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2010年06月06日 (日) | Edit |
himaginaryさんのところで大変印象深い言葉があったので備忘録的に引用させていただきます。

一方、日本の経済学界では、逆に、リフレ派と反リフレ派がここ十年以上熾烈な論争を繰り広げてきた半面、日本経済の構造改革の必要性や市場主義の重視という点に関しては実は両派の差はそれほど無いように思われる。反リフレ派は、リフレ政策を構造改革を阻害するものとして攻撃するが、リフレ派には、むしろ構造改革の前提条件を整えるものとしてリフレ政策を推進する人が多いように思う*2。クルーグマンのように高い最低賃金や強力な労働組合や高水準の最高税率に郷愁を感じる人は、いわゆるリフレ派の中にはあまりおらず、むしろマル経の流れを汲む人に多いのではないだろうか。

(略)

あるいは、日本で景気回復が進めば、リフレ派対反リフレ派の論争は影を潜め、労働政策や所得再配分政策に関する論争が前面に出てくるのかもしれない。願わくば、早いところそうした状況を目撃する贅沢に浴したいものだが…。

*2:米国で日本のリフレ派に最も主張が近いサムナーも、上記の論争に見られるように構造改革論者という顔を併せ持っており、日本の問題はやはり構造問題、ということを最近時々言っている(cf. 上記論争の5/23エントリや、この4/3エントリ)。

※ 以下、強調は引用者による。
レーガノミックスは経済成長をもたらしたか?(2010-06-01)」(himaginaryの日記


「労働政策や所得再配分政策に関する論争が前面に出てくる」状況を目撃することは贅沢なことなんですね。拙ブログはそればかり書いているので、しばらくは前面に出ることなくひっそりと胸の内を書いておくことに専念できそうで、これでひと安心・・・とも言ってられないのがつらいところです。

これは常々疑問に思っていたことでもありますが、ティンバーゲンの定理でもマンデルの定理でもいいんですが、リフレーション政策はどのような所得再分配機能に割り当てられるのでしょうか(以前はヘリマネによる流動性供給がその機能かと思ってましたが違いそうですし)。むしろ、一部のリフレ派には根強いチホーブンケンやらキセーカンワやらの支持者がいるようですし、「次善の政策として,所得分配に大きな影響を及ぼす政策の中から,資源配分の効率性に及ぼす影響のもっとも小さな政策手段を選ぶ」とおっしゃるにしても、個々の家計の流動性制約を緩和できる政策は金融政策だけではないわけですから、特に現物給付による社会保障政策の拡充が必要ではないかと愚考するところです。

たとえば、リフレ派の先生はこういうこともおっしゃるようですが、

講義で分かったこと。

社会福祉とか社会保障って経済学の理論にうまく組み込めない。*1

*1:私注、経済理論上の特異点なの?ホーキングがビッグバン特異点を虚数時間と組み合わせて扱えるようにしたように、同様の操作が可能かなあ?

■[政治][経済][考察]シノドスセミナー出席しました(2009-11-08)」(WATERMANの外部記憶


個人的には、うまく組み込めないといって「だからリフレだ」と話をそらすのではなく、それをどうやって経済理論によって説明するかを考えている権丈先生に経済学者としての矜持を見る思いがします。

「平等・格差は問題だ、貧困問題は深刻だと言うくらいで、世の中動くもんじゃない。18 世紀の半ばに産業革命が起こってすぐから、深刻な貧困問題を訴える社会運動家は、ずっといた。だけどな、格差問題、貧困問題を解決するためには、所得の再分配が必要なわけで、その再分配政策が大規模に動きはじめるのは、高所得者から低所得者に所得を再分配するその事実が、成長や雇用の確保を保障するということを経済理論が説明することに成功したときからだ。現状の所得分配に対する固執はいつでもどこでもとてもおそろしく強く、格差は問題だ、貧困問題は深刻だと言うくらいで、所得分配のあり方が大きく動くほど、世の中は甘くないんだよ」

