2008年10月05日 (日) | Edit |
遅ればせながら以前のエントリの延長戦になりますが、本家のkikulogでもエントリが派生していて、またもや悩ましい事例が紹介されています。

5. としぞう ― 2008/10/3@13:58:21
http://www.news.janjan.jp/area/0810/0810018532/1.php
昨夜、このコメント欄のやり取りを見たので今日のきくちさんのエントリーが余計に切実感を持って感じられました。

「平泉を世界遺産にする会」と称して景観保護に取り組んでおられる方々がおられるようなのですが、そのサイhttp://www.geocities.jp/hiraizumi_keikan2000/に行ってみると、確かに書かれているのはEM散布だったり祈祷だったりというもの以外には見当たりません。しかし、そのことを指摘されると「平泉を世界遺産にする会」代表者の方らしい、記事の筆者は怒ってるようです。

こんなところにEMが出てくることにも驚きますが、それにしても「平泉を世界遺産にする会」の方々にはなんと言ってさし上げるのがよいのでしょうかね。

Owner Comment きくち ― 2008/10/3@14:55:44
コメント欄読みました。
そうですね、たとえばこういう話です。
 
山田さんがコメント欄で書かれているとおりで、「動機はわかるが、手段に意味がない」としか言えません。
しかし、それを指摘された側は「手弁当で真剣にやっているのに、文句を言うとはなにごとか」と怒っています。この時点で、目的は見失われているわけです。大事なことは「手弁当」でも「ボランティア」でも「真剣味」でもなく、本当に効果のある対策をとるためにどこまできちんと考えたのか、です。
その意味では、EMを使うこと自体が問題ですし、まして「祈祷」なんてことをしたってなんの役にも立たないことは自明ですから、山田さんが書かれているように、「真剣さが問われて」います。
 
問題は「本人は真剣なつもりである」が、しかし客観的に見て「真剣にやっているとは思えない」というその部分のずれでしょう。
たぶん、やっているみなさんは「EMはニセ科学だ」という言葉には金輪際耳を貸さないのではないかと思います。
 
EMの効果については保留という態度のようですが、そうだとすれば、なおのこと、「効果の有無がわからないことをやっている」わけですから、真剣にやっているとは言えないでしょう。
善意ほどやっかいなものはない、熱意ほど扱いづらいものはない(2008/10/3)」(kikulog


というような議論がさんざんされているのに、こういう記事が堂々と載る地方紙というのもいかがなものかと。

 近くを通る国道4号平泉バイパス整備の影響で根元付近に水たまりができ、樹勢が衰えたという。04年夏から青葉が落下し始めた。

 木を守ろうと環境再生医らの有用微生物群(EM)散布、県による排水路設置などが行われ、07年は新しい枝葉がついた。

 しかし回復には至らず、年々状態が悪化しているとして県が柳之御所遺跡整備工事の一環として伐採した。

(略)

 平泉の景観問題のホームページを運営する東京都世田谷区の佐藤弘弥さん(56)は「いろいろな人が木を残そうとした努力は世界遺産の精神に通じる」と、木材で藤原清衡像と仏像を作るなどの活用法を県に提案する予定だ。

岩手日報「シダレザクラ惜しまれ伐採 平泉・柳之御所遺跡(2008/10/05)

これって、上のコメントや記事でも引用されている方が主催していると思われるこのサイトの記述にほぼ沿ったものなんですけど、この記事を書いた記者は、因果関係とか必要な取材をしていたんでしょうか。なんとなくこの記者は、「善意で運動している人」を取り上げれば市民目線を大事にした記事とか言われて評価されるとか思ってるだけのような気もしますが、気のせいだと思いたいです。

と思えば、hamachan先生経由ですが、地方紙でもこういう記事が載るところもあるわけで。

島根大学准教授 関耕平

 現在のように「地方分権」が魔法の言葉となり、誰も異論を唱えることができない時代があった。軍国主義的中央集権体制が変革され、新しい地方制度が導入された戦後直後の時代である。この時代、「地方分権」を強く批判した論者がいた。京都大学で活躍した島恭彦である。

 島は「現代地方財政論」(一九五一年)の中で、東北の山村において、自治体による小・中学校予算の七倍にあたる教科書代・学用品代が、児童の両親たちによって負担させられている現実や、財政難のため全焼した校舎を建て替えることのできない状況を示し、都市と農村との不均等が激しくなっている状況の下で「地方分権」の理念を押し付けることは、「中小自治体や農民や小市民を救いのない環境へ追い込むことにほかならない」と断じている。

 ここで島は、国として「中央集権」的な補助金や交付金といった教育費に対する十分な財政措置を行わず、教育費負担を地方自治体・地方住民に押し付ける「地方分権」理念を激しく批判したのである。五十年以上たった現在、この時代同様に、「地方分権」理念の打ち出し方を批判しなくてはならないように思われる。

(略)

 中央省庁の支配から逃れ、地方独自の裁量が広がる、これが「地方分権」改革の掛け声ではなかったか。しかし、現実に地方自治体が手にしたものは何であったか。ある自治体の財政担当者は「私たちが分権改革によって得たのは、教育や福祉への歳出を削るという”裁量”だった」と述べている。義務教育国庫負担金といったこれまでは削減できないとされてきた経費が、「地方分権」改革の結果「地方の裁量」で削減可能になったのである。こうして三位一体改革によるマイナス六兆五千億円があいまって、教育や福祉の歳出削減が生じたのである。

 ここで批判されるべきは、「地方分権」という美名の下に地方から財源を奪い、教育サービスの縮減を「地方の裁量」にし、教育や福祉の提供についての財政責任を放棄してきた国の姿勢であろう。

山陰中央新報「談論風発 : 地方分権への懐疑 国の責任放棄見逃すな('08/09/22)
※ 強調は引用者による。


俺が拙ブログでさんざん愚痴っていることが、エリアが限られているとはいえマスメディアに載せられた貢献はまことに喜ばしいところ。その意味で同じ地方紙でも見るものがないわけじゃないとうれしくなる一方で、「ここで批判されるべきは、「地方分権」という美名の下に地方から財源を奪い、教育サービスの縮減を「地方の裁量」にし、教育や福祉の提供についての財政責任を放棄してきた国の姿勢であろう」なんてアンチ霞ヶ関的な発言をしている点が非常に残念です。

地方分権とか叫んで霞ヶ関を悪者に仕立て上げているのはむしろ全国知事会とか全国市長会のほうなわけで、関氏のいうような構図に従うなら、国の「地方分権という美名」に乗せられたことになるので、それはそれで地方側も十分に愚かなんですよね。内実がないという実情を当事者としてわかっていながら、地方分権をなお積極的に推進していると見せかけているという点では、地方のほうがよっぽど腹黒いでしょうけど。

結局のところ、地方が望む地方分権なんてものが内実のないものだということがバレないように国を悪く言うしかないんであって、政治家首長さんと政治家議員さんの票集めにこれからも付き合わされるんでしょうな。この点は公務員仲間(とさせていただきます)のhamachan先生がおっしゃるとおりでしょう。

現在の地方政治の構造のもとで崇高な地方分権を推し進めると、どういう分野が真っ先に縮小廃止の憂き目をみるかは、物事の見える方々にはあまりにも明白ではないかと思われます。

地方分権の教育的帰結(2008年9月30日 (火))」(EU労働法政策雑記帳


そういや、平泉って改革派知事から総務大臣に華麗な転身を果たした増田某とか、最大野党の党首として国と基礎自治体だけの二層構造を主張する小沢某とかの地元でしたね。そこの地方紙が改革バカを支えているのは当然といえば当然ですが、関氏の指摘するような「現在のように「地方分権」が魔法の言葉となり、誰も異論を唱えることができない時代」に、「善意」と「熱意」をもって「地方分権」を叫ぶ政治家とマスコミの地元というのも見物ではありますな。

いやまあなんというか「お里が知れる」ってこういうこと?
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コメント
この記事へのコメント
つくづく、迷惑かけてるんだな。地元はそんな空気があんまり無くてね。申し訳ないです。
平泉の世界遺産登録はもう全然違う方向に行っているのは、傍で見ていても判るので止めた方がいいんです。
EM菌も水質改善のため、税金で購入して池や沼に入れているみたいですが、良くなった話は聞かないですね。
2008/10/06(月) 20:32:51 | URL | gruza03 #V76W3knM[ 編集]
> gruza03さん
もしかして地元の方ですか。気に障りましたら申し訳ありません。

> 地元はそんな空気があんまり無くてね。
それが地方分権の本質ではないかと思います。国全体のことを考える官僚とその組織を貶めて、地方(自分の身の回り)のことしか考えない政治家とか地方自治体とかNPOを褒め称える風潮というのは、体のいいクーデターのようなものかもしれません。
(あ、念のためgruza03さんの地元に限った話ではないですよ。)

HALTANさんのTBを受けて、地方の学者もその風潮に乗っているかもしれないということでまたエントリをアップしてみましたので、ご高覧いただけると幸いです。
2008/10/06(月) 23:44:31 | URL | マシナリ #-[ 編集]
こんにちは
頑張って下さい!!
応援、ポチ、ポチ。
また来ますね!!!
2009/02/16(月) 17:12:04 | URL | 元塾講師中里によるアフィリで楽しく毎日が給料日 #-[ 編集]
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「」の多様で週刊新潮のようなタイトルになってしまった。 俺が拙ブログでさんざん愚痴っていることが、エリアが限られているとはいえマスメディアに載せられた貢献はまことに喜ばしいところ。その意味で同じ地方紙でも見るものがないわけじゃないとうれしくなる一方で、「
2008/10/06(月) 05:25:20 | HALTANの日記