2009年03月29日 (日) | Edit |
もうだいぶ前のエントリになってしまいましたが、hamachan先生が改めてチホーブンケン教の本末転倒ぶりを指摘されています。

本ブログの方針として、新聞報道だけであれこれ書かないことにしているのですが、連合が昨日早速事務局長談話を発表しているので、それを紹介しておきます。

http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/danwa/2009/20090324_1237890166.html

>昨年12月8日に地方分権改革推進委員会がまとめた「第 2次勧告」は、ハローワークの漸次縮小および地方への移管、都道府県労働局をブロック機関化し地方厚生局と統合することを求めていたが、今回の工程表にはこれらは盛り込まれなかった。厳しい雇用・失業情勢が続き、労働行政の役割の重要性が高まる中で、当然の判断である。

これはもう、誰が考えても、いまこの時期にそんなもの打ち出したらどうなるか、常識のある人ならわかるはずのものです。
(略)
まあ、現実の具体的な中央省庁の出先機関がどれだけきちんと仕事をしていて、あるいはしていないか、というところから出発するのではなく、チホー分権という絶対真理を実現することが自己目的化した方々が多すぎたということでしょうか。

各分野の出先機関の統廃合の是非はそれぞれにそれぞれの分野ごとに吟味して、必要があれば断行すればよいのであって(まさに必要がある分野もあるのでしょうから)、これをもって、脊髄反射的に「骨抜き」とか書いてしまう一部マスコミの単細胞も猛省が必要ですが
出先機関改革に係る工程表への連合談話(2009年3月25日 (水))」(EU労働法政策雑記帳
※ 強調は引用者による。


その地方分権改革推進本部がまとめた工程表が先日Web上にアップされたようで、これが見事な官庁文学にまとめられています。特にこの辺りを一読して理解できる方がいれば、その方はかなりの霞が関通ではないかと。

5 改革大綱策定後の取組み

ア 改革大綱の策定後、政府は、事務・権限の見直しや地方公共団体への移譲等のため必要となる措置、組織の改革及び地域との連携・ガバナンスの確保の仕組みの詳細設計、人員の移管等のために必要となる措置等についてさらに具体的な検討を進め、新たな出先機関の体制の発足に向け、法制上及び財政上の措置を含めた所要の措置を講ずる

イ 事務・権限の見直しや地方公共団体への移譲等及び新たな出先機関の体制への移行は、この工程表の策定後おおむね3年程度の移行準備期間を設けて実行に移すこととし、平成24年度から実施することを基本とする。その間においても、可能なものは、速やかに実施する
このため、所要の法律の制定・改正については、必要に応じ一括して行うこととし、改革大綱の策定後、速やかに法制化の検討を進める
資料1 出先機関改革に係る工程表(案)(注:pdfファイルです)」(地方分権改革推進本部(第6回)議事次第
※ 強調は引用者による。


こういう官庁文学を読むときには、「等」の位置と述語の使い方に細心の注意を払ってみると、この表現に行き着くまでに何があったかを想像することができます。例えばアについては、「~等についてさらに具体的な検討を進め」というところで、直前に列記した項目はきちんと踏まえますよという宣言をした上で、「~に向け」、「~を含めた所要の措置を講ずる。」として、具体的なことはこれからだけどそれに向けてこれから明らかになるであろう「所要」の措置は講じますよという見事に前向きな書きぶりになっているわけです。
さらにイでは、「可能なものは、速やかに実施する」とまで言い切ってますし、また「速やかに法制化の検討を進める」と、少なくとも検討することだけは確実に行われることになっているんですね。

こうしてみると、この官庁文学が政府のこれからの活動をかなり縛っていることが分かると思います。その上で、具体的な検討内容や実施内容については最低限必要なことから確実に実施しましょうという、実に現実的かつ誠実な態度を示したものであることは評価すべきだと思います。

もう少しぶっちゃけていえば、始めに結論ありきでカイカクを迫る政治家や市民のみなさまのメンツを保ちつつ、結果的に拙速な改革に走ってしまうことを避けようとする官僚の精一杯の歯止めがこの官庁文学を生み出しているのであって、それを「改革の後退」とか「骨抜き」としか読めない(読もうとしない)マスコミとどちらが国民のためを考えているのかは一目瞭然だと思うのですが。

この点については、権丈先生が

「両論併記が目立つ」とか「明確な結論が見あたらない」と書いている新聞もあるけど、それは、読解力の問題だ――いや、官僚のねらいどおりの解釈(笑)。複数のプリンシパルに仕えなければならず、それはそれなりに立場があって、最後の手柄は政治家に残していなければならない彼らがまとめる報告書の文章を、(責任のある立場にない)政治家や利益集団、そしておっちょこちょいの研究者集団が書く政策提言書と同じ読み方をしていては、ただの無能の評価を受けるだけ
勿凝学問222 民主主義における力・正しさ・情報の役割――「高齢者医療制度検討会」における「ポンコツな医療保険」発言以降考えていること(2009年3月21日)(注:pdfファイルです)」(http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/
※ 強調は引用者による。


とおっしゃるように、いろいろな立場からの相矛盾する要求を入れながらある程度政府自らを縛り、それでも政策決定を通じた制度設計に慎重であろうとする官庁文学を読みこなせないマスコミの無能さを嘆くしかないのかもしれません。




ついでに、文字化けして読みにくいんですが、拙ブログの「中央集権っていつの話? (03/15)」というエントリに、「今日の論点!by 毎日jp & Blog-Headline+:道州制と地方分権改革 by Good↑or Bad↓」というところからトラバをもらっていました。

「毎日jp」内の勝間氏の記事をネタにしたエントリだったのでトラバもらったんだろうと思いますが、先ほど確認してみたところ、Goodが170pt、Badが-5ptで合計165ptとなっているようでした。そのほかの投票数の多いブログを拝見する限り、そちらと比較すれば思いのほか拙ブログのBadが少ないので、少しは道州制の無理筋ぶりがご理解いただけたのかなと安堵した次第です。

まあ、拙ブログへの投票自体が低調ですので、チホーブンケンそのものに否定的なブログにはあまり関心が持たれていないというだけのことなんでしょうけどね。




(追記)
引用させていただいたhamachan先生のエントリで指摘されているような西尾先生の葛藤ぶりについては、拙ブログだと「手段の目的化(前編)2008/10/24(金)」と「手段の目的化(後編)(2008/10/25(土))」で取り上げさせていただいておりました。

第一次チホーブンケンカイカクの旗頭であった西尾先生も、もしかするとそのうち、

「「チホーブンケン」は悪魔の思想だ!!広がる格差、止めどない環境破壊、迫り来る資源不足。すべての元凶はチホーブンケンそのものにあった!「チホーブンケン」の旗手と言われていた著者が、いま悔恨を込めて書く懺悔の書。」
(ネタ元)

資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言
(2008/12/15)
中谷 巌

商品詳細を見る


なんて本を書いてしまいたい心境なのかもしれませんね。もちろん、今の西尾先生のお立場と世論の中でそんなことはできないでしょうけど。
スポンサーサイト


コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック