2009年01月15日 (木) | Edit |
前回のエントリの自己レスなんですが、コメント欄では説明が足りなさそうなので再録しつつ補足させていただきます。

HALTANさんにトラバいただきました(お気遣いさせてしまったようですみません)。

> だからこそ拙ブログでも「(A)国家に真っ当なマクロ政策を要求→完全失業率低下→(B)社会保障などの組み直し」という二段階作戦を提唱しているのですが、残念ながらここを真面目に読んで頂けている形跡は余りない。

派遣村を主催した(らしい)派遣ユニオンこそが真っ先にこのことを要求するベストポジションにいたにもかかわらず、霞ヶ関叩き・クレクレ厨に自らの活動を矮小化させていたのが象徴的ですよね。

ただ、自らのキャパを顧みることなく人を集めておいて、面倒見切れないから役所が面倒見ろというやり方には釈然としないものの、hamachan先生がおっしゃるように、日比谷公園という厚労省の目の前で開催したのは戦略的に大当たりだったと思います(どこまで意図したものか怪しいところですが)。

もちろん、それはあくまで目の前の政治家や役人を動かすという戦略についての話であって、マクロ経済を改善する戦略としてはかえって逆効果だろうというのがこのエントリのテーマでもありますし、HALTANさんの憤りの原因だろうと思います。個人的には、日銀の前で「年越しリフレ村」とかいってあれをやったらちょっと見直してしまうかもしれませんけど。

それはさておき、そもそも、
「景気後退→経営悪化→人件費削減→非正規社員の雇い止め」
という因果関係は遡及不可能なものであって(だからこそ因果関係というんだし)、これをバックワードに反転して解いていったところで、
「非正規社員の雇い止め禁止→人件費増加→経営改善→景気回復」
なんてことにはならないとか、いちいち説明しないといけないところが絶望的です。

因果関係の帰着である「非正規社員の雇い止め」を反転させるためには、因果関係の連鎖の順序はそのままに各要因を反転させて
「景気回復→経営改善→人件費増加→非正規社員の雇い入れ」
とするしかないんですが、問題は、左派だけでなく野党をはじめとした政治家や労働に興味のない経産省あたりの官僚、地方自治体の中の人(首長、議員、職員)といった制度を司る部門が、これを正面から議論するだけの法律的・経済学的リテラシーに欠けるところなわけでして、どうにも話の順序が逆なんですよねえ。
2009/01/14(水) 00:31:45 | URL | マシナリ #- [ 編集 ]
内定取り消しとか雇用対策とか2009/01/09(金)コメント欄


この自己レスに再度HALTANさんのところで言及していただきました。

また、これもいつも書くように、新聞社・TV局・出版社は今の自業界の苦境がマクロ政策を真面目に語ってこなかった自分たちの自業自得であることにまだ気づいていないのかなあと・・・。こうした現状で派遣村ネタで盛り上がっているセンスというのはちょっと絶望的なものを覚えるんですけどね(まあこんなネタで遊んでいる暇にも新聞社・TV局もますます苦しくなるだけでしょうから別にいいんですが)
[床屋政談]「派遣村」余聞 珠ちゃんに「東大博士課程中退」のノンセクト活動家は理解可能か?(2009-01-14)」(HALTANの日記


マスコミが望む(煽る?)ことが「流動性の供給」なしに実現できるとは考えられない以上、叩く相手(制度)を間違っているとしかいえませんし、そもそも叩くだけではなくより有効な政策についての議論を喚起することこそがこのような非常事態における彼らの使命なはず。昨日のコメントでは書き漏らしてしまいましたが、その点も絶望的なんですよね。

念のため補足しておきますが、このコメントで

 非正規社員の雇い止め禁止
→人件費増加
→経営改善
→景気回復

とした点については、「人件費増加」が家計消費を押し上げて景気回復につながるということは考えられるので、それを考慮すれば、

 非正規社員の雇い止め禁止
→人件費増加
→『消費拡大
(→経営改善)
→景気回復

ということはいえないこともありません。連合も

1.要求と取り組みの考え方について
  (1) 取り組み全体の考え方について
   [1] 春季生活闘争の取り組み姿勢と機能強化
    ア)マクロ経済を内需型経済へ転換するため、賃金をはじめとする労働諸条件の改善と、格差の是正、底上げに向けた春季生活闘争を強力に展開する。
II.2009春季生活闘争の推進(第54回中央委員会/2008.12.2)」(日本労働組合総連合会(連合)ホームページ


