2008年11月13日 (木) | Edit |
ここ数日地方分権チックな話題が目白押しなんで、とりあえずメモ代わり。

 大阪府の橋下徹知事は12日の定例記者会見で、京都、滋賀、三重の3府県知事と建設反対の意見を表明した大戸川ダム(大津市)に代わる治水の具体策について「府県側からは提示しない」と述べ、河川管理者である国土交通省側からの反論を待つ方針を示した。
(略)
 天ケ瀬ダムなどの詳細なデータは「滋賀県の嘉田由紀子知事が持っている」とし、具体的な裏付けがあるとした。

 4府県意見に対し、国土交通省側が具体的なデータを示して反論することも予想される。橋下知事は「先にデータを提示すると、国が前提を変えたデータを出して(議論を)ひっくり返すことがこれまでもみられた」と警戒。このため府県側から先に具体策を発表せず、国・府県間の協議が本格化するまで「手持ちのカードは残しておく」考え。
NIKKEI NET(日経ネット)「大阪府知事、大戸川ダムの代替策「府県から出さず」(更新:11月13日)」


「具体的な裏付けがあるとし」ているわりに、前提を変えたデータごときでひっくり返されるような反対意見ってそもそもどうよ?と思うのは、俺が下っ端チホーコームインだからなんでしょう。民主主義の選挙で選ばれた知事さんたちはには、俺ごときには見えない現場をご覧になっているに違いありませんから、チホーコームインなんぞがそのご見識を理解できるはずもありません。

 大阪など4府県知事が大戸川ダム(大津市)の建設中止を事実上求める共同意見を発表したことについて、大阪府の橋下徹知事は12日、「国は机上で超理想的な治水の話をしている。国や役人は計画にこだわるが、僕らは現実に府民や県民の状況を見て、できることを順番にやっていく」と国を批判。共同意見にあらためて理解を求めた。

 また近畿地方整備局が「ダムを中止するなら周辺整備の予算は出せない」と主張していることには「近畿整備局には民主的コントロールが及ぶヘッドを置くべきだ。『ダムがなければ後は知りませんよ』と言えば、政治家なら(選挙に)落ちる」と批判した。
47NEWS(よんななニュース)「橋下知事「国は机上で超理想論」 ダム建設で(2008/11/12 11:52)」


「机上で超理想的な」話じゃなくて、「現実に府民や県民の状況を見て」いるわけですからさすが現場主義は違いますね。

と思ったら、こちらは弁護士知事さんのところじゃなくて、叩き上げ知事さんのところですが、

 「知事は自分のマニフェストの達成と、住民の命を引き替えにするつもりか」。大戸川にほど近い自宅で、ダム対策協議会の南部正敏会長(67)は怒りをあらわにした。

 南部会長は、ダム計画のきっかけとなった1953年の水害を目の当たりにしている。「堤防が決壊して、家の前が一面、白い海のように水浸しになった」。災害を繰り返さないよう、ダム建設を推進してきた。
京都新聞「ダム翻弄、苦渋40年 大戸川中止要望 地元住民、落胆と怒り(2008年11月12日(水))」


・・・あれ?

そういえば、大阪府のお隣の旧自治省知事さんは、

 井戸知事は東京都内で12日夕、「反省し、おわび申し上げたい」と謝罪したが、「一極集中が進む東京での大災害に事前に備えることが関西復興の一つの方途。発言の真意を理解してもらいたい」と釈明するにとどまり、発言そのものは撤回していなかった。

 この日の記者会見で井戸知事は冒頭、「『チャンス』という言葉が県民をはじめ、多くの皆さまに誤解を与え、ご心配をおかけしていることを心からおわびします」と謝罪。さらに、「今まで撤回という言葉に少しこだわっていた」と心境について語り、批判が相次いだことに「このようなことになろうとは夢にも思っていなかった」と述べた。

 また、「東京を中心とする関東の方には発言を巡り、大きな心配をかけてしまった」とも話し、辞職については、「(震災復興などに)先頭に立って取り組んできた自負がある」と否定した

 発言は、11日に和歌山市であった近畿ブロック知事会議で、関西経済活性化を巡る議論の最中にあった。13日午前までに県庁には抗議を中心に電話やメールが800件以上寄せられた。
YOMIURI ONLINE(読売新聞)「兵庫・井戸知事「震災チャンス」発言を撤回(2008年11月13日)」


旧自治省の方々のご活躍ぶりは目を見張るものがありますが、近畿ブロックといえば、道州制の推進にも力の入っているところですし、つい本音が出たなんてことではなく、現場をご覧になっているからこそのご発言なのでしょう。

でまあ、日銀によるシニョレッジが期待できない中で、政府が財政政策として埋蔵金を使って総需要を喚起しよう(※1)というナントカ給付金でも、常々現場をご存じとおっしゃる首長さん方に大役が回ってきたそうで、皆さんさぞ武者震いされているところかと。なんと言っても「現場のことは現場が一番わかっている」からこその補完性の原理ですからね。

 政府・与党が12日、景気対策として1人当たり1万2000円を支給する「定額給付金」の概要を決め、所得制限を設けるかどうかを市区町村の判断を委ねる方針を示したことに対し、県内の首長からは「国は無責任だ」との批判や戸惑いの声が聞かれた

 甲斐市の保坂武市長は「制度自体を国が決めたものなのだから、国が責任を持って給付基準を決めて実施すべきだ。そうでないと自治体側が混乱してしまう」と批判。「判断が分かれた場合、自治体によって不公平になってしまうこともあり得る」と述べた。

