2016年07月17日 (日) | Edit |
前回エントリで取り上げたやまもといちろう氏の増田氏へのネガティブキャンペーンの続編がありましたが、さすがのやまもといちろう氏だけあって、順調に増田寛也氏の支持が低迷しているようで、正直な印象が書かれています。

 増田寛也さんの問題点をいろいろと感じるので、都民有権者1,210万人にもきちんと知ってもらいたいという一心で、いろいろと記事を書いてきたんですが、告示日になって情勢が明らかになってみるとちょっと劇薬が効きすぎたようです。

(略)

 増田さんに関して申し上げるならば、このような「お座敷」に必要な肩書きを持った人を並べるという際に、会議芸人として芸を披露することにおいては優れているとしても、政治家として必要な筋の通った政治思想や哲学については、ついぞ垣間見せることが一度もありません。彼の政治思想は何なのでしょう。日本創成会議でも話題になりそうな社会的テーマに学術的なパッケージにくるみ、「地方消滅」などのおどろおどろしいワードで飾り立てて問題を世に問うだけの存在ではないかと思うわけであります。

(略)

 ただ… 私もここまで書いておいてなんですが、いま東京都知事選で選挙戦に臨んでいる有力候補者を横で並べてみたとき… あの、何というか、増田さんがまだまともなのかなー、とかちょっぴり思ったりもします。いやー。どうなんですかね。うまく趣旨替えをしてもらいつつ、東京都政の病理でもある一種の利権政治との決別をしてくれる、戦える実務家(ただし自称)として、まずは増田さんには全力で頑張っていただきたいと願う次第であります。

「「原発容認派」増田寛也は、東京都民のために働けるか(2016年7月15日 1時24分配信)」
※ 以下、強調は引用者による。

まあ、増田氏の本領は既定路線が敷かれていてこそ発揮されるわけでして、中身のないコメントで既定路線にお墨付き(らしきもの)を与えるという役割での利用価値は高いんですよね。

増田寛也×北川正恭

県民との契約を旗印に!―
北川 「実は、初めてマニフェスト(政権公約)選挙をやっていただいたのが増田知事だったんですよね」
増田 「北川さんにのせられましてね。マニフェスト選挙で、候補者を選ぶ判断基準が完全に変わりました。生活者基点というか、県民としっかり契約して、ダメなら4年後の選挙で落とすと。いままでだと、国民はあまりよく知らないんだ、自分たちが国を背負って立つんだ、という考えでしたが、今の国民、生活者は全体のことをよくご存知です。選ばれる候補者は早くそのことに気がつかなくてはいけないのではないかと思います」
北川苦い薬が入っているマニフェストでも、国民や県民はちゃんと理解して選択する能力があるんですよね

「THE GUEST VOLUME 01 ●北川正恭が改革派とよばれる知事たちと語り合った――」

いやまあ、そのマニフェストなる選挙公約もすっかり下火になりましたが、当事者たちがこの有様です。

なんと、自ら三重県知事としてマニフェスト選挙を広めて、現在では早稲田大学マニフェスト研究所所長を務める北川正恭氏が「国民もマニフェストを望んでいない」とかいっちゃってるんです。それを認めてしまったら、国民も現政権党がうそをついているのをわかって政権交代させたっていうことになってしまいます。まさに「まず政権交代」という「やってみないとわからない」的無責任な放言が現実のものとなってしまったわけです。

マニフェストという無内容(2010年11月21日 (日))


で、増田氏のホームページを拝見すると「マニフェスト」という言葉はどこにもなくて、堂々と「公約」と書いています。
増田寛也 オフィシャルサイト
なるほど、やまもといちろう氏が「政治家として必要な筋の通った政治思想や哲学については、ついぞ垣間見せることが一度もありません」と指摘されるのも納得の節操のなさですね。

なお一応念のため、増田氏が知事時代に増やした県債残高は国と都道府県の中ではそれほど突出して高いわけでもなく、私自身は増田氏の能力を「ほとばしる無能」とまで断じるつもりはありませんし、既定路線に乗っかって仕事を遂行する能力を有能とみるとか無能とみるかは有権者の判断だろうと思います。
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2016年07月12日 (火) | Edit |
増田寛也氏が正式に出馬表明したとのことで、いやまあ誰もが知っていることではありますがこうやって宣言されると清々しいものですね。

【全文】増田寛也氏 出馬表明会見「東京都政のトップに立って、子育て・少子化問題を解決する」(ログミー 7月11日(月)13時26分配信)

さまざまな自治体のみなさま方のお話を聞き、私も、この都政の混乱を考えて、まさに都政の混乱を解決する上で、先頭に立ってがんばらなければ、と気持ちにスイッチが入りました。

これまで、岩手県知事として行政の経験を行ってまいりましたが、日本全体を考え、そして東京都政を担うものとして、きちんとしたスイッチの切り替えを行って、そして都民の最大幸福の実現に努力をしていきたい。このようの思います。東京は私の生まれ育ったふるさとであります。