勿凝学問189 「乏しきを憂えず等しからざるを憂う」ようなできた人間じゃないよ、僕は 日本財政学会シンポジウムでのワンシーン(2008年10月29日)(注:pdfファイルです)」(Kenjoh Seminar Home Page


・・・こういう経済学者が増えるというのは、確かに贅沢かもしれませんね。




まったくの思い込みかもしれませんが、himaginaryさんの最近のエントリは、一部の「リフレ派」と「反リフレ派」のそれぞれが主張するコンセンサスが、実はその陣営の中にあってもそれほど盤石ではないのではないかとの問題提起をされているようにお見受けします。個人的には、一部の「リフレ派」の方が資源配分機能も所得再分配機能も一緒くたに論じてしまうのを拝見するたびに「それが経済学の標準的な議論なのだろうか」と感じていたところなので、その問題提起には大いに共感するところです(himaginaryさんにはドラエモンさんのエントリでご紹介いただいたということもありましたし)。

ただまあ、この共感自体が、

昨日のエントリに書いたように、経済学を巡る議論では、しばしば経済学者の「コンセンサス」や「標準的見解」をデウス・エクス・マキナよろしく持ち出して、それに反しているからお前は間違いだ、という形で決着を図ろうとする人が多い。しかも、良く聞いてみると、そのコンセンサスなるものの内容が人によって微妙に違っていたりする。

経済学者のコンセンサス(2010-06-05)」(himaginaryの日記


といわれてしまうのかもしれませんけれども。

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コメント
この記事へのコメント
>ティンバーゲンの定理でもマンデルの定理でもいいんですが、リフレーション政策はどのような所得再分配機能に割り当てられる

(インフレないし失業率といった)マクロ安定化策に最も有効(むしろ唯一)な政策がリフレ(金融政策)ならば、マンデルの法則よりリフレはマクロ安定化に当て、そしてその結果ティンバーゲンの定理よりリフレはその他の政策に使えない、つまり所得再分配機能は別の政策による必要があり、リフレにそれを求めることは筋違いのトンチンカン、というのがマンデルやらティンバーゲンの示すところなのでは?勿論、所得再分配に何らかの影響を与えはしますが、それが(何を基準とするにせよ)望ましい所得再分配に近づく保証も無いので、その影響を前提とした別の所得再分配機能が必要となる、ということ。

リフレ派はリフレすれば全ての問題が解決すると思っているだの、(バブルになる云々の)金融市場安定化はどうするのかだの、構造改革が起きにくくなるだのと批判する人たちは皆、全て同様にマンデルの法則やティンバーゲンの定理を理解していない(あるいは知らない)不勉強で相手にする価値のない人間と言われても仕方ないと思います。

その意味でこの手のリフレ批判は筋違いであり、非自発的失業なんて存在しないと言う、ガチガチの「政策なんてそもそも無効派」にも劣るものだと考えられます。
2011/05/29(日) 11:45:03 | URL | yasu #-[ 編集]
> yasuさん

> 勿論、所得再分配に何らかの影響を与えはしますが、それが(何を基準とするにせよ)望ましい所得再分配に近づく保証も無いので、その影響を前提とした別の所得再分配機能が必要となる、ということ。

拙ブログで書いていることはほぼこの点に尽きるのですが、当エントリでは
「うまく組み込めないといって「だからリフレだ」と話をそらすのではなく」
というところに力点を置いておりますので、あえてリフレ派と呼ばれる方々の一部に対して「筋違い」なリフレ派批判を書いております。

残念ながら、リフレ派と呼ばれる方々の一部には、

> リフレ派はリフレすれば全ての問題が解決すると思っているだの、(バブルになる云々の)金融市場安定化はどうするのかだの、構造改革が起きにくくなるだのと批判する人たち

に、その批判の格好の材料を提供している方がいらっしゃいます。

その方々は、公共財である景気を重視する一方で、公共財である社会保障や積極的労働市場政策といった所得再分配政策に冷淡であり、それを担うパブリックセクター叩きに熱心な方でもあることも多いため、「筋違い」な批判はその論理矛盾に対する皮肉でもあるわけですけれども。
2011/06/07(火) 07:24:50 | URL | マシナリ #-[ 編集]
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