2008年11月25日 (火) | Edit |
すなふきんさん経由のanhedoniaさん経由で、とある地方自治体のアイディアが秀逸な件について。

 かつては十数戸あった集落が、過疎・高齢化の進行により1世帯3人にまで減ってしまった畑地区において、この地に移住し、自活自立に挑戦しながら自治会長(区長)として頑張っていただける方を全国から募集します。

 条件が厳しくとも、この場所だからこそ成り立つ生活スタイル、また、ビジネスや経済活動が必ずあるはずです。

 今回は、この地で何らかのビジネスや経済活動を営みながら、集落の一員となり、消滅の危機に瀕している集落を救ってくれる方を募集します

 あなたの力で、集落を再生・活性化させてみませんか!

 以下の募集要項をご参照の上、積極的にご応募ください。
おーい 誰か自治会長をやってくれませんか?「京丹後市丹後町畑地区自治会長を全国から募集します」(2008年11月19日)」(京都府京丹後市


「今回は」というのがかなり気になりますが、こちらの市長さんは総理府のキャリアですね。

 京丹後市のもつ魅力はまだまだ語り尽せませんが、「丹後王国」や先人たちが残してくれた自然環境・遺産や歴史・文化など、新しい時代に求められる魅力、宝を本当にふんだんに有しています。私たちは、このような新しい時代の価値を豊かに育み、日本全国にこれらを魅力的に発信することのできる、そして、住み、訪れる人々には「お互いに生かしあい、支えあい、たすけあって生きる」風にあふれる、笑顔と喜びの『まほろば』・『新・丹後王国』の創造をめざしてまいります。

京丹後市長 中山 泰
市長プロフィール」(京都府京丹後市
※ 強調は引用者による。


「お互いに生かしあい、支えあい、たすけあって生きる」というスローガンを掲げる市長と、それを疑うことなく全うしようとする市職員の熱意と情熱がここに結合したようです。

こういう「無能な働き者」らしい市長さんは、「総合戦略課」という部署を置き、キラリと光るアイディアで実績を上げた「無能な働き者」のやり手職員をかき集めて、日々市民の声に耳を傾けていたに違いありません。そして、地元のことを一番わかっている自治体が考えついた成果が、例えば冒頭のぐっどあいでぃあ(※1)なんでしょう。

市長「限界集落からまた人が出て行ってしまったな。何とかならないか(というか、何とかしなければ選挙でカッコがつかないなあ)。」

部長「市民の声を聞いてみるというのはどうでしょう。その中で何かいいアイディアがあるかもしれませんし、市民の声を吸い上げることが地方分権につながります。まずは早速アンケートを実施してみます。」

職員心の声「(アンケートやってみたけど、あまり限界集落に関係ある意見はなかったな。でも、市長と部長の肝いりだし、何かやらないとまた何か言われるし、俺のやり手職員のプライドにも傷がつく。あ~あ、誰かU・Iターンとか来てくれないかなあ・・・あ、そうだ! ただU・Iターンするだけじゃインパクトがないから、『自治会長募集』とかいってみたらおもしろいそうだ!さすが俺!)」

職員「部長、スローライフの見直しという流れの中で、これからは地域の連帯や共生がキーワードになると思います。地域の連帯の要といえば自治会長なので、これを公募すれば必ず応募者がいるはずです。さらに、何かビジネスモデルを実践することを条件にすれば、住民も増えて地方分権もできてビジネスも成り立って一石二鳥、いや一石三鳥です!」

部長「それはぐっどあいでぃあだ!早速市長にお伺いしよう」

市長「よし、それで大々的にPRして広く公募するように(そうすればマスコミにも取り上げられて、選挙でカッコがつくし)。」

※ 勝手な想像です。


という思惑が錯綜する様が目に浮かびます。

勝手に想像しておいて突っ込みを入れるというのも気が引けるけど、実態もおそらくこれと大差はないはず。自治体の首長とか職員が考えていることってのは結局自分の地域のことだけであって、それは「他の地域がどうなろうが、その地域に住んでいる人がどうなろうが、自分の管轄地域さえなんとか体裁を整えていればそれでいい」というエゴに過ぎない。それをもっともらしく言い換えたのが「地域のことは地域で決める」という地域セクショナリズムなんですが、行政の縦割りとか批判する人に限ってこういうところにルーズ(※2)だったりするのがなんとも・・・

このぐっどあいでぃあは問題の設定の仕方、それに対する処方箋の実施方法、どれをとっても「究極の自己中心主義」でしかないんですが、それこそがチホーブンケンにほかなりません。さらに、そのぐっどあいでぃあを考え出した過程そのものが悪しき民主主義の典型ともいえるわけで、つくづく「地方自治は民主主義の学校」とはよく言ったものですな。



※1 ぐっどあいでぃあの内容については、上記のすなふきんさん、anhedoniaさん経由のThscさんのご指摘に付け加えることはありません。
※2 縦割りが例えば、柔軟で適切な対応を阻害したりムダな公共事業をやっているという原因になるという批判は受け入れやすい一方で、地域セクショナリズムが他の地域の住民の便益を奪っていたり負の外部経済性をばらまいていたりすることには、あまり表だった批判はありませんよね。
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