※ 以下、強調は引用者による。

増田氏は岩手県選出の国会議員の子息として東京で生まれ、大学まで東京で育ち、キャリア官僚になってから初めて地方勤務したという東京の人なんですよね。生粋の江戸っ子じゃないとはいえ、東京生まれで東京育ちの増田氏が、霞ヶ関のキャリア官僚としてキャリアをスタートして、父が同じ地元で仇敵同士であった小沢一郎氏に担がれて岩手県という地方自治体の首長になったという経緯を考えれば、岩手県知事退任後は東京に移住(帰郷)して東京のコンサルの役員やら国務大臣やらを歴任し、都知事に立候補するという華麗なる転身を遂げられているのも頷けます。

とはいえ、総務大臣就任当時の新聞記事のとおり、

 岩手県庁ではこの日、職員から「地方分権の特命相かと思ったが、まさか総務相とは」と驚きの声が上がった。幹部職員は「地方財政を理解している人の入閣はありがたい。これで交付税が増えれば言うことなし」と手放しの喜びよう。

読売新聞『舛添厚労相「批判はする」、増田総務相「地方問題に総力」』(リンク切れ)

東京問題への対処として岩手県の幹部職員が望んでいたように東京の税源を地方交付税増額に振り向けたのは、地方在住者にとっては増田氏の功績としてよいかもしれません。まあ、増田氏が総務大臣に就任した2007年というのは、前任の竹中平蔵氏によって地方税への税源移譲などが議論された後であって、増田氏が就任する2007年8月27日の2か月ほど前の6月19日に閣議決定された「骨太の方針2007」ですでに、

(5)真の地方分権の確立
・財源における地方の自立性を高めるため、国・地方の財政状況を踏まえつつ、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含めた税源配分の見直しの一体的な改革に向け地方債を含め検討する。
法人二税を中心に税源が偏在するなど地方公共団体間で財政力に格差があることを踏まえ、地方税の在り方や国と地方の間の税目・税源配分(地方交付税財源を含む)の見直しなど、地方間の税源の偏在を是正する方策について検討し、その格差の縮小を目指す

経済財政改革の基本方針2007(平成19年6月19日閣議決定)(pdf)」p.27

ということが決まっていたんですよね。増田氏が何かを進めたというより、既定路線に乗っかったというのが実態でしょう。1年以上前に中川雅治参議院議員が当時の竹中総務大臣に質問しています。

次に、私は最近出ている東京富裕論や東京の財源を地方に回すべきであるといった議論について反論し、竹中総務大臣、谷垣財務大臣の見解を聞きました
東京の人口は約1,250万人ですが、約370万人もの昼間流入人口があります。総務省などから提出された資料などを見ると、人口一人当たり税収というグラフがあり、東京が突出しているような印象を与えますが、コメントなしにこうしたグラフを出していくのは問題であると私は思っています。
また、東京には大都市特有の財政需要や首都としての機能を維持するための支出も多く、さらに用地取得費を取ってみても1m2当りで東京都は他の道府県の14倍も高いのです。
(略)
私は以上のような趣旨の発言をして、竹中総務大臣、谷垣財務大臣の見解を聞きました。
竹中大臣からは、「東京の事情に大変お詳しい中川委員から御意見、しっかりと承った次第でございます。」との発言があり、そのうえで、「地方の自立を考える場合に東京の位置付けが大変大きな問題であるので、今後制度設計の段階に至りました場合は、そういうことはしっかりとフェアに議論していかなければならないと思っている。」との趣旨の発言がありました。

参議院行革特別委員会で安倍官房長官らに質問(平成18年4月8日)

ということで、東京の財源が奪われたというのであれば主犯は竹中平蔵氏ということになると思うのですが、やまもといちろう氏の増田氏へのネガティブキャンペーンが止まりません。

改めて、増田岩手県政で公債費比率がどう増えたのか、見てみましょう。利権に食い物にされ、利益誘導した時期と、交際費が増え、岩手県の希望が失われていく期間と一致していませんか、どうですか。

増田寛也と「西松建設」(2016年7月11日 16時58分配信)

うーむ、いやだから増田氏の黒い噂とかコンサルに無駄金をつぎ込んだとかというのはそれとして、県債残高が増えたのは全国的な現象だったんですけどね。前々回エントリの都道府県データに国の国債残高も並べてみてみましょう。
発行主体1995年度2007年度増加率順位
476,974,200,000938,808,000,000196.8%-
岩手県759,880,5551,470,396,528193.5%10
東京都5,814,239,3316,292,585,832108.2%47
都道府県総計46,499,753,99779,590,816,558171.2%-
出所:政府総債務残高の推移(世界経済のネタ帳)地方財政統計年報

