2009年07月21日 (火) | Edit |
すなふきんさんからトラバいただきました。コメント書いているうちに長くなったので、エントリに昇格してしまいました。

すなふきんさんの問いである「地方」に霞ヶ関の肩代わりが可能か?に対しては、おそらくは「可能」という回答になると思います。ただしそれは、すなふきんさんが危惧されるように利害関係の当事者に強く影響された結果としての利害調整となるでしょう。データや理論に乏しい利害調整が行われるということは、利害関係の当事者の意向に沿った形での結果しかもたらされません。判決でいえば、条文や法理に基づく判断をすっ飛ばして、双方の主張に基づいた事実認定だけで判決を書くようなイメージでしょうか。

こういったいわゆる「当事者主義」とでもいうような考え方を行政に持ち込むことは、憲法第15条第2項「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」に違反するように思うわけですが、これに対しては、地域の選挙で選ばれたんだから地域のために利害調整して何が悪いんだという抗弁が予想されます。くだんの条文は、明治憲法下で天皇の臣下であった官吏を戦後の憲法で国民に奉仕させるための条文ではありますが、それを「地域のために奉仕する」と解釈するのは拡大解釈なんじゃないですかね。判例はよく知りませんけど。

そういう意味では、「地方にできることは地方に」でも「民間にできることは民間に」でも同じことですが、その「できること」のアウトプットが今よりもレベルダウンすることのリスクが適正に評価されないのもその例でしょう。日本という単一国家のために奉仕するべき公務員が各地域でバラバラに政策を実施した結果、制度の整合性が失われたり財政余剰上の格差が拡大したりすることは容易に想定されますが、そのリスクを適正に評価するリテラシーが顧みられなくなっているわけです。

カイカク派などは、カイカクした結果が以前より悪くなる可能性も認めつつ、「悪くなっても、地方は直接選挙で首長を選ぶから、リコールでもすれば次の選挙で落とされる」とかいいますが、次から次に「カイカク派」が当選して、そのたびに悪くされてしまったら選挙の意味はなくなってしまいます。そのカイカク派が主張するチホーブンケンが、リテラシーの低い「素人」のような組織に対する権限委譲を意味していることの問題性とその帰結の重大性は、もっと真剣に議論されなくてはならないのではないでしょうか。

しかし、これもチホーブンケンに限った話ではなく、既得権益の打破を標榜して政権交代を果たした細川内閣以降、実は日本全体にこの傾向が蔓延していると考えてみるとわかりやすいのではないかと思います。細川内閣後から村山内閣までの改革路線に対抗するため、保守であったはずの橋本内閣が行財政改革を旗印に政権を奪回し、小泉内閣の「構造改革」路線へと続いていったわけで、今日の解散はまた新たな「カイカク派」を生み出すのでしょう。

歴史が今まさに繰り返されようとしていますね。
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コメント
この記事へのコメント
次期総選挙の際、誰を当選させ誰を落選させるべきかを考えるページ

http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/296.html
2009/07/21(火) 09:27:16 | URL | 通りすがり #-[ 編集]
HALTANさんに言及いただきました。
http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20090722/p2

> そこで「顔役」支配ですよ。

「顔役」というのが顔のしれた人という意味であれば、タレント知事が次々と当選する現実はすでにそうなりつつあるわけですね。今のところ実社会で力を持った顔役ではないという点がせめてもの救いですが、本当に裏社会とつながった顔役が幅をきかせるようになったらと思うとゾッとします。

それもまた民意といってしまうのであれば、政権を争うことが至上命題となっているらしい民主党や自民党内の機会主義者は、そんな顔役を候補に立てることにも躊躇しなさそうです。民意至上主義の本当の恐ろしさはこれからかもしれません。

> 通りすがりさん

いただいたコメントは拙エントリとは趣旨が違うようですのでコメントは控えます。
2009/07/22(水) 21:19:26 | URL | マシナリ #-[ 編集]
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http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-325.html 経由 http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20090722/p2 こうした「自治」「侠客」「自警団」や独特の仕来たりで生きている職人階層の功罪については一概に言い切れない面も大きいですが、ただし、「地域(地縁血縁の共同体)
2009/07/23(木) 08:13:21 | すなふきんの雑感日記