と主張しているわけですが、もっとも重要なのは、「人件費増加」の前に「流動性の供給」が実現されなければ人件費の原資が確保できないということであって、それこそがマクロ経済政策によって手当しなければならないことだと思います。

つまり、

 非正規社員の雇い止め禁止+『流動性の供給
→人件費増加
→『消費拡大
→経営改善
→景気回復

という経路でなければ、連合が主張するような「内需型経済」なるものは実現できないというべきであって、いくら規制を強化しようが、「流動性の供給」という大事なキーポイントを欠いていては迂遠な方策によって限られた効果しか得られないわけです。さらにいえば、「非正規社員の雇い止め」を禁止して「人件費を増加」させることが「経営改善」につながるとは考えにくい以上、それが生産性を向上させて成長率を押し上げるかどうかも疑問が残るところで、連合などの労働組合や左派の方々は、それが本当に自分たちの望むものなのか真剣に検討する必要があるでしょう。というか素直に

 景気回復
→経営改善
→人件費増加
→非正規社員の雇い入れ

としたほうが効果的だろうという話です。

その意味で、彼らの主張も惜しいところは突いているのに、その先が「反新自由主義、反霞が関、反規制緩和」に矮小化してしまうのがもったいないと思うのです。

まず実行委員会からのアピールが、関根書記長から行われました。「この事態は国の政策のミスである。派遣労働者、期間工が次々に雇い止めにされ、わずか三か月の間に大量失業が発生する、などという現状は、以前ならばありえないことだった。規制緩和で働き方のルールをどんどん悪くされてしまった。まさに『雇用災害』であり、これは人災である。実際の施策は都や区によって行われることになるが、国の政策のミスの結果なのだから、国が救済すべきであり、国が調整窓口をつくるべきである。しかし国はこの間、何もしてこなかった。何もしないまま、なかまとボランティアで支え合ってなんとかつくってきた村を追い出されるなどということはできない。」
そして棗弁護士から5日以降の見通しとして、厚労省がある程度の食住を提供しそう、しかしまだ派遣村で夜を過ごす全員の食住の確保には至っていない、との解説がありました。
4日の村民集会(2009年1月 4日(日) 16:24 JST)」(日比谷で年末年始を生き抜く。-年越し派遣村-
※強調は引用者による。


「国」の責任をいうなら政府と日銀が含まれるはずで、「反本石町」も追加しておけばもっと実効性のある金融政策が実施されたかもしれないと思うのは思い過ごしでしょうか・・・
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コメント
この記事へのコメント
すなふきんさんにトラバいただきました(亀レスですみません)。

> 経済学的リテラシーというよりも、ある意味常識的な感覚を持っていればこの程度のことは世間知レベルでも理解できると思いますが、なぜか倫理的というか宗教的とも言うべきある種の信念が強い人たちが多いみたいで、どこかで歯車が狂ってしまってるように感じられてしょうがないです。

すなふきんさんがおっしゃるとおり、世間知でも十分理解できることがなかなか理解されないことが不思議なところでして、蓋し自分のような単純な頭では思いもよらない深遠な配慮があるのかもしれません。

というより、「世間知」なんて生易しいものははじめからなくて、「倫理的というか宗教的とも言うべきある種の信念」しかないような気もします。その倫理観に背く(ような気がする)ものはすべて認めないという態度がまずあって、その結果として「世間知」と揶揄されるレベルの議論しかできなくなっているというほうが、まだ理解しやすいですし。

その「倫理的というか宗教的とも言うべきある種の信念」がどこからきているものか、それをどうやって克服すべきかということを議論しなければいけないのかもしれませんが、あまりに問題が大きすぎてよく分からないというのが正直なところです。
2009/01/17(土) 17:11:26 | URL | マシナリ #-[ 編集]
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2009/01/15(木) 07:49:26 | すなふきんの雑感日記