こうして増加率を比べてみると、10位にランクインした岩手県の増加率は国債残高の増加率をやや下回る結果となっています。ここで、ちょっと制度の話をしておきますと、地方債発行は以前は許可制だったのが2005年から協議制になっておりますが、毎年国の一般会計の概算要求がとりまとめられる8月に先立って、7月に地方債計画というのが総務省と財務省の協議によって策定されます(付記:この書き方はちょっと不正確でした。通常の流れは、7月に財務省から概算要求基準が示され、8月末までに各省の概算要求がとりまとめられる時期に地方債計画(案)が策定されます。その後財務省と各省が予算折衝を行い、12月末の政府予算とりまとめの直前に地方財政対策と地方債計画が策定され、これらを基に2月に地方財政計画が策定されます)。これは、国から地方自治体に補助金を交付する際の補助裏とするために地方債を発行する必要があるため、国が補助金の予算要求をするに当たって、それに見合う地方債の発行高を事前に調整することを目的に策定されるものです。

まあ平たくいえば、あらかじめ借金できる目安を決めておいて、この借金の範囲で国の補助金の交付を地方自治体が受けられるようにして、地方に金を使わせるための根拠になるのが地方債計画というわけです。で、この地方債の許可計画額と実際に発行した許可実績額を比べると、1995年度から2004年度にかけて計画よりも実績が下回るようになっています。
 地方債発行許可計画額地方債発行許可実績額差額実績率
1995年度21,065,002,00022,735,579,7001,670,577,700107.9%
2004年度17,976,200,00015,670,739,600△2,305,460,40087.2%
出所:地方財政統計年報

つまり、確かに国も地方も景気対策のため債務残高は増やしてはいたのですが、特に地方の側は国が計画した通りには地方債を発行していなかったというのが実際のところでして、前々回エントリで都道府県ごとにばらつきがあるのは、地方債計画通りに債務残高を増やしたかどうかという国への協力度合いによって異なると理解するのがよろしいかと。

という意味では、地方の側が総じて国より慎重だった地方債発行について、岩手県は国と同程度の債務残高を増やしたという点でも、増田氏が何かを進めたというより、既定路線に乗っかったという評価が妥当なのではないかと思うところです。

2016年07月09日 (土) | Edit |
もはやリフレ派の隠れ蓑も取っ払った増税忌避な方々は「国債の日銀引受でオールオッケー」という誠にシンプルなディシプリンで無税国家への道をひた走っていらっしゃいますが、その一方で不思議なのが、そうした増税忌避派の中に「グローバリズムに毒されて小さな政府を礼賛する低学歴どもめ」という一見矛盾するような主張をされる方がかなりいらっしゃることです。

いやまあ、彼らに共通するのは増税忌避というよりも強固な私的財産拡大思想ではないかと思われるところでして、それが可処分所得不可侵論ともいうべき増税忌避だったり、景気の公共財としての側面を過大評価して人為的な再分配政策に対する異常な拒否反応につながっているのだろうと思います。というか、「税金は死荷重で社会的損失を生んで名目GDPを減少させる元凶だ」として増税忌避という思考停止に陥りがちな方々の傾向として、極端から極端に走る日本人の特性がよく表れているというべきなのかもしれません。

疑似エリート的な「正社員」になるか、しからずんば何の権利もない非正規しかないぞ、さあ、おまえはどうするんだ、と極端な二者択一を迫る日本の労働社会が、まさに「閉塞感を生んでいる」のではないか、という疑問は、しかしながら何の制約もなしに会社が使える正社員のみが唯一正しい生き方だと信じてやまない人々の脳裏には浮かぶことはないのでしょう。

「日本人の人生は極端な生き方以外ないのか@松本孝行(2013年3月 1日 (金))」(hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳))

「増税による財政再建で人が死ぬか、しからずんば国債の日銀引き受けでシニョリッジ益すれば無税国家にできるぞ、さあ、おまえはどうするんだ、と極端な二者択一を迫る日本の自称経済学クラスタ」が、その同じ口で「政府支出が足りないから財政出動しろ」とおっしゃるわけですから、その帰結は無税国家しかありませんね。

いやまあ、経済学のモデルが依って立つところの前提条件にここまで無自覚になれるのも、経済学的思考の成果なのでしょうけど、こちらのtweetのような理屈が成り立つには、少なくとも将来世代が政府支出の対GDP比を変化させないという条件が満たされる必要があります。つまり、「内国債が膨らむだけなら破綻しないし、効果なくインフレーションにもならないのだから無税国家にすればよい」というのがKFさんのtweetは財政破綻を主張する方への皮肉としての発せられたもののようですが、そのそれぞれがどんなモデルかはともかく、リフレ派と呼ばれる一部の方々トッププライオリティを置くデフレ脱却が達成されたとしても、その他の要件が変わらないのであれば、政府支出の対GDP比は現状のままであるはずでして、教育の無償化だの待機児童の解消だの医療行為に対する診療報酬の引き上げによる医療体制の拡充だのという再分配政策の支出構造は変わらないまま、インフレになるということです。そのようにしてインフレが達成された場合、ドーマー条件ギリギリまで国債の利払いを拡大している以上、将来世代が景気回復に浴することができたとしても、その景気回復による税収増のほとんどは過去に発行した公債の利払いに充てられます。
(2016.10.30 KFさんご自身からのこのtweetについてのtweetがありましたので、記述を一部修正しました。追記にKFさんご自身のを引用しましたので、ご参照ください)

