2010年03月15日 (月) | Edit |
先ほどのエントリに関連して使用者と労働者の関係を書こうと思っていたら、ちょうど同じテーマでhamachan先生に拙エントリを取り上げていただきました。何という偶然。

たとえばここに現れているような「大変申し訳ありませんが、今度の金曜日にお休みをいただいてもよろしいでしょうかw?」という労働の供給者がえらく申し訳なさそうで、労働の消費者が大変偉そうな姿こそが、

>サービスを受ける消費者は「絶対善」であり、
サービスを提供する側は、そのコストとリスクをかぶる

のいい典型例じゃないか、と言う風に、素直に話が進まずに、なぜか労働供給者と労働消費者が入れ替わってしまって

>雇用であれば労働者が「善」、会社が「悪」。

なのがけしからんという論調に転調してしまうあたりが、mojix氏の不思議なところです。

労働の消費者は使用者です、もちろん。(2010年3月14日 (日) )」(EU 労働法政策雑記帳
※ 以下、強調は引用者による。


この次の部分で引用していただいた拙エントリのシチュエーションがまさにこのとおりでして、普段から「コンプライアンスなら俺に任せろ」と法令遵守には人一倍うるさいその上司がのたまったお言葉が、
「労働基準法さえ守っていればいいなんてオンブズマンにいえるか!」
というものでした。私は労働基準法で認められている扱いとして勤務時間に融通を利かせてほしいとお願いした(供給者がお願いするのがこの国の流儀ですからね)にもかかわらず、その上司からは「労働基準法をクリアしても、法律さえ守ればいいというのではオンブズマンは納得しない」という謎の論理で跳ね返されたわけです。



         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|        あ…ありのまま
          |i i|    }! }} //|         今 起こった事を話すぜ!
         |l、{   j} /,,ィ//|     『労働基準法さえ守っていればいいなんて
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        オンブズマンにいえるか!』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |     な… 何を言ってるのか
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人         わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ    おれも何をされたのかわからなかった
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉        頭がどうにかなりそうだった…
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ    コンプライアンスだとか
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ      内部統制だとか
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \   そんなチャチなもんじゃあ
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ     断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }  もっと恐ろしいものの
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ     片鱗を味わったぜ…



実は、私は一瞬、
「コンプライアンス大好きな上司のことだから、労働基準法第1条第2項の「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」という趣旨で、労働基準法以上の待遇を認めてくれるのかな」
と解釈してしまったんですが、もちろんそんなわけはなく、「労働基準法を超える労働条件を認めることはコンプライアンスに反するので、オンブズマンに申し開きが立たない」という意味だったんですね。

具体的な状況を書けないので何ともわかりにくいんですが、その上司のコンプライアンスとは結局、「法律で認められた以上の待遇は法律に違反する。違反といわないまでも、このご時世にそんなことしたら不適切だと指摘されかねないから認めない」というものだったわけです。労働者という労働サービスの供給者の権利を保護するために使用者という労働サービスの消費者の権利を規制する労働基準法が、いつの間にか労働者という労働サービスの供給者の権利を規制する法律にすり替えられてしまったんですね。

この上司は最後まですり替えをしてしまったことに自ら気がつくことはありませんでしたが、消費者独裁国家というのは、こうした「労働条件を向上させることは不適切だ」という論理が無自覚に正当化される国家体制のことなのでしょう。たとえば阿久根市で起きていることはその表象に過ぎないんであって、hamachan先生がおっしゃるように「消費者独裁国家」は「使用者独裁国家」と親和性が高いのだろうと思います(Amazonのカスタマーレビューでの評価が象徴的ですね)。それが拙ブログでいう「経営者目線によるカイカク」とほぼ同じものであることはいうまでもありませんが。

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コメント
この記事へのコメント
毎度レスが遅くなり恐縮ですが、hamachan先生に再度取り上げていただきました。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-eb1c.html

> 「消費者独裁国家」の労働基準法第1条第2項は多分こう書かれているのでしょう。
>
> >この法律で定める労働条件の基準は最高のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を向上させてはならないことはもとより、その低下を図るように努めなければならない。
>
> 確かに消費者天国というべき素晴らしき新世界ではあります。


振り返ってみれば、90年代以降規制緩和とかコーゾーカイカクがもてはやされるようになった背景には、国民を勝ち組と負け組にキレイに二分化できるという前提に立った上で、建設業や役所の事務職など「ステイタスが低そうな労働者」を不当な利権を得ているとやり玉に挙げ、「負け組の労働者の労働条件を向上させるなんてもってのほか」とする価値観の共有があったように思います。

となると、この点の再転換がなければ、これから何度「政権交代」が繰り返されても、労働者というサービス供給者の置かれた状況は変わらないということになりそうですが...
2010/03/20(土) 10:15:23 | URL | マシナリ #-[ 編集]
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