2007年07月29日 (日) | Edit |
参議院選挙投票日の朝を迎えたわけですが、マスコミからは与党に対する猛烈な逆風が伝えられているところです。まあ確かに与党にも攻められてしかるべき点があることは理解できるけど、かといって野党の掲げる政策も眉唾だし、実際に政権を担当して実施しているという絶対的なアドバンテージを考慮すれば、それでも政権与党の方が国民に対する責任という点では勝っているんではないかと思う次第。

というわけで、各党から論客が出演するという金曜日の夜の朝生を録画して見たんですが、まあ各党の出演者はそれなりとしても、それ以外のパネリストの顔触れを見たところで一気に見る気がなくなってしまいました。おそらく、外交については渡部恒雄氏(ナベツネじゃなくて渡部恒三のせがれだそう)などそれぞれの分野の専門家をそろえたつもりなのかもしれないけど、ざっと見た限り経済の専門家といえそうなのは荻原博子のみ。というか、荻原博子は経済政策を語ってませんて。この人のプロフィールを見ると、
1954年、長野県生まれ。 生命保険会社に就職するも、3年後、司法書士という職業を知り、「2年間勉強してみる。」と決意。退職と同時に結婚し、主婦と学生の二足のわらじで勉強を始める。 「本当の勉強というものを、このとき初めてしたと思いました。」 妊娠3ヶ月目で受験、合格発表のときは妊娠7ヶ月。合格し、すぐに司法書士事務所に研修として入り、翌年の2月には故郷の長野に帰って長男を出産。 経済事務所勤務後、1982年にフリーのジャーナリストとして独立し、節約に役立つ暮らしの知恵、家計や年金問題など、難しい経済と複雑なお金の仕組みをわかりやすく解説。地価下落、マンション価格の下落を早くから予測。掛け捨て生命保険の活用を提唱。投資よりもローンの返済が必要と説くなど、時代の一歩先を行く分析力には定評がある。
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司法書士に合格したことはわかるけど、経済に関わっていたのは「経済事務所勤務」というところだけのようだし、そもそも「経済事務所」って何ですか?「経済事務所」でググってみれば中国の出先機関(?)ぐらいしかヒットしないけど、「法律経済事務所」とかも引っかかるし、まあ司法書士やりながら税理士みたいなこともやっていたのかも。いずれにしても、税務には詳しくても租税理論には詳しくなさそうだし、年金もそこそこ知ってそうだけど制度についての理解は浅いようです。
スウェーデンでは、毎年1度、政府からピンクの紙が送られてきて、そこに、年金の積み立てられている額が書かれているそう。
貯金が増えていくような楽しみがあるので、新しい年金は、かなり好評のようです。では、なぜ、日本でスンナリとこのスウェーデン方式が導入できないのでしょうか。
(中略)
スウェーデンでは、一部株式運用していますが、運用組織を、複数設立して競争させ、運営する理事には、労働者や経済団体からの代表も加わっています。こうした状況を見ていると、今の日本の年金は、本当に、にっちもさっちもいかない状況になっていることを痛感します。
「第88回 話題のスウェーデン方式って、どんなもの?(荻原博子のマネーエッセイ)」2004年4月掲載

この記事はちょうど前回の年金改革が議論されていた2004年4月に、民主党が対案として参考にしたスウェーデン方式を取り上げたものなんだけど、それから3年経たないうちに本家であるスウェーデン方式が破綻してしまっているわけで、決め方がどうとか貯金みたいで楽しいとかいう前にどうしてそういうことになったか考えてみるべきでしょう。朝生でも将来債務がなんたらとかいってはいましたが、それは退役軍人への恩給に由来する年金の生い立ちから考えれば古傷みたいなもので、無理に外科手術を施すより上手につきあっていく方がダメージが少ない。この点については江田けんじも「政府がなぜ保険料方式にこだわるのか理解できない」なんていってましたが、簡単にいえば税方式はモラルハザードを起こすからという理由で十分。
詳しくは権丈先生のサイトで勉強してもいいし、小塩『社会保障の経済学』を読むだけでもこの辺の理解は違ってくると思うんだけど、この人達は公共の場で政策を論じる立場にありながらこういう努力もしていないようにしか見えないわけで、俺が野党の政策を眉唾だと思うのはこういうところからです。

一方の与党ですが、これも選挙前の戦略としてちょっとお粗末でした。特に自民党は西村康稔議員が出演していたんですが、完全に公明党の高木陽介議員に食われている始末。多数派の政権与党が連立を組んでいる少数派の党にキャスティングボートを握られている状況はよく分かったものの、テレビ映えを考えたら、自民党は通産省出身の官僚議員じゃなくて政治家として発言できる人材を出演させるべきだったでしょう。いかにも頭の良さそうな西村議員より海千山千の高木議員の方が、制度論でも政策過程論でも一枚上手だったというのは自民党の人材不足を象徴しているのかもしれませんけど。

というわけで、せっかく投票の参考にしようと思ってみた朝生でしたが、政策を論じる人、特に野党側のポジションをとる人が本音を語らず正論を語る姿しか印象に残ってません。その点で亀井静香はつくづく大物だなあと思い知らされましたよ。
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