ドーマー条件とかで国債発行しても問題ないとドヤ顔でおっしゃる方も多いのですが、そのドーマー条件ギリギリまで国債を発行するということは、「「将来の現役世代」がいくら頑張っても、過去の行政需要の財源となった公債費が歳出の大きな割合を占めてしまっているため、それにクラウディングアウトされて自分たちの行政需要に充てることができない」ということなのですが、まあこんなことをいってみたところで、「余談ですが、本書で登場する思考に関する例が非現実的だと感じるとすれば、その理由の一つは、あなたの興味において重要なものが、本書にとっての「その他」に入ってしまっているからだと考えられます。しかし、あなたと私が一心同体でない以上、これは避けることができない事態です」と切って捨てるのがリフレ派と呼ばれる一部の方々であって、隠れ蓑としてのリフレ派を取っ払った増税忌避の皆さんであってみれば、馬耳東風となるのも宜なるかな。

結局のところ、極端から極端に走る日本人の特性からすると、経済学的な思考の「型」こそが受け入れやすいのでしょう。どんなに極端な主張をして、「あなたの興味において重要なもの」なんてしらねーよといってしまっても、「経済学的に正しい」とお墨付きが得られますからね。いやもちろん、こうした陥穽の危険性を意識している権丈先生のような研究者もいらっしゃいますし、林貴志先生も

とおっしゃっているのですが、その一方で、

とおっしゃる方もいらっしゃって、頭を抱えざるを得ません。「制度についてのどの情報がある主張のどの部分を崩すか示せるなら」って、経済学のモデルの前提条件となる制度をきちんと踏まえないままでも、他者から指摘されなければ問題ないということにはならないでしょう。もちろん、単に「制度を知らない」というだけで具体的にどの制度のどの部分とモデルが異なるかを指摘しない批判は批判の体をなしていないというのはその通りだと思います。しかし、そうした制度との整合性を確認しないで構築されたモデルに政策的価値はほとんど見いだせません。上記のようなドーマー条件の実際の効果を度外視する議論が「経済学的に正しい」のは、「制度を知らない」ことも多分に影響していると考えられますし、「経済学的に正しい」と同じくらいバカバカしいのは、「制度を知らない」と指摘されても、自らのモデルの前提条件を知らないことに気がつかないことなのではないかと思います。

ついでにいえば、こうした極端な主張をする傾向はフェミニズムとかポリティカル・コレクトネスにも当てはまりそうなところもありますが、その行き過ぎたフェミやらポリコレに対する批判がさらに極端な主張になるところも「経済学的に正しい」ことへの絶対的信頼感のなせる技なのかもしれません。その意味では、行き過ぎたフェミやらポリコレへ極端な批判を繰り広げる方々というのは、「男性正社員が家計を支えているうちは社会保障なんぞ構う必要がないほど生活が保障されるというのが、日本型雇用慣行が有する世界的に特筆すべき優位性」のゆえにこそ存在しうるものといえそうですね。

(追記)
なぜか数ヶ月前のエントリにアクセスが増えていると思ったら、本エントリで引用させていただいた方からこのようなtweetが発せられていました。


この文章のみからは、KFさんがやめてほしいとおっしゃるのが「無税国家論者」として挙げることなのか、「無税国家論者の例」として挙げることなのか読み取れませんが、その直後に


ともtweetされてるので、KFさんご自身は「条件付き消費税増税容認論者」を自認されているものと推察いたします。クルーグマンも同じような主張をされていますが、それに対する私の考えは以前まとめたとおりです。

…クルーグマンのいう「ある時点」がいつなのか、そもそもそんな時点が実際にありうるのか、全く明言していない点で、実際問題としてほぼ「全否定」に近いだろうと考えております。

というのも、「デフレを脱却したら」「景気が回復したら」…こんなエクスキューズでもって、再分配政策としての公共サービスが担う生活保障の機能が、これまで20年にわたって貧弱なままに据え置かれている実態があるからです。いつもの繰り返しの議論ですが、かつては日本型雇用慣行の下での生活保障給や日本型フレクシキュリティ(男性正社員の収入により家庭が介護や保育などの生活サービスの現物給付を担う)がそれを代替していました。そのような役割分担を踏まえれば、バブル崩壊で景気が後退し、日本型雇用慣行が変容して生活保障の機能の縮小を余儀なくされた時点で、政府を通じた再分配政策、特に家庭で負担できなくなった生活サービスの現物給付が拡充されるべきでした。

