2010年01月24日 (日) | Edit |
身内の方でいろいろありましてすっかり放置してしまっておりましたが、拙ブログでもたびたび取り上げさせていただいているroumuyaさんに言及いただきました。

roumuyaさんのエントリは、そのタイトルのとおりhamachan先生のブログからスタートして八代尚宏先生の論説を巡る評価のされ方を論じられているのですが、ひょんなところから「経営者目線」というところで拙ブログのエントリにも関心を持っていただいたようです。

「他人の職業や待遇について「経営者目線」で批判する」というのは要するに「公務員の職業や待遇について「経営者目線」で批判する」ということなのでしょう。具体的にはおそらく、民間人が公務員に対して「お客様(=住民)第一という考え方がない」とか「雇用が保障されていて競争がないから生産性が低い」とかいう批判をすることを差しているのだと思います。これを「叩く」と表現するかどうかはその人の感じ方・考え方によるでしょうが、言わんとしていることは「公務員を叩くのではなく、民間企業でも公務員並みにお客様にヘイコラせず、雇用が保障されて競争にあくせくしなくてもすむように、経営者に要求しましょうよ」ということでしょうか。

八代尚宏先生(2010-01-19あれこれその2)」(労務屋ブログ(旧「吐息の日々」)
※ 以下、強調は引用者による。


毎度のことながら言葉足らずなもので、誤解を与えるような書き方になってしまい大変恐縮です。これも毎度言い訳がましいのですが、若干補足させていただくと、私が「経営者目線」という言葉でもって他人の待遇を批判することを揶揄しているのは、必ずしも「民間vs公務員」という関係に限った話ではなく、それが広い意味での労労対立を助長して集団的労使関係の基盤となる労働基本権への理解を歪めてしまっていると考えるからです。

いつものとおり(?)こなれていない文章ではありますが、拙ブログでも労労対立については、

このような現状認識からスタートすれば、現在の集団的労使関係における喫緊の問題というのは、少数組合が存在するために生じる交渉権の輻輳化や、複数組合間での労労対立だということがご理解できるのではないかと思います。株主と使用者と労働者という三者の関係において、労働者だけがその利害を統一することができないために自らの利益を守ることができずにいます。にもかかわらず、ここ数年来偽装請負だのワーキングプアだのという問題が叫ばれることはあっても、労働者の利益保護システムとしての集団的労使関係が華麗にスルーされるというのは、やはり党派性の問題が大きいんでしょうかね。
自らの交渉力を低下させる労働組合(2009年06月14日 (日) )


と書いているように、官民問わず現在の労働問題を考える上で避けては通れない問題だと考えておりますし、roumuyaさんのブログでも労労対立への対応の難しさを指摘されていたように記憶しております。というわけで、当方の問題意識としてはroumuyaさんと大部分で共通していると考えているところですので、

まあ、たしかに世間の公務員批判の中には行き過ぎじゃないかと思われるようなものも間々みられますし、公務員の皆様の中には批判されているほどに恵まれているという実感はないという人も多いだろうと想像はしますが、それにしてもあまりあからさまに住民をバカ扱いするような発言は慎まれたほうがいいのではないかと、まあこれは余計なお世話、かつ八代先生からはずいぶん脱線してしまっておりますが、しかし八代先生がこうした意見にどのように反応されるか、興味深いというか見当がつくといいますか…と無理にまとめてみました。

八代尚宏先生(2010-01-19あれこれその2)」(労務屋ブログ(旧「吐息の日々」)


と不快感を与えるような記述になってしまっていたことは大変申し訳なく思います。誤解を与えるような記述となっている部分がないか見直してみたら、

コームインを叩いている限りは、自分が叩かれる側になったら・・・という反省が生ずる可能性はないので、安心して叩ける。しかし、社会システム全体としては、その「叩き」は公的サービスだけではなく、民間サービスすべてに及ぶ
(引用略)

他人の職業や待遇について「経営者目線」で批判することは回り回って労働者であるご自身に跳ね返ってくるというカラクリ(2009年12月27日 (日))EU労働法政策雑記帳


という、叩いている側と叩かれている側が実は相互に影響し合うという現実を認識できるかが非常に重要だと思います。
渡る世間はブーメランばかり(2009年12月28日 (月))


という部分は「民間vs公務員」という対立を前提に書いているように読めるかもしれません。ここでは、hamachan先生のエントリで「認識不全メカニズム」という言葉で定式化していただいた説明を引用していることもあり、確かに直接的な問題提起は「民間vs公務員」ではありますが、それが民間の正規労働者と非正規労働者だったりセレブと貧困層の対立を煽る論理にもなり得るのではないかと個人的には考えております。そういった意味で、hamachan先生の説明も「公務員の職業や待遇について「経営者目線」で批判する」というよりは、もう少し広い射程を有していると解釈できると思います。

言い方を変えると、集団的労使関係の枠の中で考えれば、多数組合と少数組合の対立を「経営者目線」でくくるのはムリがあるかもしれませんが、企業内の集団的労使関係の基盤が揺らいでいる現状にあっては、労働者が他企業の労働者の待遇を「経営者目線」で批判することは意外に抵抗がないように思います。「ライバル会社だってサービス残業で働いているのに、業績で負けているうちの会社でサービス残業したくないなんて甘ったれたこと言うな」、「会社がつぶれて仕事がない人もいるんだから、もらえるだけ感謝しろ」、「あの会社は組合が強いから給料が高いんだよ。そんな会社すぐつぶれるぞ」・・・こういう経営者と見まごう言葉を労働者同士が互いに言い合う状況では、特に厳しい環境にある労働者の待遇改善はままならないように思うわけです。




話を大きくすると収拾がつきませんが、もしかすると、
「経営者」→「保守」→「新自由主義」
「労働者」→「革新」→「社会民主主義」
という二つの流れがバブル崩壊以前の傾向であったのに対し、
「労働者・経営者」→「カイカク派」→「ネオリベ・リベサヨ」
という融合が起きているのが日本の現状であって、そのこともこういった「労働者が他の企業の労働者を経営者目線で批判する」風潮に影響しているのかもと思ったりしますが、まあそれは印象論の域を出ませんね。

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