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2008年10月19日 (日) | Edit |
このニュースがなぜこのタイミングで一斉に取り上げられるのかよくわかりませんが、なにやら大騒ぎになりそうです。
もうちょっと詳しい話はまた後で書くかもしれませんが、とりあえずメモ代わり。

 会計検査院が12道府県の経理状況を調べたところ、総額約15億円の不正経理が見つかった。うち約9億円は国土交通省、農林水産省の補助金や委託費で、年度内に使い切れなかった予算を外部の業者に預けるなどしていた。最も多かったのは、愛知県の2億数千万円だった。検査院は今後、他の都府県についても調査を進める方針だ。
(略)
 検査院によると、不正経理の主な方法は、外部の業者に支払って管理させ、物品は必要な時に納品させたり、いったん支払って役所に戻させて管理したりする「預け」と呼ばれる手口。年度内に使い切れなかった場合、それぞれの自治体や国に返還しなければならないため、業者に一括発注したように伝票を操作し、資金を業者に保管させ、年度をまたいで使用していた。「預け」は以前から指摘されていたが、今回の調査で依然として自治体で行われている実態がわかった。

 このほか架空の出張で資金を作る「カラ出張」や、非常勤職員の人数を水増しする「カラ雇用」も見つかった。旅費など県で負担すべき費用の科目を変更し、国の補助金で支払う「はり付け」も行われていたという。
asahi.com「12道府県で不正経理15億円 未消化予算をプール(1/2ページ)」(2008年10月18日12時26分)


これは2年ほど前の岐阜県不正資金問題のときに書いたとおりですが、

ただし、裏金問題が発生する背景をきちんと整理しなければこの問題を論じることはできないということは、一般の方々にもご理解いただきたい。裏金というのは、要は表だって使えないことがあるからそのための原資として存在する。つまり、裏金に対する需要があるからこそ、裏金としてプールして供給する必要があるのである

この点について、岐阜県の「プール資金問題検討委員会」による不正資金問題に関する報告書では、多少引用が長くなるが次のようにまとめている。

 このような不正な経理による資金づくりが行われた背景には,その要因として,一方で,正規の予算には計上できないが,当時の県の各所属の業務を遂行していくために必要と考えられていた費用(たとえば官官接待費用,土産代,予算措置が講ぜられなかった備品等の購入費用等)を捻出する必要性があったこと(資金づくりはこのような費用に充てるための必要悪という意識があったと考えられる),他方で,いわゆる予算使い切り主義の予算執行が行われていたため,予算を年度内に使い切る必要があったこと(予算を全額使わず,これを余して返還することになれば,次年度の予算が減らされる可能性が高く,また,その担当者の予算見積もりの甘さを指摘される可能性もあったこと)等の事情により,いわば一石二鳥的な発想で,このような不正な経理による資金が作られてきたものと考えられる。
不正資金問題に関する報告書(注:pdfファイルです)」(岐阜県・プール資金問題検討委員会、平成18年9月1日)

ここでは裏金(岐阜県の用語を使えば「不正資金問題」となるが)の需要として2点が指摘されている。つまり、

  1. 正規の予算には計上できないが,当時の県の各所属の業務を遂行していくために必要と考えられていた費用

  2. 予算使い切り主義の予算執行

である。しかし、2は制度上の運用の問題なので少なくとも制度上の改正は可能だろうが、1を根絶することは制度上も実務上もそう簡単ではない。1の内訳については12ページ以降の「費消内容」にまとめてあるが、「(2)職員の費消」は問題外として、「(1)業務に関連した費消(通常の予算では支出しにくいもの)」は、その標題のとおり通常の手続きでは支出しにくいか、緊急を要するのに支出に時間がかかりすぎるパターンがいくつか列挙されている。たとえば、(1)の10、11、12、18といった施設の細かい修繕費や、紙が足りなくなったり会議で使う封筒が足りなくなったりしたときの補充、さらには研究機関で必要になる研究資材や参考文献のような、事前に予測できない経費を予算化することに根元的な困難さがあるのである。組織別にみたときこの傾向がはっきりするが、学校や農業試験研究所のような小規模な組織において、所管の施設を持ちつつ研究したり会議を開催するとなるとどうしても不確定要素が大きくなるにもかかわらず、予算規模は組織に比例して小さくなるので、十分なバッファを確保することができない。その予算上のバッファの代替機能を裏金に負わせることになるのである。

もちろん、(1)の経費でも官官接待とか職員の残業時の弁当代なんてのはすぐになくすべきだし、上記の緊急の支出でも通常の手続きで対応できたものまで安易に支出したものもあるかもしれない。しかし、緊急の場合の支出手続きの不備のためやむを得ない支出までは、それが通常の制度上の不備に起因する以上その制度を前提とする限り解決できない
ところが、この報告書での「第9 再発防止に向けての提言」ではそういった制度面に踏み込んだ記述が一切ない。かろうじて「4 内部チェック機能の強化・充実」という項があるが、あくまで平成13年9月の「会計事務改革に関する基本的な方針」を前提とした審査・確認体制の強化、検査体制の強化といった会計事務のチェック機能と監査業務の充実という程度にとどまる。つまりここでいっているのは、制度の不備は職員個人の心がけや自助努力で防ぎなさいという責任転嫁である。すなわち、再び裏金問題が発生したときに組織としての責任が回避できるのである。困ったもんだな。

裏金問題とはいうものの(2006/09/09(土))
※ 強調は引用時。


こういう現場が理解されることはないでしょうから、当の自治体側ががこんなこと言えばまた叩かれるんでしょうな。

 和歌山県の仁坂吉伸知事は18日、取材に対して不正経理を会計検査院から指摘されたことを認めた。「補助対象以外に使ったものは返さなければならない」とする一方、「故意に裏金を作ったり、使い込みしたりしたケースはない」と話した。詳細は明らかにしていないが、返還総額は4千万円以上という。アルバイト賃金や道路完成式典への出張費などで対象外の業務に補助金を使っていた。

 京都府は18日、会計検査院の指摘額は計9740万円だったと発表した。出張や研修の旅費が7829万円で大半を占めたが、府は「国と見解の相違があり、正当な支出」と主張。ただし、指摘分の返還には応じるという。

asahi.com「京都府と和歌山県もずさん会計処理、会計検査院が指摘」(2008年10月18日)
※ 強調は引用者による。


というわけで、チホーブンケンで地域住民の意思を反映するために、政治家首長さんたちはこういう態度を取らざるを得ないわけですが、

 会計検査院の調査により、12道府県の国庫補助事業で不正経理が発覚した問題で、愛知県の神田真秋知事は18日夜、「大変遺憾」とした上で「真相をきちんと究明することが何より大切」と述べた。また以前から同県では裏金はないと発言してきたことについて「私の判断は間違っていたと認めざるを得ない」とし、陳謝した。県公館で記者団の質問に答えた。
時事ドットコム「「私の判断間違っていた」=国庫補助不正経理問題で-神田愛知知事」(2008/10/18-21:01)
※ 強調は引用者による。


その辻褄合わせってのがまたうちの現場にもくるんだよねえ。
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