(略)

で、バブル崩壊後もアジア金融危機、ITバブルの崩壊、リーマンショック、ユーロ危機等々、日本の増税(まあこれまで「増税」といえるような税制改革はなかったんですが)とは関係なく世界的な景気後退が繰り返されている中で、「デフレを脱却したら」「景気が回復したら」といって財源が確保できないまま、日本型雇用慣行下で機能していた生活サービス、特に現役世代向けサービスを政府が現物供給することなく20年が経過しています。その一方で、税収による一般財源にしか財源を頼れない生活サービスは、景気後退のたびによくて現状維持、悪ければカットされる状況が続いています。もちろん、医療や年金などは国民皆保険制度があるので財源としては安定していますが、全体では貧弱な社会保障費の中で現金給付である年金の総額が相対的に大きいために、一部の論者からは世代間の不公平感を煽る格好のネタとされてしまっています。

という状況で、「アベノミクス」といわれる経済政策によって景気が回復してやっと消費税率を挙げて財源を確保できると思ったら、「デフレを脱却したら」「景気が回復したら」といってまた先送りされてしまったわけでして、その決定打となったのがクルーグマンだというのであれば、いかにノーベル記念スウェーデン王立銀行賞受賞者であっても、特に次の点は批判されてしかるべきだろうと。

(略)

といっても、クルーグマン的政策論に影響を受けている方々は「再分配政策がそもそも実現できるわけないと考えている」からこそ一時的な借入による政府支出に望みを託しているともいえそうでして、それはそれでもっと深い問題があるわけですが。

財政政策の実現性(2014年12月10日 (水))


条件付きで増税を容認するのは、いみじくもKFさんご自身が「実には増税しても予算拡大せず財政再建に回されてるわけで、負担だけが増す状況なわけで反対せざる負えない」とおっしゃるように、その条件が達成されないことを所与としているからではないかと思います。条件付き消費税増税容認といいながら、その条件が達成されることを(事実上)否定するのであれば、つまるところ無税国家しかないのではないかと思いますが、KFさんの指摘を踏まえて本エントリを修正いたしました。

2016年07月05日 (火) | Edit |
前回エントリで元カイカク派知事同士の選挙戦にwktkしていたところ、一時は増田氏に自公と民進が相乗りか?という怪情報も流れていましたが、増田氏に対する不安が各方面から示されていまして、まあ拙ブログとしても概ね同意するものが多いものの、元切込隊長ことやまもといちろう氏のこの指摘はさすがにちょっとフェアではないのではないかと思います。

その後、ちっとも地域経済が伸びず、借金増やしてまで使った金に見合った地方税が上がらないので、慌てて「岩手県行財政構造改革プログラム」なるものを策定し、今度は全力でブレーキ踏ん張ったもんだから、そのアクセル踏んでた時代に潤ってた県内の事業者が全部死んで、仕事を失った岩手県からの労働人口が大量に流出、高齢者だけが地元に残って岩手県の産業が壊滅しただけでなく若者もいなくなって過疎化が進んだというのが増田さんの治世の概略であります。

「増田寛也「ほとばしる無能」を都知事候補に担ぐ石原伸晃&自民都連(訂正とお詫びあり)(2016年7月4日 23時49分配信)」(ヤフーニュース個人)

増田氏の知事時代の任期は90年代後半から2000年代半ばまでですが、90年代前半のGATTウルグアイ・ラウンド対策の公共投資と、90年代半ばのバブル崩壊後や2000年前後のITバブル崩壊後の景気対策としての公共投資が相まって、特に後半は「少子高齢化による生活サービスの現物給付需要の自然増が重なり、その穴埋めとして国と地方の債務残高が激増していった(一部は小渕内閣時の財政拡張も寄与していますが)わけ」でして、日本各地で同じような現象が起きていたというのが実態でしょう。

