2009年04月21日 (火) | Edit |
すなふきんさんからいただいたトラバに拙エントリのコメントでこうお答えしておりましたが、

実は、すなふきんさんの一連のエントリにもトラバしようかと思っていたんですが、この点をちょっとまとめきれなかったので見送っておりました。


よく考えたら一介のチホーコームインがまとめきれるわけでもないので、現時点でこういうことかなと考えていることを書いてみます。

まあ、権丈先生経由で読んだこの本からインスパイアされたことなんですが、
「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? ~世界一わかりやすい経済の本~ (扶桑社新書)「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? ~世界一わかりやすい経済の本~ (扶桑社新書)
(2009/02/27)
細野 真宏

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著者の細野氏はさすがカリスマ講師だけあって、サブプライムローン問題とか年金の考え方が順序立ててわかりやすく説明されています。細野氏ご自身が「あの本が『遺作』となっていたとしても、後悔はありません」(p.206)とまで言い切る
細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!
(2008/09/01)
細野 真宏

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は未読ですが、『年金』本を読む限りでもその醍醐味は十分に伝わってきます。

簡単に言えばその「数学的思考」というのは、「論理的に考える」「仮説と検証を繰り返す」ということだそうで、確かにこれができる人が増えるならば、世の中の多くの問題は「正しく」理解されるだろうと思います。自分のような民意に懐疑的な立場であっても、その可能性までを否定するものではありません。

しかし、、『数学的思考』本も未読の段階でこういうのもなんですが、細野氏が予備校講師であることが影響しているかもしれませんけど、その「数学的思考」には重大な弱点があるように思います。それが端的に表れたのが、『年金』本の冒頭に出てくるこの一節。

豆知識
食糧自給率40%というのは6割も輸入品に頼っているということ。実は、国民全体が米を今よりも毎回一口多く食べるだけで、食糧自給率は1%上昇し、今より毎日一膳多く食べると食糧自給率は約8%も上昇が見込めます。
細野『「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? ~世界一わかりやすい経済の本~』p.33
※ 強調は本文。


あらら、石破農水相のいうことを鵜呑みにされてしまいましたね(こっちも参照)。入試では与えられた問題文やデータを前提に解答することが求められるわけですが、この食糧自給率のように、与えられた二次データではなく、その算出方法や一次データの収集方法に問題がある場合に、データを疑うというステップを踏まない細野氏の「数学的思考」はほとんど無力となってしまいます。

経済学においても、モデルとか理論そのものよりも、そのモデルのあてはまり具合とか理論の整合性を検定する統計学的手法の方が重要といってもいいでしょう。経済政策を巡って立場が対立するのも、根本ではデータの解釈や計量モデル化の過程で対立していることがほとんどだと思います。

チホーコームインの身ではありますが、実務上もモデルを使ってどうのこうのというより、実証的な分析がどれだけ政策の有効性などを説明できるかの方が重要だったりするわけで、「方向性」と「具体論」というのは、恐らくデータの扱いの軽重で線引きがされるのではないかと思われます。

その意味では、
その数学が戦略を決めるその数学が戦略を決める
(2007/11/29)
イアン・エアーズ

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で描かれる計量経済学の威力が、どれだけ政策関係者に理解されるかというのが一つのポイントになるのではないかと思います。というのも、政策決定にかかわる当事者がデータの扱い方を理解していなければ、その当事者自体が「非専門家」になってしまうわけですから。そう思って自分の回りのチホーコームインを見渡してみると(以下自重)
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