤字経営。

最終更新:6月13日3時6分


もちろん、「公務員の宿泊施設に公費が使われているからけしからん!」という意味でゲンナリするのではなく、労使折半で運営する福利厚生施設(とはいいながら、一般の方も少し割高ではありますが使えます)に使用者である国民が拠出することが「不適切」だと指摘されていることです。民間感覚でいうなら株主が出資した資本金をもとに経営されている会社が、自ら雇用する従業員の福利厚生費を負担するのは何ら不思議ではない、というより従業員のモチベーション維持や健康管理のために会社が金を出すのは当然と考える方が多いのではないでしょうか。ところが、「税金泥棒」ともいわれる公僕の話になると、「なんで公僕なんぞのために税金を使わなければならないんだ」という古代ギリシャの市民のような論理が支持を得てしまうわけです。

拙ブログでは、自らも労働者でありながら、周りの労働者に対して「サビ残に文句を言うやつなんか使えねーな」とか「仕事のために私生活を投げ出してこそ労働者の鏡」という経営者のようなことをいう方々を「経営者目線」という言葉で揶揄してきたりしましたが、そういった意味では、実際に労働者を雇うだけの負担とリスクを負ったことのない労働者自身が一番危険なのかもしれませんね。

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コメント
この記事へのコメント
再びHALANさんのところで取り上げていただきました。
http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20100619/p1

> 「実際に労働者を雇うだけの負担とリスクを負ったことのない労働者自身が一番危険なのかもしれませんね」・・・この辺はむしろ「株主目線」なのかもしれませんね。株主=有権者が経営陣=政治家に「社員=カンリョーやコームインを何とかしろ」と「リストラ=行革」を要求しているのが現状なのかもしれません。「リストラ」を実行すればとりあえず株価=支持率は上がる。上がる以上、止められない。

確かに、従業員のリストラによって来期のキャッシュフローを改善した企業の株価が上がるというのは、バブル崩壊後の日本では普通に見られた現象ですから、「株主目線」というのが的確ですね。他の先進国と同様に労働者が大半を占めるはずの日本で、「株主目線」がもてはやされるというのもなかなか興味深いところです。
2010/06/22(火) 01:46:33 | URL | マシナリ #-[ 編集]
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