実は以前某所で駄文を書かせていただいた際に、ちょうどのその時期の地方債残高のデータを都道府県別に収集しておりましたので、増田氏の知事時代の任期である1995年度から2007年度の都道府県債の増加率で順位付けしてみましょう(下表の単位は千円です)。
 1995年度2007年度増加率順位
新潟県1,095,680,3392,679,403,989244.5%1
岐阜県614,769,2981,394,568,453226.8%2
茨城県769,975,6381,732,986,693225.1%3
広島県901,336,5061,865,220,318206.9%4
愛媛県465,149,583961,052,999206.6%5
石川県577,915,0811,186,919,871205.4%6
北海道2,791,134,8925,569,652,787199.5%7
埼玉県1,525,164,9383,003,282,744196.9%8
山口県589,429,3341,143,145,855193.9%9
岩手県759,880,5551,470,396,528193.5%10
香川県397,853,313768,502,643193.2%11
島根県531,139,7841,022,978,183192.6%12
京都府721,326,8691,385,228,807192.0%13
鳥取県321,832,461615,993,932191.4%14
青森県685,727,2161,291,322,765188.3%15
徳島県515,231,365968,591,828188.0%16
福岡県1,360,253,3282,556,383,123187.9%17
鹿児島県869,073,6711,625,773,204187.1%18
千葉県1,258,939,6622,340,656,437185.9%19
山梨県486,976,157903,426,838185.5%20
静岡県1,218,023,1412,229,995,946183.1%21
神奈川県1,666,928,8003,047,916,738182.8%22
宮崎県507,412,164919,024,727181.1%23
福井県453,527,467818,483,708180.5%24
奈良県571,563,9601,027,511,809179.8%25
愛知県2,132,365,3533,827,054,096179.5%26
群馬県550,059,995961,081,085174.7%27
和歌山県460,056,838803,318,679174.6%28
滋賀県520,673,400909,003,407174.6%29
佐賀県372,640,129641,629,324172.2%30
秋田県721,200,1341,230,824,222170.7%31
福島県703,183,6941,196,480,741170.2%32
兵庫県2,213,353,0623,754,717,349169.6%33
三重県589,203,401991,812,768168.3%34
栃木県599,275,603997,145,265166.4%35
山形県660,629,3961,095,727,815165.9%36
大分県620,990,713996,966,902160.5%37
長崎県682,611,7961,091,972,825160.0%38
大阪府2,716,200,5994,336,366,398159.6%39
宮城県894,806,4681,392,827,205155.7%40
富山県662,248,2431,010,579,908152.6%41
熊本県898,090,8661,358,719,983151.3%42
岡山県817,406,9191,231,168,225150.6%43
高知県554,949,256787,609,377141.9%44
沖縄県468,360,796658,188,369140.5%45
長野県1,190,962,4831,496,615,858125.7%46
東京都5,814,239,3316,292,585,832108.2%47
総計46,499,753,99779,590,816,558171.2%
なんと、岩手県は堂々の第…! 10位ですね。まあ、全体の増加率が171.2%なので岩手県の193.5%という増加率は確かに高い方になりますが、220%越えで表彰台を独占した新潟県、岐阜県、茨城県に比べればちょっとおとなしめな印象もあります。これとは対照的にほとんど債務残高を増やしていない東京都がダントツの最下位でして、景気対策としての公共投資が都市部ではあまり重きを置かれていないこともありますが、そもそも自主財源でまかなえる東京都の地方交付税の不交付団体としての強さが光りますね。

ところで、やまもといちろう氏の記事で引用されている参議院予算委員会会議議事録で、増田総務大臣(当時)に質問しているのがこちらも異色の元カイカク派知事であられた田中康夫氏でして、GATTウルグアイ・ラウンドが閉幕する1994年度前後からの県債残高を東北6県と長野県で比較してみたグラフがこちら。
zandaka
1998年の長野五輪に向けての債務残高の増え具合が他の追随を許さない状況ではありましたが、まあ確かに田中康夫氏が在任中の2000年度から2006年度まで急激に債務残高を減らしていることが分かります。とはいえ、2000年代に入って他県が軒並み増加率を鈍化させのと歩調を合わせるように、増田氏の任期の終盤にかけても伸びが鈍化している様子もうかがえます。むしろ、増田知事退任後の2007年度から再び岩手県の増加率が上向いていますが、東日本大震災が発生した2013年度以降は、宮城・福島両県が債務残高を増やす一方で岩手県は減らしています。

まあ、このデータをどのように解釈するのかはご覧いただいた皆様にお任せいたしますが、やまもといちろう氏が取り上げているその他の増田氏の「政策」などについてはなおさら、東京都の有権者の皆さんが判断するべきものと思います。特に、前回エントリで取り上げているとおり、2007年の都知事選に立候補した浅野元宮城県知事のような「地元の財源は地元で使うべきという小学生のような論理で民主主義を語る方だったわけで、我々地方在住者にとっては東京都知事にならなくてよかったというべきか、東京都民はスバラシイ知事候補を逃してしま」うのかどうかは、地方在住者としても生暖かく見守りたいと思います。

2016年07月02日 (土) | Edit |
日本の首都である自治体の首長がよく分からない理由で辞任して選挙が行われるそうですが、その候補者選びが混迷の度合いを深めているようです。今日時点で名前が挙がっている候補者候補の中に元カイカク派知事が2人もいるというのは、当時の議論を思い起こすと隔世の感がありますな。

増田氏「お任せします」都知事選出馬に含み 日本テレビ系(NNN) 7月1日(金)22時55分配信

 東京都知事選挙をめぐる候補者選び。自民党の東京都連は、新たに増田寛也・前岩手県知事に立候補を要請する方針を決めた。

 東京都連の幹部によると、自民党は桜井俊・前総務省事務次官の擁立断念を受けて、新たに前岩手県知事の増田寛也氏に立候補を要請する方針を決めた。都議会自民党や首相官邸サイドも了承しているという。

