2009年04月26日 (日) | Edit |
kumakuma1967さんのところで言及いただきまして、kumakuma1967さんのおっしゃる「フロンティアの消失」というのがいまいちピンとこなかったのですが、いただいたコメントをヒントに考えてみました。

たとえば、医療/介護は90年代くらいまではまだフロンティアと考えうる状態だったと考えています。
道路の建設は、フロンティアに向けて行われる限り、「現在の交通量」を問題にされる事はありません。交通容量予測なんぞ当たる方がおかしいですよ。投資ってのは半分以上が無駄でも一割の投資が10倍になれば許される類のハイリスクな話ですから。
中央道は長野山梨岐阜の山間地の0.5haの狭小農地が「裏作だけで」三世代世帯の生活に十分な現金収入をもたらしていたりします。(裏作が小麦から苺/花卉/生鮮野菜に変化できた)これは80年代のフロンティアで上がった成果だと思いますよ。
■[society]カイカク派と既得権益って対立してるの?コメント欄 kumakuma1967 2009/04/24 09:03」(くまくまことkumakuma1967の出来損ない日記


おそらくkumakuma1967さんの想定するフロンティアというのを、役所の「予算フロンティア」とでもいうものと読み違えてしまったのが行き違いの原因になってしまったように思います。現時点での理解ですが、kumakuma1967さんのエントリの趣旨は、既得権益を削らなければカイカクといえないという風潮を作ったのが土光臨調のギョーセーカイカクに端を発すると考えると、現在のカイカク派は、1990年代以降定着したそのプロットに従って行動しているに過ぎないということなのかなと。

その点で、kumakuma1967さんが指摘されるような中央道が中山間地にもたらした便益が、政府の政策が開拓したフロンティアだったという認識が当方にはあまりありませんでした。確かにそういう意味でのフロンティアというのは、特に世の中をコーゾーカイカクが席捲した1990年代後半以降はほとんどないように思いますね。既得権益の打破と行政のムダの排除によって景気回復を唱えたコーゾーカイカクがフロンティアを消失させたということであれば、なんとも皮肉なものです。

一応こちらが想定した「予算フロンティア」とでもいうものをご説明させていただくと、役所的な感覚ではやはり予算のシーリングがフロンティアとなってしまうので、こちらからのコメントで

「既得権益のない部門は将来にわたって何もできない」という制度が整っていた」というのはスクラップ&ビルドのようなゼロサム型予算のことかと思います
■[society]カイカク派と既得権益って対立してるの?コメント欄 マシナリ 2009/04/22 08:26」(くまくまことkumakuma1967の出来損ない日記

などと反射的に反応してしまいました。

というのも、役所の中でのスクラップ&ビルドというのはまさに土光臨調以来徹底されておりまして、新たな行政需要に応えるための組織なり事業予算を拡充するときには、そのためのスクラップ財源を確保する必要があります。有り体に言えば、身内から人身御供を差し出さない限り「予算フロンティア」を開拓することができません。

例えば、毎度のhamachan先生ネタですが、国土交通省が観光庁を設置するために船員労働委員会を廃止する方針を打ち出した(実際にそうなりましたが)ことについて、

>というわけで、濱口教授の 「もしかして、件数も少ないんだし中労委で一緒にやってよ、ということだとすると、その組織財源は中労委に持ってきていただくのが筋のような気がいたしますね。」 ( 船員労働委員会の廃止?(EU 労働法政策雑記帳(6/29付)))とのご懸念どおり、スクラップ財源に利用して事務はぶん投げるという方針の模様。まぁ、エクスキューズとして定員はなんぼか中労委事務局に振り替えるんでしょうか。ともあれ、また先生のぼやきが聞ける…とか不謹慎にもワクテカしてしまったり(笑)。

http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary0708.shtml

いや、今さらボヤきません。そういうことだろうなあとは思っていましたし。なんちゅうか、労働省設置当時に他省と権限を取りあった業務は、炭鉱といい、船員といい、歴史の流れの中で、当該他省の組織財源として移ろっていくものばっかりですなあ、とモソモソ呟いてみるばかりです。
今さらボヤきません(2007年8月14日 (火))」(EU労働法政策雑記帳
※ 強調は引用者による。


というように、ギョーセーカイカクが目的になってしまうと新たな行政サービスに対する需要が発生すれば必ずどこかの行政サービスが削られることになるので、kumakuma1967さんのエントリを「予算フロンティア」と読み違えてしまいました。

というわけで、kumakuma1967さんは「問題は「フロンティアの消失」の方にあるかと。」とおっしゃるのに対して、役人的には「これでまた少数の方を対象にしたサービスが潰されていくんだなあ」という方が気になってしまうわけです。それを加速するのがチホーブンケンであったり規制緩和であって、だからこそ現在のカイカク派は表向き新自由主義を批判しながら、自らは新自由主義路線まっしぐらであることに気がつかないのかもしれないなあとも思ったり。
とりとめがなくてすみません。



話は変わりますが、kumakuma1967さんの最新エントリのこのフレーズは大変に射程の広いものですね。

酔って裸になったのは、実は君たちじゃないのか?
■[society]最低の行為とは(2009-04-26)」(くまくまことkumakuma1967の出来損ない日記


この国のマスコミは存在の当初から酔っぱらっていたようなものでしょうが、最近は酩酊状態だと理解すべきなんでしょうかねえ。
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