 早川町の辻一幸町長は「本当に景気浮揚効果があるのか。財源の2兆円を経済の立て直しに使った方がよっぽど有効で、ザルに水をかけるようなものだ」と疑問を示した。山梨市の中村照人市長は「基準をどこにおいていいか分からず、無責任だ。市町村に委ねられても困る」と国の姿勢を批判した。

 一方、甲府市の宮島雅展市長は「現段階ではコメントできる状況ではない」と慎重な姿勢。富士河口湖町の渡辺凱保町長と山中湖村の高村忠久村長も「国から正式に連絡が来てから話したい」とした。甲府市のある職員は「判断が一番難しい部分を自治体に投げてきた。政府は責任を放棄している」と憤りを隠せない様子だった。

YOMIURI ONLINE(読売新聞)「定額給付金の所得制限判断 自治体「迷惑」(2008年11月13日)」


・・・あれれ??




※1 「ヘリコプターマネー」といってバラ撒きだと批判されている方がいらっしゃいますが、「ヘリコプターマネー」の意味は、金融政策が擬似的に所得再分配的に機能することで、総需要が拡大して景気が好転するという経路を比喩的に表現したものかと思ってましたが違うんでしょうか?
バーナンキ本人はそんなこと言っていないらしいですし。
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コメント
この記事へのコメント
すなふきんさんにTBいただきました。
(引用がなかったのはわたくしのタイポの多さにあきれられたのかも・・)

> 地方自治・分権に関しては各メディアともほぼ翼賛的に分権推進・国の干渉ノー!といった立場に偏っているように思える。なぜこうなってしまったのかについてはよくわからないところはあるが、少なくともこの分野においては国論は「統一」されてしまっている、と解釈していいのだろうか。

これは前回TBいただいたエントリにもつながるように思いますが、不況の原因を「旧態依然」とか「既得権益」を連想する制度や組織といったものに求めようとする意識があるんではないかと。

いつのころからか「旧態依然」、「既得権益」といえば霞ヶ関・官僚の代名詞になってますから、一般の方に訴求する「諸悪の根源」としてわかりやすいんですよね。それに対比してみると、日銀だと「日銀法改正で悲願の独立性を獲得」していて改革的で、地方自治体だと「改革派知事や構造改革特区で先進的な自治を実現している」というイメージがあるようです。あくまで公的セクター内での霞ヶ関・官僚との比較ではありますが、批判されにくい状況にはあると思います。

まあ日銀、地方自治体の実態なんてのはそのイメージとほぼ正反対くらいにかけ離れているわけですが、そのイメージを垂れ流しているマスコミとか政治家に言わせれば、実態ではなくイメージこそが一般の方が求めているものなんでしょうし。

堂々巡りですねえ・・
2008/11/15(土) 00:45:10 | URL | マシナリ #-[ 編集]
すなふきんさんに連続してTBいただき恐縮です。

> ついでに言えば、今の自民党内の混乱の原因のひとつとして小泉時代の政治的分断政策が関係してるんじゃないかと思うのですが、責任は全て後任の首相のせいにし、それどころかどこかで小泉的なものを再び待望する気分がメディアにも世論にもあるのではないでしょうか*4。
> *4:地方の首長選挙でも依然「改革派」を名乗ることが絶えないわけで。

確かに「分断統治」ってのは、統治される側が勝手にいがみ合うことで統治する側に不満の矛先が向かないという、統治する側にとってはまことに都合のいい支配体制ですよね。その味を知ってしまった政治家にはまともなアジェンダセッティングなんかもはや期待できません。

統治される側の不満の矛先も単に「変える」こと自体に価値を置いてしまっていて、どう変わるかってことが二の次になってしまっているように思います。プロジェクトマネジメントなんかではよく「現実とあるべき姿のギャップを埋めていくことが問題解決だ」という話をしますが、その「あるべき姿」という問題設定自体が一番難しいはずなんであって、そういう話はなかなか意識されませんね。

http://www.academyhills.com/gijiroku/19/98_3.html
(これって、まんまゴース=ワインバーグ『ライト、ついてますか-問題発見の人間学』の冒頭のトピックスなんですが、出典書かなくて大丈夫なのかな?)

昔の革新自治体と言えば左派の牙城だったのが今では極右的な「改革派」が多いというのも、誰も改革(問題設定)の中身なんか気にしてないことの現れなのかもしれないと思ったり。
2008/11/16(日) 22:38:28 | URL | マシナリ #-[ 編集]
自己レスが重なってお見苦しいですが、先のコメントに補足。

すなふきんさんのおっしゃる「分断」は政権ごとに政策を分断して責任を回避するというようなことかと思いますが、それも支持者の関心を自分ではない誰かに惹きつけるという点で「分断統治」といえるのではないかと、勝手に論を継がせていただきました。

すなふきんさんのご見解に対抗させるものではないので念のため。
2008/11/16(日) 22:49:24 | URL | マシナリ #-[ 編集]
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http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-256.html 地方自治にまつわる近頃のメディアの論調を見ていると、とにかく国のやることは何でも気にいらない、というニュアンスのものが多いような気がするが錯覚か。大戸川ダム建設の報道についても専ら地方側の論理が常に「正
2008/11/14(金) 08:05:42 | すなふきんの雑感日記
http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-256.html#comment いつのころからか「旧態依然」、「既得権益」といえば霞ヶ関・官僚の代名詞になってますから、一般の方に訴求する「諸悪の根源」としてわかりやすいんですよね。それに対比してみると、日銀だと「日銀法改正で
2008/11/15(土) 10:29:40 | すなふきんの雑感日記