 これに対して増田氏は1日夕方、「どこからも打診はない」とした上で、要請があった場合の出馬の可能性について、「そこはお任せします」と含みを持たせた。
(略)
 自民党内では小池氏の容認論も出ているが、東京都連としては、まずは増田氏との交渉を優先させる方針。

ここ数年「地方創生」という聞き慣れない言葉で人口危機論をぶち上げて議論を巻き起こしたセンスには敬服しますが、まあこの方は言葉だけはまさに立て板に水というほどに流れ出てくるものの中身がないんですよね。

番組には増田寛也元総務大臣(というより、前岩手県知事として呼ばれたんでしょうけれど)が出演していて、相変わらず実務をガン無視した理想論をぶって分かったようなことをいっていましたな。この元「カイカク派知事」は、番組の最後で「構想をはっきりと示す」とか「場合によっては柔軟に対応する」とか「スピード感を持って取り組むことが大事」とか「被災者のニーズが変わっているから、それを丁寧に拾い上げることが大事」とか「国民全員で役割を引き受ける」とか、だから具体的に何をどうしたらいいんですかねえということを一切言わずに番組を締めていまして、さすがのカイカク派クオリティでした。こういう空疎な理想論がどれだけ現場を疲弊させているのか、カイカク派な方々にはご理解いただけないようです。番組の後半では、公務員不足の犠牲者となった方も取り上げられていましたが、この元「カイカク派知事」がおっしゃることは何一つ意味がないということをまざまざと実感させられました。

「ポジティブな復興の影(2013年03月17日 (日))」

というか、その出自からして地元のしがらみだらけなのに、担いでもらった小沢一郎氏の支援を袖にして県民党をぶち上げたり、中身がないというよりむしろその滔々と流れ出る言葉の裏側が全く見えないというべきでしょうか。

いやあまあ、地方重視って言うからにはある程度予想はできたんですが、よりによって総務大臣に増田氏とはねえ。「民間からの登用」なんてことになってますが、この人根っからの官僚ですよ。さらにいえば政治家の二世だし、「民間」っていうよりは「古き良き」時代の遺物といった方がいいかも。
(略)
記事の信憑性はともかく、出自からすれば過去のしがらみがあったからこそ、それを逆手にとって改革を進めた面は否定できないんではないかと思う次第。三重県の北川前知事も似たような境遇だし(道理で二人は仲がいいんだなあ)。

「あらら(2007年08月28日 (火))」

という経歴からしてもこの方は自民党と親和性が高いわけでして、自民党政権で総務大臣を歴任されている経緯からすれば、まあ自民党が担ぎ出したくなるのも理解できますね。

という増田氏の都知事選候補の報に接しての感想としては、このふたつのtweetに付け加えることはありません。


さて、知事選に出馬した当時に増田氏を担いだ小沢一郎氏はいまや野党連合の中でも泡沫政党の共同代表となっているわけでして、ちょっと古い記事ですが、その野党連合の最大派閥である民進党では「山陰のカイカク派知事の雄」片山善博氏を推す動きがあるそうです。

都知事選候補 民進都議、片山氏で一致 都連が調整へ(毎日新聞2016年6月22日 07時00分(最終更新 6月22日 08時47分))

 舛添要一知事の辞職に伴う東京都知事選(7月14日告示、同31日投開票)で、都議会民進党(旧民主系)が前鳥取県知事の片山善博・慶応大教授(64)に立候補を打診する方向で一致したことが分かった。民進党都連幹部が21日、明らかにした。

 民進都連は同日、都内で選挙対策委員会を開き、都知事選に擁立する候補者の人選について話し合った。

 都連関係者によると、都議側から「知事経験もあり地方自治が分かっている」として、元自治官僚で鳥取県知事を2期務めた片山氏を推す声が上がった。他にも数人の名前が出たが、都議側は片山氏で一致したという。今後は都連で調整が進められるとみられる。

 委員会終了後、都連会長の松原仁衆院議員は「実務的ではない知事が2代続き、都政を任期半ばで投げ出してしまった」と述べ、実務的な人物が候補者にふさわしいとの見解を示した。委員会で挙がった具体的な名前は明かさなかった。

 片山氏は岡山県生まれ。1974年に旧自治省(現・総務省)入省。99〜2007年に鳥取県知事を務め、10年9月から民主党(当時)の菅直人内閣で総務相を1年間務めた。

片山氏についても拙ブログで何度か取り上げていますが、民主党政権での総務大臣時のものとしては、

たとえば、片山氏がよく使う論法ですが、学校の修繕が必要なときに、修繕だけでは国の補助金がもらえないけど、建て替えれば補助金がもらえるから建て替えてしまうという例を挙げて、だから地方に財源があれば修繕だけで済むので予算を節減できるんだとこの日の日曜討論でも主張されていました。でもそれって、国全体の財政で見れば地方がその補助金をもらってまでして建て替えなければいいだけの話であって、そういった国全体の財政状況を顧みることなく、建て替えが必要だと言い募っては補助金をもらおうという地方の側に、必要かつ最小限のコストを見極めるという意味でのコスト意識があるのかは大変疑わしいですね。もちろん、「必要かつ最小限のコストを見極める」ためには「民意」とかいう漠然としたものでは役に立ちませんし。

ついでに、片山新総務大臣は、鳥取県知事時代に人事委員会勧告を深掘りして給与カットを実施したことを誇らしげに語っていましたが、労働権を制約されている公務員の人権代替措置を軽々と無視してしまうような方に、どれだけ労働者の立場に立った政策を考えるおつもりがあるのかは大変興味深いところです。

「原理主義的地域主権(2010年09月20日 (月))」

という次第で、原理原則を唱えれば全て解決という原理主義的な方ですので、こちらもまた野党連合には親和性の高いお方ですね。

ちなみに、東京都知事選に出馬する元カイカク派知事には偉大な先達がいらっしゃいまして、

一応4候補の公約について入手できる範囲で確認してみましたが、マニフェストの要件(と思われるもの)を満たしているのは浅野氏のみという結果。マニフェストによる差別化こそが浅野氏の戦略ではありますが、少なくとも世間でいわれるほどに「マニフェスト選挙」といえる状況にはなさそうです。

「地方の選挙(2007年03月18日 (日))」

ということでしたが、選挙を終わってみると、

浅野史郎という方は厚生省で障害者福祉に携わっているうちに脳内が左派思想に染まってしまったらしく、弱者が救われればその他がどうなっても知ったこっちゃないということを正義のオブラートで包んで発言してしまう。この場合の弱者は地方で、弱者以外の強者は東京とかの大都市なんだけど、
「宮城県の住民が払った税金は宮城県のために使うというのが民主主義の基本であり、地方分権は民主主義の先進国家になるための絶対条件だ」
って本気ですか? 民主主義の基本とまでおっしゃるなら東京都の住民がそれを主張してもいいんですな。大都市の財源を地方に配分する仕組みである地方交付税の根幹を否定されるとはなかなか大胆なご提案です。

「地方分権劇場(2008年04月20日 (日))」

ということで、地元の財源は地元で使うべきという小学生のような論理で民主主義を語る方だったわけで、我々地方在住者にとっては東京都知事にならなくてよかったというべきか、東京都民はスバラシイ知事候補を逃してしまいましたね!!!!(棒)

まあそれはともかく、地方分権の論議が盛り上がっていた当時は財源が東京に集中する東京問題こそが地方財源論の焦点だったわけでして、東京からの財源配分を声高に主張していた元カイカク派知事の皆さんがこぞって東京都知事を目指すというのは、東京問題を是正するためにその本丸に乗り込むぞ!ということならその意気やよしとしないでもありませんが、上記の浅野氏のような発言を見ていると、その真意がどこにあるのかはよくわかりません。まあ東京都民の方にとってはそんなことどうでもいいでしょうから選挙の論点になるとも思えませんが、地方在住者にとしては元カイカク派知事同士の選挙戦というのも、怖いもの見たさで興味のあるところです。

(付記)
ついでに、出馬が取りざたされた桜井前総務省事務次官は、ご本人も

総務省・桜井 俊事務次官、都知事選出馬は「ない」と断言 - FNN(06/15 18:11)

「ポスト舛添都知事」の有力候補と注目が集まっている、アイドルグループ・嵐の櫻井 翔さん(34)の父親、総務省の桜井 俊事務次官(62)が15日午後、会見を行った。
総務省の桜井事務次官は、「(都知事選に出馬されるお気持ちは?)どこからも、そういう具体的なお話があるわけではありません。仮にあったとしても、大変光栄ではありますけれども、出るつもりは、ありません。(はっきり『ない』と断言?)はい」、「(櫻井 翔さんから連絡は?)全くありません」、「(出馬しない理由は?)自分のことは、自分が一番よくわかっておりまして。わたしは、情報通信行政をやってきただけの人間ですので、とても、そのような役を果たせるだけの器ではないというふうに思っております」と語った。

とおっしゃるように、総務省とはいえ省庁再編前の旧郵政省で情報通信行政を担当されていた方であって、地方自治を所管する旧自治省の出身ではありませんので、桜井氏を都知事候補にしようという思惑はご子息の知名度と退官したタイミングが合っていたという程度のことではないかと。むしろ、旧自治省出身でちょうど事務次官を退任したばかりの方といえば岡本全勝氏がいらっしゃいますので、同じく事務次官(復興庁ですが)経験者でしかも地方自治に精通している岡本氏に出馬要請の話が出てこない(水面下であるのかもしれませんが、報道されないということは話があっても知名度が足りないという評価ではないかと)という辺りに、政治的な思惑が優先される現状が見て取れますね。